被相続人の死亡により、被相続人が保険料を負担していた保険契約の保険金を受け取った相続人に対しては、その保険金を相続財産とみなして相続税が課税されます。ここでいう、保険金を受け取る保険金受取人とは、保険契約に係る保険約款等の規定に基づいて保険金を受け取る権利を有する者をいうこととされており、いわば保険契約上の保険金受取人を意味します。
実務上、問題になることの一つに、この保険金受取人が、被相続人の死亡という保険事故が発生する前に亡くなっている場合の取扱いがあります。
■保険金受取人がすでに亡くなっていた場合
保険金の受取人が死亡したときの取扱いとして、保険法において「保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。」と規定されています。このため、保険金受取人の相続人に対し、保険金が支払われることになります。
このように、保険金受取人の相続人が保険金を受け取る権利を取得する訳ですが、この受け取る権利に対しては、被相続人である保険金受取人の相続税の計算上、被保険者の死亡という保険事故は発生していないため、一定の場合を除き相続税は課税されないとされています。もちろん、被保険者が死亡して保険事故が発生して保険金を取得した場合には、そのタイミングで相続税などの課税問題が生じます。
■受け取る保険金の割合
注意したいのは、保険金受取人の相続人が取得する保険金の割合です。これについては、平成5年の最高裁判決により、平等の割合で取得することとされています。相続人が取得するとなると、法律で定められた法定相続分で取得すると考えがちですが、そうではありませんので注意が必要です。
この理由は、生命保険金は、相続税の計算上相続財産として「みなされる」財産であり、民法上は相続財産としては取り扱われないからです。民法上の相続財産(本来の相続財産)であれば法定相続分で取得する、という話も出てきますが、本来の相続財産ではないため、分割債権の原則として平等で取得した、と判断されるのです。
■名義変更しておくことが重要
上記の取扱いは、保険金受取人の名義変更をしていない場合の取扱いです。このような取扱いが問題であれば、早いうちに保険金受取人の名義変更を行っておく必要があります。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
実務上、問題になることの一つに、この保険金受取人が、被相続人の死亡という保険事故が発生する前に亡くなっている場合の取扱いがあります。
■保険金受取人がすでに亡くなっていた場合
保険金の受取人が死亡したときの取扱いとして、保険法において「保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。」と規定されています。このため、保険金受取人の相続人に対し、保険金が支払われることになります。
このように、保険金受取人の相続人が保険金を受け取る権利を取得する訳ですが、この受け取る権利に対しては、被相続人である保険金受取人の相続税の計算上、被保険者の死亡という保険事故は発生していないため、一定の場合を除き相続税は課税されないとされています。もちろん、被保険者が死亡して保険事故が発生して保険金を取得した場合には、そのタイミングで相続税などの課税問題が生じます。
■受け取る保険金の割合
注意したいのは、保険金受取人の相続人が取得する保険金の割合です。これについては、平成5年の最高裁判決により、平等の割合で取得することとされています。相続人が取得するとなると、法律で定められた法定相続分で取得すると考えがちですが、そうではありませんので注意が必要です。
この理由は、生命保険金は、相続税の計算上相続財産として「みなされる」財産であり、民法上は相続財産としては取り扱われないからです。民法上の相続財産(本来の相続財産)であれば法定相続分で取得する、という話も出てきますが、本来の相続財産ではないため、分割債権の原則として平等で取得した、と判断されるのです。
■名義変更しておくことが重要
上記の取扱いは、保険金受取人の名義変更をしていない場合の取扱いです。このような取扱いが問題であれば、早いうちに保険金受取人の名義変更を行っておく必要があります。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。