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他人名義で所得を得た場合、所得の帰属は名義人と実質所得者のどちらか

相談LINE 2018年7月10日 19時0分

税においては、所得の帰属が問題になります。所得の帰属とは、文字通り法人税や所得税の課税対象になる所得が実際のところ誰になるかを判断することを言います。特に、税務上は実質所得者課税の原則というものがあるため、この所得の帰属は往々にして問題になります。

■実質所得者課税の原則とは

実質所得者課税の原則とは、法律上所得を稼いだとみられる者が単なる名義人であり、その所得を実際は収入しておらず、別人が所得を収入していればその別人に所得が帰属するという原則を言います。名義人を立てて課税を逃れる、といった租税回避は多く行われますから、単に名義人ではなく、本当にお金を儲けている者に対して税金をかけるべきですので、このような原則が設けられているのです。

■所得の帰属の原則

では、この所得の帰属をどのように判断するかが問題になりますが、これについては個人の所得税については、所得税の通達において、原則として以下のように判断することとされています。

1 不動産から生じる所得・・・不動産の実際の所有者
実際の所有者に対して課税されることになりますので、例えば子が親から土地を無償で借りて、子がそれを他人に貸して不動産賃料を収入していたとしても、原則として親がその収入を申告する必要があります。

2 事業から生じる所得・・・事業を経営する者
ケースバイケースの判断になりますが、個人間の場合には、経営方針を決める者に所得が帰属するとされます。

ただし、例外も認められますので、詳細は税理士と相談して下さい。

■法人成りの場合

ただし、この所得の帰属が問題になるのは、個人とその個人が経営する同族法人に関する事例が圧倒的に多いと思われます。この点、必ずしも明確ではありませんが、一点申し上げると、法人成りに関する事例があります。

個人の事業を法人化することはよくありますが、例えば法人を設立した後も、免許などの関係で個人で残務整理を行わざるを得ない、といった状況になることがあります。この場合、法人は設立しているものの個人の活動であるため所得の帰属も個人になると判断される方も多くいます。

しかし、法人成りの場合には、原則として法人の設立日以後に計上されるべき所得は法人に帰属するとなっていますので、原則として設立日以後は、法人で申告をすれば問題ないと考えられます。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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