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「東大→東大院→銀行総合職」のエリート街道から外れてまで、私がアイドルになりたかったワケ

日刊SPA! 2024年7月4日 15時53分

日本が世界に誇るアイドル文化。約3000組いるグループの中には、夜勤明けでライブに出たり、整形を公表して活動したりするなど尖ったコンセプトのアイドルもいる。そこまでして活動する理由とは?
今回は、安定した肩書や人生を捨て、アイドル業にのめり込む決断をした雲丹うに氏を直撃。彼女は何を思ってアイドルになったのか。

◆東大卒→銀行員の私がアイドルになった理由

安定した肩書や人生を捨て、アイドル業にのめり込むのも、「ヤリ過ぎ」か──。

7人組グループ「Mirror,Mirror」のメンバー・雲丹うに氏は、かつて現役東大女子学生で構成する「東大娘。」というアイドルコピーダンスサークルに所属していた。学園祭では既存のアイドル楽曲を披露し、中高年男性ファンを熱狂の渦に包み込んだ。

「『東大娘。』に加入したのは、友人が所属していたという軽い気持ちから。でも、ただ踊っているだけなのに自分推しのファンが少しずつつき、中には毎回ライブに来てくれる人もいたのがすごく嬉しかったです」

◆銀行に総合職として入行するも、わずか4か月で退行

メンバーたちは大半が卒業後に一般企業に就職する。彼女も大学院修了後には銀行に総合職として入行するも、わずか4か月で退行した。

「もともと、自分には「『東大』という肩書が見合っていなかったと思います。たいして可愛くない私が唯一誇れたのが勉強でしたが、東大に入ってみれば『上には上がいる』と自分の天井が見えてしまった。就職先でも似た感覚に陥って、このまま居座っても無機質な時間が毎日過ぎていくだけで嫌だな……と思っていたときに、オーディションに合格し、加入が決まりました」

母親に送った退行報告のLINEは既読スルーで、いまだ返事はない。父は「少しだけ応援してくれている」と笑う彼女。本音をいえば、また両親と笑い合いたいという。そうまでして、アイドルを続ける理由とは何なのか。

「目に見えて人の役に立てると感じられるから、ですかね。職場も住む場所も違う人たちが同じアイドルのファンになり、友人や時に夫婦になることもある。その過程を目の当たりにし、アイドルは誰かの生きる原動力になれる存在だと感じたんです」

アイドル戦国時代と言われるほど、競争の激しい世界。それでも、煌びやかなステージに立ち、他者に貢献する実感が顕著だからこそ、アイドルという仕事は人を「ヤリ過ぎ」にさせてしまうようだ。

【雲丹うに氏】
東京大学大学院農学生命科学研究科修了。地上波のテレビ番組にも出演。9月30日には渋谷クラブクアトロでMirror,Mirrorのワンマンライブを予定

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※7月2日発売の週刊SPA!特集「[ヤリ過ぎアイドル]の肖像」より

―[[ヤリ過ぎアイドル]の肖像]―

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