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「無職であることは悪ではない」ひろゆきが定義する“勤労”とは?

日刊SPA! 2024年7月2日 15時51分

無職や生活保護に対する偏見が根強い日本では、「無職=悪」という風潮が広がっている。しかし、「無職になることは必ずしも悪いことではない」と異論を唱えるのが共著『あたらしい生き方』(扶桑社)を上梓したひろゆき氏とひげおやじ氏。
同書は、無職の人々からの投稿を紹介するYouTubeコンテンツ「天下一無職会」から誕生したものだが、その書籍内で両氏は多くの人が持っている日本国憲法にある勤労や納税の義務への勘違いを指摘し、「対価を得ることのみが労働ではない」と語る。

二人が考える現代日本の社会構造と価値観から見えてきた。あたらしい生き方、そして考え方とは?書籍から一部抜粋・再編集してお届けする。

◆無職になることは“悪”なのか?

ひげおやじ:世の中「無職になること=悪」になっている部分ってあると思う。罪悪感というか将来への不安や怖さがあって、みんな我慢して働いていて、それで病んでしまう人もいる。「天下一無職会」って、そういう人たちの気持ちを少しでも緩和できたらなと思って開催したんだよね。本当は仕事を休みたいし会社を辞めたいと感じている人も多いと思うから。

ひろゆき:そういう人もいるよね。無職の人で面白いエピソードのある人は働き盛りの20〜30代が多いし。どうしようもないガチ無職は50代が多いけど。

ひげおやじ:そうかもしれない……。そもそもだけど、僕は無職になることには肯定的。

ひろゆき:僕は無職・有職に肯定とか否定は特にないかな。どんな職業だろうと別にかまわなくて、例えば、無職がブログ書いて得る収入も、家がお金持ちでもらえるお小遣いも、額面が同じなら一緒。そうした状況があるのだから肯定すべき/否定すべきという切り分けがないと思っている。そもそも論として、職業で善悪を分けるのは間違っているんじゃないかな。

◆収入がない人に納税の義務はない

ひげおやじ:話していることのニュアンスはわかるし、基本一緒。ひろさんはフラット。僕はポジティブ寄りのフラットで全肯定かな。なんでかというと、「天下一無職会」に応募してくださる方ってみんな面白くて明るくて前向きだから、そのまま突っ走っても全然いいと思う。「日本には勤労や納税の義務がある」と怒る人もいるけどね。

ひろゆき:納税の義務は収入がある場合に納税する義務であって、収入がない人の義務ではない。子どもがいない人は、教育を受けさせる義務を果たしていないのと同じだよね。

ひげおやじ:勤労の義務も、別に対価をもらうことが勤労であるという定義は特段ないわけだからね。

ひろゆき:孫の世話とか、近所でNPO活動をしている人に「勤労してない」と言うのも違う。勤労とはなんぞやという話。現在の段階で理解されない誰かの役に立つことをしていたとしても、例えば、ゴッホみたいに100年後に偉人になることもある。

ひげおやじ:それは、ゴッホは勤労だったということ?

ひろゆき:ある意味で。存命当時は絵を描き続けたしね。結果、後世では莫大な価値を生んだけど当時は全く理解されず、絵も2枚しか売れなかったけど。そもそも「月給をもらうのが勤労である」というのに誤解があるんじゃないかなと。

◆無職は倫理、モラル上の問題はない

ひげおやじ:「憲法があるんだから、こいつは義務を守ってない」と思うこと自体が最初から誤解という話だよね。

ひろゆき:要は無職が悪として咎められるべきなのかということ。そりゃ世間一般的には無職に対しての圧力はあると思う。ただあくまで憲法上の話であって、倫理やモラルの話だと今のところ別に何の問題もないと思うのね。

ひげおやじ:働かないとモラルがないと言われたりするけど、実際に何がお金を生み出すのかはわからないしね。僕自身も最初は今の仕事でお金をもらうつもりはなかったし。そもそもボランティアでお給料は要らないよ、ということで始めたのが、いつの間にかやることが増えて、「それだと会社的に……」みたいな話からお金をもらうようになったわけだし。逆にお金を稼ぐことを目的にしてしまうと面白いことはできなくなると思う。理想は面白いことをして結果的にお金につながること。そういう理想を追いかける余地を社会の中につくれるほうがいいんじゃないかなと思う。

ひろゆき:「別に対価を得る労働をしなくていいのに」と思っている人で、働かないって選択肢を本人が選ぶなら、どっちでもいいと思う。

ひげおやじ

1977年生まれ。Webディレクター。ニュースサイト「ガジェット通信」の副編集長。国内動画サイトで数々のWeb番組を手掛け、制作したライブ配信の累計再生数は1億回を超える。ひろゆき氏とは20年来の仲。YouTubeのチャンネル登録者数は26万9000人、X(旧Twitter)のフォロワー数は13万6000人(いずれも2024年5月1日現在)。自称「世界で一番忙しいニート」。近著に『プラマイゼロの生き方』(repicbook)がある。

構成/杉原光徳(ミドルマン)

【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。『僕が親ならこう育てるね』という初の子育て論本が発売。著者印税は児童養護施設へのパソコン寄贈に充てられる

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