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元いじめられっ子「月給8万円」の美容師が、年商50億円の経営者になるまで

日刊SPA! 2024年3月9日 15時51分

 手取り8万円から始まった美容師時代を経て、27歳で起業。現在では、全国100店舗以上展開する美容室「Dears」の経営など、グループ年商50億円を売り上げるビジネスマンへと転身したのが、2000人以上が学ぶビジネス勉強コミュニティ「北原の精神と時の部屋」の運営を代表する北原孝彦氏。まさに人生の「一発逆転」を成し遂げた彼に、その半生を聞いた。
◆元いじめられっ子が美容師を目指したワケ

 経営者としてグループ年商50億円を達成し、自身のスクールやYouTube配信も多くの人の支持を集める北原孝彦氏。しかし、華やかな活動とは裏腹に、その幼少期は暗いものだったという。

「両親の仕事の都合で、小さいときから1~2年ごとに引っ越しを繰り返していました。学校が変わると勉強も遅れがちになるし、せっかくできた友達もゼロにリセットされる。だんだん性格がひねくれていったんでしょうね。3回目の転校から、次第にいじめを受けるようになりました」

 友人がいない日々。暇な時間があれば寸暇を惜しまず、ゲームにどっぷりハマるように。

「ゲーム代がほしいって、いつも思っていました。そして、中学時代に親に散髪代をもらったとき、『自分で髪を切れば、このお金もらってもいいんだよな?』と思って。以来、散髪代を浮かせてゲームを買うため、自宅の風呂場で自分の髪を切るようになりました」

 そして、この経験が彼の人生を大きく変えることに。

「高校時代に先生から進路希望を聞かれたとき、特に得意なことは何もなかったので迷ったんですが、自分の髪の毛を自分で切っていることを思い出して。突発的に『将来は美容師になります!』と宣言し、美容専門学校へ進学することになったんです」

◆「ほかに行く場所がなかった」居場所を探して美容師へ

 いわば勢いで美容師の道に入ったが、専門学校を卒業後は地元・長野のサロンに就職。美容業界は、入った人の9割が辞めると言われるほど過酷な世界だが、北原氏は「ここが自分の居場所だ」と感じたと振り返る。

「美容業界は職人気質で厳しい世界ですが、ダメな部分は指導してもらえるし、努力してダメな部分を直せば褒められる。僕は小さい頃からいじめを受けていたので、陰湿ないじめがない環境という環境が本当にうれしくて。また、『ほかの場所に行けば、自分はいじめられるに違いない』とも思っていたので、美容業界のほかに僕の居場所はなかったんですね」

◆どんなに頑張っても26万円しか稼げない現状からの脱却

 その後、北原氏は美容師としてスキルを上げ、店長にまで昇進。ただ、そこで築き上げてきた地位を捨て、20代半ばにして長年勤めていたサロンを辞めることを決意する。

「一つの要因は、サロンの社長に『お前は何のために生きているんだ』と問いかけられたのがきっかけです。たしかに、いままで生きる意味みたいなものを考えたことがなかった。そこから、『自分は何になりたいのか』を突き詰めるため、ビジネス本や自己啓発をたくさん読むようになりました」

 人生でやるべきことは何か。自分はどんな人生を歩みたいのか。それを見つめ直したとき、このまま美容師として働き続けるのは無理が大きいと感じるように。

「美容師は給与がとにかく安い。実際、僕の初任給は8万円でした。その後、スタイリストになっても月給は13万円。店長で17万円。最終的にはサロンの社長に次ぐナンバー2の地位に上り詰めても、それでも26万円でした(笑)。こんな状態では、どれだけ頑張っても自分の未来がポジティブにイメージできなかったんですよね」

 しかし、ここからが北原氏の人生は大きく変化していくことになる。離職率が高い美容師業界に一石を投じるため、美容師たちの定着率を高めるビジネス方針を企画。そのアイデアを元に、27歳のときには美容室「Dears」のビジネス展開をスタートした。事業は急成長し、2015年の開始からわずか4年間で全国100店舗以上に広がり、グループ年商50億円を達成したとのこと。

◆成功の理由は「継続力」と「求められたことをやる」

 まさに怒涛の勢いで、たった数年で急成長を遂げた北原氏。月収8万円の美容師からグループ年商50億円を稼ぎ出す敏腕ビジネスマンへと転身できた理由を聞くと、北原氏は「その理由のひとつは、継続力」だと語る。

「僕は本当にめんどくさがり屋だし、不器用。人よりできることが少ないし、結果を出すのに時間がかかるんです。美容師時代にしても、普通の人が10回でできるカットを、僕は20回、30回練習しないと覚えられなかった。ただ、だからこそ継続力がついたんでしょうね。勘所のいい人は、何をやってもすぐに成果が出るので少し稼げると満足してしまう。僕の場合は、得意なものが少ないからこそ、分野を定めたらとことんそれをやり抜くので、結果的に多くの成果が出せるのかなと思います」

 そして、もう一つの成功の秘訣は「周囲から求められていることをやること」。

「僕の場合、『やりたいこと』ではなくて『求められていること』をやっているだけなんです。たとえば、美容業界では『美容師の定着率を上げるにはどうしたらいいか』という業界の課題がありました。それに対して、僕は美容師たちのモチベーションが上がり、離職率を下げるしくみづくりを考えました。だから、美容室オーナーたちのニーズがあったんだと思います」

 その後、スタートさせたオンラインスクールやYouTubeでの発信、コンサル業なども同様で、『北原さんの経験談を聞きたい』『北原さんにコンサルをしてほしい』と言われたから始めました。気づけば、スクールの会員は2000人以上だし、コンサル契約は100社以上。人前で話すのは大嫌いだったのですが、求められたことを思い切ってやってみてよかったなと思っています」

◆「武道館で講演」という夢があるから、布団から出られる

 順風満帆にしか見えない北原氏だが、実はその内面は「根っからの引きこもり」だという。

「僕はメンタルが本当に弱いんですね。嫌なことがあると鬱っぽくもなるし、円形脱毛症にもなります。根っからの引きこもり体質なんですよ。何もなければ、ベッドから出ずにスマホをいじって漫画やゲームに没頭して、食事も布団の上で食べて、風呂にも入らず、髭もそらず、運動もしない」

 そんな引きこもり体質だからこそ、あえて目標を見つけて達成することが、現在の人生の目標になっているという。

「何かしらの目標を持たないと、ほかにやることがない。だから、『次はこれをやろう!』と常に目標を持ち続けているんです。現在の夢はいつか武道館で講演をすること。叶いそうにない夢ではあるのは自覚しています。でも、この目標がある限り、なんとか毎日必死で布団から出て、目の前のことに頑張れるなと思います」

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