結婚して、子どもを産んで、家を買う「普通」の生活が、手の届かない存在になってしまったのはいつからだろう。しかし、幸せにはカネが必要だというのはただの思い込みかもしれない。週5勤務、長時間労働、退屈な業務……すべてやめても生きていける。
◆山奥に建てた自作の小屋で生活コストをほぼゼロに
働く頻度:月0日、月の支出:3万4000円
千葉県の山奥にある農道を通り、指定された住所へ辿り着くと、手作りの小屋が並ぶ一画が見えてきた。
ここに暮らすのは、北海道出身のかずひろさん(34)。約2年前に50万円で土地を購入し、DIYで小屋を建て、YouTubeで多くはない収益を得ながら働かない生活をしている。
「もともと会社組織に馴染めない自覚はありました。大学を卒業して企業に就職しましたが、好きでもない仕事をするストレスに耐えられず、すぐに辞めてしまいました。早くリタイアしたかったんです」
◆若くしてリタイアするには大金を稼ぐしかないと思っていたが…
当時のかずひろさんは、若くしてリタイアするには事業に成功して大金を稼ぐしか方法はないと思っていた。
「そう悩んでいた時期に、山奥に小屋を建て、生活コストをかけずに好きなことをして暮らしている人たちがいることを知りました。私もDIYが好きでしたし、土地を購入して小屋を建ててみたんです」
小屋製作の初期費用は土地代と資材を合わせて160万円ほど。現在は小屋暮らしの様子をYouTubeで配信しており、視聴者が必要なものをくれることもあるという。
「ソーラーパネルを設置しているので電気代は基本ゼロ。曇りの日は使えませんが、それでも月に数百円程度です。生活用水は雨水を溜めて利用しているので0円。薪に着火する際に使うガスボンベ代は月換算すると30円程度。月の支出は食費3万円とガソリン代4000円くらいです」
◆DIY研究の成果が小屋の至るところに
小屋の内部や設備をかずひろ氏に案内してもらった。
「メインの部屋にはエアコンを入れて、壁は断熱材で覆っています。風呂は溜めた雨水を薪ボイラーで沸かしていますが、冬は沸くまでに2時間かかります。トイレは外にあるテントの中に穴を掘り、便器を置くだけの『ピット式』です。穴が埋まったら新しい穴を掘って便器をずらし、土が分解してくれるのを待ちます」
◆「小屋暮らしは万人にとって快適なわけではない」
住居にかかる費用がほぼゼロになるのは魅力だが、「小屋暮らしは万人にとって快適なわけではない」と本人も話す。ゆえに、かずひろさんは現在、シェアハウスをオープンするべく準備を進めている。
「自分と同じような境遇の人たちに、ある程度快適な空間を安価で提供したい」
とはいえ、マンションやアパートに比べれば快適さは劣る。極力働かない生活を実現するためには、何かを捨てる勇気も必要なのかもしれない。
取材・文・撮影/藤中一平
―[[もう働かない]生き方]―
◆山奥に建てた自作の小屋で生活コストをほぼゼロに
働く頻度:月0日、月の支出:3万4000円
千葉県の山奥にある農道を通り、指定された住所へ辿り着くと、手作りの小屋が並ぶ一画が見えてきた。
ここに暮らすのは、北海道出身のかずひろさん(34)。約2年前に50万円で土地を購入し、DIYで小屋を建て、YouTubeで多くはない収益を得ながら働かない生活をしている。
「もともと会社組織に馴染めない自覚はありました。大学を卒業して企業に就職しましたが、好きでもない仕事をするストレスに耐えられず、すぐに辞めてしまいました。早くリタイアしたかったんです」
◆若くしてリタイアするには大金を稼ぐしかないと思っていたが…
当時のかずひろさんは、若くしてリタイアするには事業に成功して大金を稼ぐしか方法はないと思っていた。
「そう悩んでいた時期に、山奥に小屋を建て、生活コストをかけずに好きなことをして暮らしている人たちがいることを知りました。私もDIYが好きでしたし、土地を購入して小屋を建ててみたんです」
小屋製作の初期費用は土地代と資材を合わせて160万円ほど。現在は小屋暮らしの様子をYouTubeで配信しており、視聴者が必要なものをくれることもあるという。
「ソーラーパネルを設置しているので電気代は基本ゼロ。曇りの日は使えませんが、それでも月に数百円程度です。生活用水は雨水を溜めて利用しているので0円。薪に着火する際に使うガスボンベ代は月換算すると30円程度。月の支出は食費3万円とガソリン代4000円くらいです」
◆DIY研究の成果が小屋の至るところに
小屋の内部や設備をかずひろ氏に案内してもらった。
「メインの部屋にはエアコンを入れて、壁は断熱材で覆っています。風呂は溜めた雨水を薪ボイラーで沸かしていますが、冬は沸くまでに2時間かかります。トイレは外にあるテントの中に穴を掘り、便器を置くだけの『ピット式』です。穴が埋まったら新しい穴を掘って便器をずらし、土が分解してくれるのを待ちます」
◆「小屋暮らしは万人にとって快適なわけではない」
住居にかかる費用がほぼゼロになるのは魅力だが、「小屋暮らしは万人にとって快適なわけではない」と本人も話す。ゆえに、かずひろさんは現在、シェアハウスをオープンするべく準備を進めている。
「自分と同じような境遇の人たちに、ある程度快適な空間を安価で提供したい」
とはいえ、マンションやアパートに比べれば快適さは劣る。極力働かない生活を実現するためには、何かを捨てる勇気も必要なのかもしれない。
取材・文・撮影/藤中一平
―[[もう働かない]生き方]―