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ホストから窃盗を繰り返した“令和のキャッツアイ”。本人が語った「逮捕されて本当によかった」理由

日刊SPA! 2024年6月25日 15時53分

 今から4年前(2020年)、新宿区のホスト宅を次々と狙い、現金やブランド物を窃盗していた女性2人組がいる。美人姉妹の怪盗を描いた北条司氏の漫画を重ね、警視庁は「令和のキャッツ・アイ」と名付けて捜査。2人は窃盗と建造物侵入の容疑で逮捕された。
「私は2年6か月の実刑判決を受けて、去年2月に出所してきました。こんなことを言ってはおかしいかもしれないけど……捕まって本当によかったです」

 令和のキャッツ・アイと呼ばれた2人組のひとりであるAさんが涙ぐんで言う。彼女に当時の心境を聞いてみた。

◆ホストにハマったきっかけ

 Aさんはそもそもホストクラブに興味はなかったという。その世界に初めて足を踏み入れたのは20歳の頃だった。

「親友の行きつけのボーイズバーがあって、そこの子がホストデビューするとのことで。私は、あくまで親友の付き添いで行ったんです。ただ、結局は満卓で入れなくて。歌舞伎町の道端でキャッチに誘われて別の店に入ったんですが……なぜか私のほうがホストにハマってしまったんですね(笑)」

 そこで出会ったホストは同世代のイケメン。“有名ホスト”に分類される知名度と売上があったそうで「ミーハーだったから、純粋にスゴいって思っちゃった」と指名することに。

「お店に行った数日後に彼と店外デートしました。居酒屋で飲んで、彼の家に泊まりました。有名な彼が私にこんな時間を使ってくれたから『お店に行かなきゃ!』って使命感にかられて(笑)、誘われてもいないけど店まで飲みに行って。

 その日から、店まで飲みに行ったら彼から『今日も家くるよね?』みたいに言われて一緒に帰るという同棲生活がスタートしました」

◆「とうとう自分もここまできちゃったか」と恐怖心

 ホストクラブに通う以前、18歳の頃から夜の店で働いていたAさんは、金銭的に困ることもなく店に通っていたそうだ。

「毎日お店に行っても1回3万〜4万円前後だったから、私の収入的にはぜんぜん問題ありませんでした。

 手持ちの現金が足りず、初めて“売掛”をしたのは……ものすごく店が暇な日があって。ヘルプが全員私の席に着いちゃったんです。盛り上げて単価を上げるために、みんなでゲームしたりしていたら会計が16万円になりました。私は15万円しかもっていなかったので1万円の売掛をしました。そこからですね」

 そのとき、Aさんは「とうとう自分もここまできちゃったか」と初めて恐怖心を覚えたという。

「今までは毎日の稼ぎの中で遊んでいたのに、その範囲を超えてしまったことがすごく怖かった。ここでヤメておけばよかったんですけどね」

◆犯罪に手を染めてから“いつか捕まるんじゃないか?”

 売掛はクセになってしまい、額はどんどん上がっていく。こうして歌舞伎町にどっぷりとハマっていった。そして担当のホストが何人か変わりゆく中で、“令和のキャッツアイ”として共に逮捕されたBさんに出会う。

「共犯者のBは歌舞伎町では有名な子だったんですが、彼女と話しているうちに、窃盗で結構な額を手に入れていることを知ったんです。ホストは脱税してるから、盗んでも警察に通報されることはない、みたいな。それで当時は好奇心でやってしまったんです。

 合鍵をもっているホストの家に行ってみると、紙袋に1200万円もの現金が置かれていて。 それをBから『半分ずつね』って、600万円を渡されて」

 こんなに簡単に大金が手に入るなんて……Aさんは驚いた。しかし、犯罪に手を染めてから“いつか捕まるんじゃないか?”という不安に苛まれるようになった。

「警察に捕まる夢を見るようになって。お酒に酔っているとき以外は、ずっと捕まることを考えていて、精神的に苦しかったです。ただ、1回やってしまったら、もう引き返せないというか、何回やっても同じというか。やり続ける(盗み続ける)という選択肢しかありませんでした」

◆捕まった瞬間は“ようやく止めてもらえた”

 逮捕当時は窃盗したお金でホストに通っていたというが、恐ろしいことに「高級ソープで働いたお金だけじゃ足りなかったから」とうつむく。

「好きなホストがいました。彼は私以外に同棲している“エース”(いちばんお金を使う客)がいて、その子が月300万円とか使っていると聞いて。そのポジションになりたくて、どうしてもお金が欲しかった。

 店に行けば、必ずアフター(店外デート)もしてくれて、お泊まりもしてくれて、すごく優しくて大好きな担当だったけど、別の女の子と住む家に帰っていく後ろ姿を見て、不安で不安で仕方がなかった。彼のせいにするつもりはないし、窃盗した理由にはならないと思いますけど」

 そして、ついに警察が家にやって来る。

「捕まることばかり考えていたので、捕まった瞬間は、“ようやく止めてもらえた”って安心したんですよね」

◆「早く全て払い終わりたい」

 現在は、ホストクラブはもちろん、歌舞伎町にも「行きたいとは思わない」と話すAさん。最近はホスト関連のニュースを見て「ホストという仕事やホス狂いの子たちを決して否定するわけじゃないけど」と前置きした上で、こう話してくれた。

「ハマりすぎるのはあぶない。今はなんで窃盗なんてやったんだろう、バカなことをしていたってわかるけど、あのときは犯罪をする罪悪感よりも大好きだったホストの役に立ちたかった。ホストに行っている友達しかいなかったし、家族とも疎遠でホストしか頼れる人がいなかった。身の丈にあった遊び方ができなくなったら危険信号ですね」

 Aさんは被害弁償に追われているという。「早く全て払い終わりたい」と繰り返していた。

<取材・文/吉沢さりぃ>

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720

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