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「源泉徴収をしない会社と源泉徴収を拒む従業員」ーー源泉徴収の真実とは?

相談LINE 2018年7月12日 19時0分

皆様が貰われるお給料については、所得税が天引きされていると思います。この天引きが源泉徴収ですが、源泉徴収はお給料などを貰われる方から、前倒しで所得税を徴収する手続きです。このため、年末調整や確定申告において、所得税の計算期間である暦年ベースで所得税を再計算した場合、源泉徴収された税額が暦年ベースの税額と差額があれば、その差額は精算されることになります。

このような仕組みがあるため、中には従業員に給料を払っても、従業員が最終的に確定申告をして国に所得税を納めるのであれば源泉徴収は必要ないのではないか、といった質問をされる方がいます。源泉徴収は義務ですので、当然ながら必要があるという回答にしかなりませんが、一歩進んで押さえていただきたい事項があります。それは、お給料などを支払う雇用主の源泉徴収義務と、お給料などの支払いを受ける方の所得税を納める義務は全く別物であるということです。

■全く別物であるという意味

このことを具体的に申しますと、例えば従業員が源泉徴収に反発し、源泉徴収を拒んだとします。拒まれたためその従業員から所得税を源泉徴収できず、雇用主が源泉所得税を納税できないとしても、納税できない責任は従業員ではなく雇用主にあるとされます。このため、従業員から所得税を徴収できない場合には、上乗せで税金を雇用主は納めさせられる訳で、徴収しなければ大変な負担になります。

従業員はまだしも、このことが問題になるのは源泉徴収される一定の報酬についてです。一定の報酬については、源泉徴収しなければならないとされますが、支払先が源泉徴収を拒否したり、源泉徴収を失念したりした場合、同様に税務署からその報酬に関する源泉所得税を納税するように指導されます。その支払先から所得税を取り戻せればいいですが、継続的に取引がある支払先は別にして、単発の取引先であればそれが難しいことがよくあります。

■本来は確定申告でも返してもらえない

この全く別物であるという仕組みは、実は年末調整の計算ミスについても妥当します。実務においては、年末調整で生命保険料控除をし忘れた場合、確定申告で生命保険料控除を申告すれば、生命保険料控除の適用を受けることができます。

しかしながら、この処理は税務署が実務上容認しているだけの例外であり、本来生命保険料控除は年末調整で受けるべきものですので、確定申告では受けることができないとされます。この理由は、年末調整は源泉徴収に関する手続きであり、確定申告は本人の納税義務に関する手続きですので、両者は別物とされているからです。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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