現金で取引先から売上割り戻しなどのリベートを受け取ることも多くあります。このリベートについては、支払う側では原則として経費になり、受け取る側では原則として収益の額になります。このため、リベートを受け取る場合、会社の経理としては雑収入として処理することがほとんどです。
この処理は誤りではありませんが、消費税の観点から言えば、法律的に100%正しい処理という訳でもありません。というのも、このリベートは、原則として仕入れに係る対価の返還等という取扱いになるからです。
■仕入れに係る対価の返還等の意義
仕入れに係る対価の返還等とは、消費税の経費に当たる課税仕入れについて、値引きや返品、そして割戻しを受けたことによって、その課税仕入れの金額の減額を受けることをいいます。仕入れに係る対価の返還等については、経費の金額の減額ですから、商品の仕入れや材料費など、経費の金額から差し引いて消費税を計算することになります。
雑収入に計上するということは、収益の額として認識するということですが、経費から差し引くのが正確ですので、本来は経費の金額を調整する必要になります。もちろん、経費のマイナスはその分利益が大きくなることを意味しますので、雑収入に計上したとしても結果は変わりません。
■簡易課税を使っていると判断に迷う
ところで、このような処理が問題になる取扱いに、消費税の簡易課税と事業者免税点があります。簡易課税とは、消費税がかかる収入だけを集計して、その売上について一定割合の控除を認めるという概算計算の制度です。商品仕入れなどに対するリベートを受ける場合、そのリベートには消費税がかかりますので、簡易課税の計算上も消費税がかかる収入としてカウントしなければならないと考える方が多くいます。
しかしながら、先に述べたようにリベートは収入ではなく、仕入に係る対価の返還等として経費から差し引くべきものです。簡易課税であれば経費は全く見ませんので、リベートについても集計する必要がないという結論になります。
■事業者免税点も同様
消費税については、原則として2期前の消費税が課税される売上が1千万円以下(事業者免税点)であれば、免税となります。この事業者免税点の判断についても、リベートは売上ではありませんので集計する必要はありません。
基本的なところですが、税理士などの専門家でも間違える方がいますので、注意してください。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
この処理は誤りではありませんが、消費税の観点から言えば、法律的に100%正しい処理という訳でもありません。というのも、このリベートは、原則として仕入れに係る対価の返還等という取扱いになるからです。
■仕入れに係る対価の返還等の意義
仕入れに係る対価の返還等とは、消費税の経費に当たる課税仕入れについて、値引きや返品、そして割戻しを受けたことによって、その課税仕入れの金額の減額を受けることをいいます。仕入れに係る対価の返還等については、経費の金額の減額ですから、商品の仕入れや材料費など、経費の金額から差し引いて消費税を計算することになります。
雑収入に計上するということは、収益の額として認識するということですが、経費から差し引くのが正確ですので、本来は経費の金額を調整する必要になります。もちろん、経費のマイナスはその分利益が大きくなることを意味しますので、雑収入に計上したとしても結果は変わりません。
■簡易課税を使っていると判断に迷う
ところで、このような処理が問題になる取扱いに、消費税の簡易課税と事業者免税点があります。簡易課税とは、消費税がかかる収入だけを集計して、その売上について一定割合の控除を認めるという概算計算の制度です。商品仕入れなどに対するリベートを受ける場合、そのリベートには消費税がかかりますので、簡易課税の計算上も消費税がかかる収入としてカウントしなければならないと考える方が多くいます。
しかしながら、先に述べたようにリベートは収入ではなく、仕入に係る対価の返還等として経費から差し引くべきものです。簡易課税であれば経費は全く見ませんので、リベートについても集計する必要がないという結論になります。
■事業者免税点も同様
消費税については、原則として2期前の消費税が課税される売上が1千万円以下(事業者免税点)であれば、免税となります。この事業者免税点の判断についても、リベートは売上ではありませんので集計する必要はありません。
基本的なところですが、税理士などの専門家でも間違える方がいますので、注意してください。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。