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4リットル1867円…「ビッグボトルの激安焼酎」の味は?トップバリュ、大五郎、宝焼酎を“ロックで飲み比べた”結果

日刊SPA! 2024年5月28日 15時51分

 イオンのプライベートブランド商品「トップバリュの焼酎」、ご存じでしょうか。なんと4リットルで1867円(税込)。もう安すぎてデカすぎて、ポカン、としてしまいそうです。
 どうしてこんなに安いのか。そして、飲み心地を含めて本当にお得なのか? 実は酒造メーカー大手からも、類似する商品がリリースされているので、それらと飲み比べつつ、検証してみたいと思います!

◆「激安焼酎」は「焼酎甲類」であることが多い

 まずは、「なぜこんなに安いのか?」という疑問について。ここで「焼酎甲類」というワードが登場するのですが、これは日本の酒税法上の分類で、焼酎には実は「甲類・乙類」という2種類があるんです。

 その一番の違いは蒸留法。焼酎甲類は、純度の高いアルコールをスピーディーかつ低コストで抽出できる「連続式蒸留」によって蒸留されます。つまり、「大量生産に向いた蒸留法で造られているから安い」というのが答えとなります。ちなみに原料は「糖蜜」が一般的で、これはサトウキビから砂糖を搾ったあとの搾りかすから得られる副産物です。

 安くてたくさん造れるなら全部それでええやん、と商人気質の方なら思ってしまいそうです。しかし、焼酎甲類は大量生産でき、クセのないクリアな味わいに仕上げることができる反面、「銘柄ごとの個性を出しにくい」というデメリットがあります。

 そこで、「単式蒸留」によって造られる「焼酎乙類」の出番。こちらは、連続式蒸留に比べると大量生産には不向きですが、原料由来の香味をしっかりと残したまま蒸留することができる、というメリットがあるのです。「麦焼酎、芋焼酎など原料の名前が立てられたものは焼酎乙類」と覚えておいてあらかた問題ないでしょう。

 前置きが長くなりましたが、ここから本題。焼酎甲類は、クセがなくクリア、という特徴を活かして、チューハイをはじめ、さまざまなカクテルベースとして活用されることも多いお酒です。ということで、各々をまずはロックで、その味わいを踏まえて、おすすめの割り方も合わせてご提案します。

「トップバリュ」に加えて今回は、大手酒造メーカーの銘柄「アサヒ 大五郎」と「宝酒造 宝焼酎」を飲み比べました。

◆トップバリュ「焼酎25度」

 まずは「トップバリュ 焼酎25度(4L) 1867円(税込)」から。公式HPには、「マイルドな口当たりの奥深い味わい」とありました。原料にはサトウキビ糖蜜に加え、大麦、大麦こうじが使用されています。では実飲。

 ロックグラスを鼻に近づけると、サトウキビらしき香りがほんのりと漂います。飲むとサトウキビの風味がマイルドに香り、大麦も相まってか、自然な甘みがやさしく広がります。アルコール感は、後味に少しだけ感じるかな、という程度。

 カクテルベースにするなら、この「自然な甘み」を活かした組み合わせがよさそうです。今回は“お茶割り”の中でも「ウーロン茶割り」、いわゆるウーロンハイにしてみました。

 すると、まるで紅茶のアイスストレートティーのように、茶葉の香りとともに甘みがやわらかく広がる一杯に。ウーロン茶の銘柄は、苦みが穏やかなものを選ぶとよさそうです。割り方は焼酎1:ウーロン茶3で作って、好みで調節してみてください。

◆アサヒ「焼酎大五郎25度」

 お次は「アサヒ 焼酎大五郎25度(2.7L) 1584円(税込)」。こちらは原料にサトウキビ糖蜜のみを使用しています。公式HPによると、「仕上げに純水を使用。クセがなく飲みやすく、口当たりよくすっきりしていて、飽きのこない味わい」とのこと。ではいってみましょう。

 ロックにして匂いをかぐと、アルコール臭が軽くツンときました。口当たりはほぼ無味無臭、そこから糖蜜由来の甘みがじんわりと込み上げてきます。感覚で言うと、お米を噛んでいるときに近い。なおアルコール感は匂いだけで、今回飲み比べた中で「もっともクリア」、だと感じました。

◆「梅ソーダ割り」にして飲んでみると…

 アルコールベースとして汎用性が高そうですが、今回はひと味加えて、「梅ソーダ割り」にしてみました。梅の塩気と酸味、香りが良いアクセントになります。こちらも焼酎1:炭酸3から適宜調整を。梅は、しそ・はちみつどちらでも。

 梅は少し大きめなら1個、小さければ2個入れてもよいでしょう。箸などで梅をつぶしながら飲むのが、おいしく味わうコツです。

◆宝酒造「宝焼酎」

 ラストは「宝酒造 宝焼酎 2リットル1207円(税込)」。

 こちらは焼酎甲類でもほかの2銘柄とは異なり、糖蜜のみを原料に連続式蒸留したピュアな焼酎に、大麦・トウモロコシを原料にした樽貯蔵熟成の蒸留酒をブレンドした造りとなっています。公式HPには、「ロックや水割りだとまろやか、カクテルベースにしても焼酎の味がしっかりと感じられる」ということが書いてあります。それでは実飲!

 これは、ほか2銘柄とはかなり別物ですね。アルコール臭も少しありますが、それとともに大麦やトウモロコシの穀物感ある、複雑なアロマがあります。飲むと青草のような青みがかすめて、麦の熟成感ある甘みやほのかな苦みが広がり、余韻まで麦の香りが続きます。ちょっと軽めの麦焼酎くらいの、「味わい深さと複雑味」をしっかりと感じました。

 ロックでもじゅうぶんですが、割るとしたら水割りや、ソーダのみで割るプレーンチューハイなど、シンプルな方法でよさそうです。青みのある口当たりが印象的だったので、その青みにフォーカスし、今回はレモンチューハイにしてみました。

 作り方は、やはり焼酎1:ソーダ3、レモン汁はひとたらしするだけで、味わいがぐっと爽やかになりますよ。

◆焼酎が苦手な人への入門編にもなりうる

 総評として、焼酎乙類よりも、焼酎甲類のほうがむしろアルコール臭さは感じにくいのでは? と思いました。しかも、飲み比べてみるとけっこう違いがわかります。いろんな割り方で楽しめ、味わいがフラットでどんな料理にも合わせやすいので、一本常備しておくのはじゅうぶんにアリでしょう。

 なおそれぞれの価格は、筆者の実際の購入額で、店舗によって異なりますのでご注意を。

 安くて便利な焼酎甲類、自宅に一本迎えてみてはいかがでしょうか?

文/川瀬章太

【川瀬章太】
フリーライター。神戸・大阪の編プロに8年勤務し、グルメ・街ネタ誌や飲食業界誌などを手がける。取材経験は1500件以上。某純文学新人賞の最終選考に3度残ったことがある。現在はWEBサイト「LIQLOG」などで、ビギナーにやさしいお酒の基礎知識や取材記事を執筆中

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