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市販の目薬“何を選ぶべき”に正解はあるのか?スッキリ感の意外な正体<医師監修>

日刊SPA! 2024年3月1日 8時51分

 ドラッグストアの棚に並ぶ、目薬の数々。デスク作業で目が疲れた、目薬による清涼感が欲しいなど、商品を求める理由も人それぞれだ。
 店舗ではたくさんの商品を見かけるが、何を選ぶべきか迷ってしまうときも。そんな悩みに答えるべく、ドラッグストアでおさえるべき「目薬の選び方」を、多くの患者を支える医療法人社団久視会いわみ眼科の岩見久司先生に聞いた。

◆「ドライアイ」や「眼精疲労」に有効なのは?

 前提として「目の病気は医師にかかって治すのが最善」とするのは、岩見先生。病気の種類によっては「後遺症を抱え、ひいては失明につながることも」と警鐘するが、市販薬にも「病院へかかるほどではない目の悩みに、応える意義はある」と話す。

 ひとえに、市販の目薬と言っても値段もピンキリで、種類も多い。迷ったときは、体感する症状に応じで選ぶのがベター。例えば、よく言われる「目の乾き、ドライアイ」の症状を体感する際のポイントを、岩見先生は解説する。

「ドライアイは、目をうるおす涙の量と質が低下している状態。目がゴロゴロ、チクチクする。ショボショボするなどの症状が出て、おおむねでは、目の表面に痛みや不快感をおぼえることが多いです。この症状への対処が期待されるのは、『ヒアルロン酸』入りの目薬で、涙に近い成分の人工涙液も当てはまります。有効成分『コンドロイチン硫酸』入りの目薬も、同様です」

 目の悩みといえば「疲れ目」や「眼精疲労」も定番だ。この症状への効果が期待される、目薬もあるのか。

「市販薬では主に、筋肉の緊張を取るネオスチグミンがあります。ネオスチグミンはピント調節の筋肉(毛様体筋)が緊張している場合に有効ですが、疲れの原因が目ではなく肩こりの場合もあるため、効果が期待できないときもあるのは注意点です。目の疲れではビタミンB12を『有効』とする意見もありますが、ハッキリと証明されてはいません」

◆結膜炎やものもらいは無理せずに…

 ドラッグストアでは、重めの症状である「細菌性の結膜炎」や「ものもらい」への対応をうたう目薬も。果たして、効果はあるのか。

「市販薬での対処はおすすめできません。細菌による結膜炎、まぶたが痛みを伴って腫れるものもらいでは、抗菌点眼が必要です。市販薬では抗菌成分『スルファメトキサゾール』を含むものもあり、細菌が増殖するのを抑える静菌的抗菌作用は期待できます。静菌的というのは分かりやすく言うとそれほど強い効果はない形になります。結膜炎やものもらいは早く対処しなければ悪化しかねないですし、できれば眼科を受診しましょう」

 さらに、結膜炎は「アレルギー」が原因の場合も。ドラッグストアの目薬で、対処は可能なのか。

「目がかゆくなる、目やにが出る。涙目になるといった症状が考えられますが、抗ヒスタミン剤としての『クロルフェニラミン』や『ケトチフェン』など、遊離抑制剤である『クロモグリク酸』や『アシタノザラスト』、『ケトチフェン』などを配合する商品はあります。市販薬で症状を我慢できる程度であれば使ってもよいですが、かゆみなどをあまりにも我慢できなければ、ためらうことなく病院へ行ってほしいです」

◆メントールは医学的に「毒にも薬にもならない」

 目薬に「清涼感」を求める人も、少なくない。スースーする「メントール」などの成分は意味があるのかも、気になって尋ねた。

「メントールなどの成分は、知覚を刺激するだけです。医学の見地からは『毒にも薬にもならない』といいますか、健康へと結びつく効果はありません。市販薬を常用して強い刺激に慣れると、商品によっては物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、基本は、お好みで選んでよいでしょう」

 ドライアイ、眼精疲労、結膜炎、ものもらいなど……。いくつかの症状に沿って、目薬の選び方を紹介した。結論、岩見先生は「症状が軽ければ市販薬の使用もよいですが、明らかに重い症状を感じているにもかかわらず、ごまかすために使うのはおすすめできません」と注意を促す。

 最後は「市販薬とも、病院とも上手に付き合ってほしい」と願っていたが、無理せず、自分の体と向き合って適切な目薬を使うのが、ベストな選択肢ということだろう。

<取材・文/カネコシュウヘイ>

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