Infoseek 楽天

ボーナスを貰った次の日に辞めた新入社員。それってアリ!?<大人気記事・傑作選>

日刊SPA! 2024年6月29日 15時44分

新入社員が今年もやってきました。そこで「驚きの新入社員」の記事の中から、反響の大きかったトップ10を発表。惜しくも次点だった記事はこちら!(初公開2020年6月8日 集計期間は2018年4月~2023年12月まで 記事は取材時の状況) *  *  *

 驚きの新入社員。あなたの会社にもいるのではないだろうか?

「頑張ります!」と張り切っていたのにもかかわらず、とんでもない辞め方をする。そんな新入社員の被害に遭った一人の男の話を聞くことができた。

◆新入社員の教育係になったら…

「あの子にはびっくりしました」。溜息交じりで語ってくれたのは、人材派遣会社で営業職として働いている五郎さん(仮名・38歳)。勤続15年のベテラン社員で、昨年、ある新入社員の教育係に任命された。

「A子は入社して間もなく、私が働くエリアに配属されました。地方のため、車を使用したほうが営業効率の上がる場所です。しかし彼女は運転免許証を持っておらず、営業回りには苦労しました」

 特急電車、タクシー、時には新幹線、A子さんが営業に行けばいくほど経費がかかった。

「“運転免許は取らないの?”と聞いたこともありましたが、“女子だし要らないですね”ってキッパリと言われました。これまで、内定時に運転免許を持っていなかった社員は入社前、自主的に取得をしてくれていました。ですが会社としても教習所の費用を出すことは無理なので、強制はできないんです。

 とはいえ、このことはA子に非があるわけではない。免許を取得していないのは入社後に分かることで、なぜ人事部は彼女をこのエリアに配属させたのか? が問題です。まったく理解できませんでしたね」

 案の定、半年後に営業経費がかかりすぎていることが所内で問題となり、彼女は車が必要のない関東エリアへ転勤となった。

「最初から関東エリアに配属しろよ……って感じですよね。しかも、A子の転勤が決まったことで、直属の上司であった僕も一緒に転勤です。独身なので別にいいんですが、迷惑っちゃ迷惑です」

 一方、A子さんはすごく喜んでいたと語る。

「“会社負担で関東エリアに引っ越せる”ってウキウキしていましたね。今どきの若い子って感じ。元々都会育ちだったので、地方配属になったのは辛かったんでしょうね」

◆連日の残業も、新人を根気強く指導

 配属エリアが変わったことで、五郎さんは業務の引継ぎ、そしてA子さんの指導にてんてこ舞いだったとか。

「地方の営業所と違って得意先が沢山あるので、毎日残業だったのですが、A子、定時になるとソワソワしはじめるんです。そして、“やっぱり今日も残業ですよね”って溜息。僕だって残業は嫌ですよ。でもここが踏ん張り時と彼女に伝えていました」

 1日でも早く業務を覚えて欲しいと必死で彼女に指導した五郎さん。時には嫌そうな顔をされたというが、グッと堪えて我慢したと振り返る。

「つい最近まで大学生だった彼女にとって、大きな試練だったのではないでしょうか。僕としてはこの山をどうにかして乗り越えてもらいたかったですね」

 それから数か月が経過し、会社員にとって嬉しいモノが渡される日がやってきた。それは冬のボーナスだ。

「ボーナスは、個人成果と事業所成果の合計で計算されます。業界としては忙しいので、平均より高いボーナスが支給されているのではないでしょうか」

 A子さんにとっては初めてのボーナスだ。当然、とても喜んでいたという。

「所長から手渡しされた時、“これからも頑張りまーす”って語尾を上げてウキウキでしたね。若い子が喜ぶ姿は可愛いです。指導は大変でしたが、やって良かったと思いました」

 五郎さんにとっても達成感のあるボーナス支給日だった。しかし……。

◆精神科の診断書を持ってきて…

「次の日、出社してすぐ、A子は私の元にやってきました」

 A子さんの手には1通の紙、それを五郎さんへ渡した。なんとそれは精神科の診断書だったのだ。

「“私、辞めます”の言葉と一緒に、精神科の診断書を渡されました。昨日まで頑張りますとか言っていた子が…びっくりでした」

 心当たりはなかったものの、五郎さんは自分に非があると思い、“不快な思いをさせたことがあったらごめん”と謝った。しかし、理由は違った。

「“実は所長が元カレに似ていて、毎日顔を合わせるたびに思い出しちゃって気持ち悪くなるんです。この前転勤してきたばかりだし、当分転勤はないと思ったら辛くて。”って言われました」

 五郎さんが呆れてしまったのは言うまでもないが、辞められてしまっては今までの苦労が水の泡。A子さんの担当業務が五郎さんの元に来る羽目にもなる。必死で彼女を引き留めたそうだ。

「“男性には分からないと思います、女子の気持ち。トラウマなんです私にとって。だからもう辞めます!もう引き留めないでください。”だそうです。泣かれながら言われたらお手上げです。

 トラウマと言っていましたが、彼女のせいで新入社員指導はトラウマになりました。明らかにボーナス狙いの犯行としか思えませんし、人間不信にもなりますよね」

 彼女の退職後、五郎さんの元には大量の仕事が。彼はしばらくの間、終電間際まで仕事をしていたそうだ。

「人事部はきちんと見極めて採用してほしい。この件で、会社に対しても不信感です」

 様々な考え方が認められてきた時代ではあるものの、明らかに非常識な理由で退職をするのは如何なものか……。<取材・文/吉田みく>

この記事の関連ニュース