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迷惑客よりもタチの悪い“迷惑店員”。「わざと愛想悪く接客」する理由にア然…

日刊SPA! 2024年6月19日 15時54分

 入職のために面接を受けたときには印象がよかったのに、いざ働きはじめてみるとまったく違っていたという経験はないだろうか。今回は出産後、久しぶりに社会復帰することになった柴咲千加さん(仮名・32歳)が驚愕した話について紹介したい。
◆雑貨屋でアルバイトを始める

 柴咲さんは、子どもたちが小学校に入学するタイミングで社会復帰を決意し、自宅から少し離れた雑貨屋へ。面接時、店内にいた20代前半ぐらいの女性スタッフ3人がニコニコと微笑みかけてくれ、面接担当だった店長にもスムーズにつないでくれた。

「店長も人がよさそうな感じだったので、面接に受かったと連絡をもらったときはすごく嬉しかったです。初日に雑貨店へ行くと、面接のときにニコニコと愛想よく接してくれた職場の先輩たち3人がいて、そのうちの一人が主に仕事を教えてくれました」

 面接で会ったときよりは素っ気ないと感じたが、不快というほどではない。ちょっとした違和感を抱きつつも、自分の仕事を覚えることに集中した。ただ、「この店、人を増やす必要ってあるの?」と疑問に思うほどお客が来ない。

◆なぜかずっとお客さんが来ない店

「お客さんが来ないあいだは、すごくヒマになります。積極的にやろうと思えば、商品のレイアウトを変えたり仕入商品をリストから選んだりといろいろあるのですが、そういうことは一切しません。3人でしゃべったり、スマホをしたりして時間を潰すのです」

 防犯カメラを意識してか、パソコンの画面に仕入商品のリストを表示させてまったく違う世間話で盛り上がることもたびたび。2人1組で新商品の品出しや売れにくい商品を整理するフリをしてサボることも常態化していた。

「トイレに行ったら15分ぐらい戻ってこないことも、しょっちゅう。でも、仕事を押し付けられるような形だったので、すぐに1人でも作業や接客ができるようになりました。そういった状況にも驚きましたが、もっとビックリしたのがお客さんへの対応です」

◆わざとお客に対して態度悪く接している?

 愛想がいいのは、店長やエリアマネージャーが来たときだけ。先輩スタッフ3人は、お客が来ると不機嫌になり、対応中も不愛想ですごく感じが悪いのだ。シフトで先輩スタッフ3人がバラけて他の人が混じるときはマシなのだが、3人揃ったときはお客に申し訳ないほど。

「最初は先輩たちがどうしてそんなことをしているのか謎だったのですが、打ち解けてくると、『柴咲さんも、そんな愛想よくしなくていいよ』『そんな愛想よく対応されたら、むしろ私たちが迷惑』と言いはじめたのです」

 さらに、「お客に対して態度悪く接しているのは、わざと」だと言い、その理由については「だるいから」「お客が減るように」「客が来ても来なくても、同じ時給」などと説明。「愛想が悪くても、レジとか商品包装とかやることやってれば、客も文句は言わない」とも。

◆覆面調査員が派遣されていた!

「職場にいる3人ものスタッフが同じような歪んだ考え方をしていることに驚きましたし、おもてなしの心がないことが残念に感じました。それから半年以上が経ったとき、珍しく店長とエリアマネージャーがいっしょに来店。先輩スタッフ3人が呼び出されました」

 スタッフルームのドアが薄く、少し開いていたため、レジ付近で耳を澄ますと会話がダダ漏れ。先輩たちが、ものすごい剣幕で怒られているのが聞こえてきた。実は以前から、接客に関しての苦情が本部へ複数回入っていて、売上もほかの店舗と比べて極端に悪かったとか。

「状況を把握するため、本部はだいぶん前から接客をチェックする外部の調査員(覆面調査員)を派遣していたようでした。そしてこれは店長からあとで聞いた話ですが、私を雇ったのも、『調査の結果を伝えて指導したとき、3人全員が辞めたら困る』という理由だったようです」

◆“ありえない店員”たちのその後

 店長やエリアマネージャーは、辞めていったスタッフやほかのスタッフからも相談を受けていて頭を悩ませていたようだ。かなり怒られてバツが悪かったのか、3人は示し合わせたように翌日から連絡もなく来なくなってしまったという。

「お陰で職場の士気も上がり、働きやすくなりました。ただ、辞めていった3人のように“おもてなしの心”がない人には、もう二度と接客に携わる仕事をしてほしくありません。彼女たちの行為は、接客業で頑張る人たちの足を引っ張る所業でしかないと思うからです」

 迷惑客が話題になることもあれば、今回のように“ありえない店員”について議論が交わされることもある昨今。どちらに遭遇しても気分が萎えること間違いナシの悲しい現実を変えていくには、相手の気持ちを考えた思いやりの行動が求められそうだ。

<TEXT/夏川夏実>

【夏川夏実】
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Twitter:@natukawanatumi5

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