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【収益事業の意義】「継続して事業場を設けて34事業のいずれかを営む」を解説

相談LINE 2018年6月28日 19時0分

宗教法人などの公益法人は、収益事業課税を行っている場合に限り法人税が課税され、収益事業に該当しない非収益事業については、法人税が非課税となります。この収益事業の意義は、(1)継続して(2)事業場を設けて(3)以下の34の事業のうちいずれかの事業を営むことを言います。

■34事業とは?

(1)物品販売業 (2)不動産販売業 (3)金銭貸付業 (4)物品貸付業 (5)不動産貸付業 (6)製造業 (7)通信業 (8)運送業 (9)倉庫業 (10)請負業 (11)印刷業 (12)出版業 (13)写真業 (14)席貸業 (15)旅館業 (16)料理飲食業 (17)周旋業 (18)代理業 (19)仲立業 (20)問屋業 (21)鉱業 (22)土石採取業 (23)浴場業 (24)理容業 (25)美容業 (26)興行業 (27)遊技所業 (28)遊覧所業 (29)医療保健業 (30)技芸・学力教授業 (31)駐車場業 (32)信用保証業 (33)無体財産権の提供業 (34)労働者派遣業

なお、これら以外の事業は非収益事業になりますが、法人税の計算上、両者は区分して経理する必要があります。

■「継続して」の意義

具体的に要件を見ていきましょう。継続してという要件がありますので、原則としては事業年度の全期間を通じて行われる必要があります。しかしながら、以下のような事業もこの要件を満たすとされています。

(1)土地の造成及び分譲のように,通常一の事業計画に基づく事業の遂行に相当期間を要するもの

(2)海水浴場における席貸し等又は縁日における物品販売のように,通常相当期間にわたつて継続して行われるもの又は定期的に,若しくは不定期に反復して行われるもの

■「事業場を設けて」の意義

この要件については、常時店舗,事務所等事業活動の拠点となる一定の場所を設けている場合はもちろん、必要に応じて随時その事業活動のための場所を設けてその事業活動を行うものが含まれます。このため、移動販売などについても、この要件を満たすとされています。

■付随行為も含まれる

その他、収益事業については、公益法人等が収益事業を行うに伴って、その性質上その事業に付随して行われる行為も含まれるとされています。例えば、収益事業から生じた所得を預金や有価証券等に運用する行為や、収益事業に属する固定資産等を処分する行為もこれに含まれるとされます。

いずれにしても、収益事業の判断は非常に複雑ですので、税理士などの専門家の意見も聞きながら、慎重に判断する必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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