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ABCマートで買うべき「コスパ高すぎスニーカー3選」ナイキ、サッカニー、VANS

日刊SPA! 2024年7月3日 15時52分

こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
◆ハズレを引く可能性が低くなった「ABCマート」

2023年2月期決算では、連結売上2900億円と過去最高に達し、靴小売りでは業界首位として君臨し、もはや敵なしの「ABCマート」。以前は激安店といったイメージもあり、低コスト・低品質な靴も目立っていましたが、今は様相が異なります。極端に安くはないけど、それなりの高品質でコスパのいいモデルをそろえる方向にシフトしているからです。つまり、ハズレを引く可能性が低くなった。

そして、最大の強みはその在庫力です。品質のいい靴の在庫があり、人気モデルならメーカーより数千円も安いことが多々あります。ショップに在庫がなくても、全国の店舗の在庫状況をリアルタイムで調べ上げ、数日で取り寄せてくれます。

そんなABCマートですが、買うべき靴と買うべきではない靴があります。

まず、買うべきは「カジュアルスニーカー」です。日常履きに近いゾーンが圧倒的に強く、もしジム用や本格ランニング、部活用シューズなどガチンコの運動靴を探すのなら、メガスポーツ店に行きましょう。ABCマートにもガチシューズはありますが、これは本格スポーツウェアをユニクロで探すようなもの。基本的に流行を意識した品ぞろえなので、「なんとなくいいスニーカー」を探している場合に限って、大変便利なショップだと言えるのです。

◆まずはおさえたい高コスパ商品

人気製品を大量に仕入れ、大量にさばくのがABCマートです。メーカー直営店より在庫がそろっていることも多々あります。たとえば、毎夏飛ぶように売れていてリピーター続出のナイキ「エアリフトブリーズ」。

去年まではセレクトショップでもかなり置かれていましたが、人気化していて今年はなかなか手に入りません。構造が足袋そのものでしっかり歩ける構造、かつサンダル代わりにも使える汎用性と通気性。また、ソールはエアがしっかり効いているので、歩くたびに足の裏の筋肉がフル動員されて、心地よい踏ん張り感が病みつきになります。

なにより一度見ると忘れられない、完成されたデザインは、何足も履きつぶしているリピーターを生んでいます。これがなんと、9889円。公式より1600円以上安く、なにより気軽に買えるのがうれしい。ナイキショップってなかなか敷居が高いですから……。

次に、ABCマートでなければなかなか手に入らない高コスパブランド「サッカニー」です。日本ではマイナーですが、れっきとしたアメリカの名門メーカーです。とくに80年代から続いている「シャドウ オリジナル」はニューバランスの高価格帯と同じレベルの品質にもかかわらず、8789円。

雰囲気もどことなくニューバランスに似ていますが、「N」の字がイヤ、という方にはぜひためしてほしいモデル。靴マニアの私が、仮に目隠しをして3万円台のNBとこのモデルを履いたら、半分くらいの確率でまちがえるでしょう。足あたりのよさ、カカトの安定感、つま先のリリース感と、どれをとってもNBの高級ラインと遜色ありません。40年ほど前のモデルとはいえ、現代のデイリーユースには十分すぎるスペックと雰囲気。NBが高すぎる、けれど服装に合わせやすい靴が欲しい方には、おすすすめです。

ABCマートが強いメーカーといえば、VANS。昨今、ハイテクシューズや厚底シューズのトレンドの揺り戻しとしてローテクシューズの波がきています。とはいえ、まちがえると「ホームセンターで買った作業靴」になりかねません。ローテクシューズは、アッパーのバランスと程よいボリューム、キャンバスの質感がキモなのですが、その代表格がVANSの「ERA」です。

1976年の発売以来、ほとんど変わっていない完成度の高さ。クラシックの革靴のようなデザインでシュッと見えるのに足を入れると驚くほどつまさきに開放感があります。そしてスケボーシューズならではの圧倒的クッション。足首周りにもクッションが入っていて、靴ずれ知らず。見た目と履き心地にここまで差があるモデルもなかなかありません。これで5390円。店頭だとさらに安くなっていることもあり「大丈夫なの?」と心配になるほど。

◆冠婚葬祭の革靴もひととおり揃うが注意点も

スニーカーのイメージが強いABCマートですが、革靴の種類も百貨店に負けていません。プライベートブランドの「ホーキンス」は誰もが知るところでしょう。ビジカジ向けならほかのブランドも一通りそろっています。

ホーキンスが大得意の「通気性シリーズ」は、靴底に丸ごと穴が空いていて、蒸れ知らず。しかも、いつでも手に入ります。バックルの付いたモンクストラップは、靴ベラひとつで脱着も可能。

ABCマートの革靴はどれも「歩く」ことを考えたハイテク革靴なので、高級感にこだわらなければハズレはほとんどありません。どうしてもマス向けの展開なので、「幅広」モデルが中心になりますが、逆に言えばよほどの幅細じゃなければ選び放題とも言えます。

ABCマートの革靴は「機能別」で分けられているので、目当ての靴に最短距離でたどり着けるようにできています。通気性・軽さ・防水など、どれも目的がはっきり分かれているので選びやすく、1万~1万3000円前後とお手軽です。ちなみに、スーツ屋や百貨店で同じレベルのものは売っていません。中途半端なうえに、価格も高いです。

しかし、注意したいのが革靴コーナーにある「2足目半額」です。ABCマートの革靴コーナーの最大のウリでもあるのですが、これはやめておきたい。2足目半額に指定されている靴は、基本的に売れ残りの在庫処分です。機能性がまったくないものや、デザイン優先で足あたりのよくないものが目立ちます。

ディスプレイ商品も多く、つま先を持たれたときにできるキズも目立ちます。デザインもいまいちで、履いた瞬間「痛い」と感じる靴がほとんどです。革靴はなじむものですが、そもそもの設計のレベルによります。半額とはいえ、6000~7000円程度の革靴が劇的にラクに履けることはまずありませんから注意してください。

【シューフィッターこまつ】
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」

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