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いよいよ7月3日から!新紙幣の3人はどんな人?いま聞いても刺さる名言集<大人気記事・傑作選>

日刊SPA! 2024年6月30日 15時44分

過去5万本の記事より、いま再び話題になっている記事に注目し紹介する!(初公開2019年4月11日 記事は取材時の状況、ご注意ください) *  *  *

 2019年4月9日、政府は2024年をメドに紙幣のデザインを一新すると発表しました。先般の新元号の発表に続き、時代の転換を感じさせる出来事となりました。しかし、会見の中で発表された新紙幣の肖像画となる人物にピンとこない方も多いようです。

 そこで今回は、肖像画に選ばれた3人が残した名言から、その人物像を見てみることにしましょう。そこからは、現代に暮らす私たちにも、とても大切なメッセージが読み取れるのです。

◆基礎に立ち返る重要性を説いた1000円札の北里柴三郎

 1000円札に選ばれたのは、ペスト菌を発見し「日本細菌学の父」と言われる医学者で、日本医師会や北里大学の創立者である北里柴三郎氏。次のような名言を残しています。

「終始一貫」

 北里氏は、若い頃から常に基礎を大事にし、ペストを発見して世界的に名を馳せた後でも、何度も基礎へ立ち返るようにと繰り返していました。選択肢が増え何においても多くのものから選べるようになった現代人は、少し行き詰まるとすぐに別の選択肢に乗り換える癖が付いています。

 すると、何かに特化した職人はうまれにくく、いろんなことを及第点でこなせる人材ばかりが溢れていきます。そんな現代で、終始一貫の精神を守れば、自分だけの未来が見えてくるかもしれません。

◆ネット社会への警鐘にもなる、5000円札の津田梅子が残した言葉

 5000円札の肖像は、日本の女子教育の先駆者となり、津田塾大学を創立した津田梅子。彼女もまた現代に通じる名言を残しています。

「ひとりひとりの人生の航路には、独りで立ち向かわなければならない、それぞれの困難と問題があります」

 なんでも共有しシェアする現代。今こそ「あえて」ひとりで感じ考えるものに目を向けなければいけません。なぜなら、人生の様々な岐路においてその決定をするのはひとりひとりだからです。そして何より、誰にも等しく訪れる「死」の孤独や痛みは、すべての人がひとりで受け取るものだからです。

「人生の導き手である良い書物は、その書物のなかで語る偉人たちの言葉は、求めさえすれば皆さんのものとなることでしょう」

 ネットの普及によって、津田氏がこの言葉を語った時代より、現代に暮らす私たちの方が何十倍も偉人の言葉に触れる機会が多いでしょう。しかし私たちは、タイムラインに流れていくものを流しっぱなしにしてはいませんか。求めることの大切さを語った彼女の言葉を思い出していただきたく思います。

◆物事がうまくいかない時は待つ?10000円札の渋沢栄一の名言

 数多くの銀行や会社の設立に関わり、文明開化期の日本の経済的発展に大きな影響を与えたのが、今回の新1万円札の肖像となった渋沢栄一です。氏が残した名言を見ていきましょう。

「どんなに勉強し、勤勉であっても、うまくいかないこともある。これは機がまだ熟していないからであるから、ますます自らを鼓舞して耐えなければならない」

 仏教のことばに「啐啄同時(そったくどうじ)」というものがあります。鳥のヒナが卵の中から殻をつつくと、それと同時に親鳥が外から殻をつつく。殻を破るものと、それを導くもののタイミングがピッタリ合ってこそ、次のステージに出られるという意味です。

 渋沢氏のこの言葉も、自分が勉強し、次のステージに出たいと思った時にうまくいかないジレンマを表しています。物事にはタイミングというものがあり、それを静かに待つことが大事だと語っているのです。

「人は全て自主独立すべきものである。自立の精神は人への思いやりと共に、人生の根本を成すものである」

 Youtuberが仕事になる時代、個人事業主が増えると、自立・独立はこれまで以上に意識されるようになりました。しかしその時、自分のことばかりを考えている人が多くありませんか? 渋沢栄一はそんな現代の私たちに、過去から警鐘を鳴らしているのです。

 数年後にやってくる紙幣のデザイン刷新、これを縁に過去の偉人の言葉について考えて見てはいかがでしょう。

<文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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