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100万円以上かけてタイで植毛した31歳男性。5日間の旅程でも「誰にもバレなかった」ワケ

日刊SPA! 2024年7月6日 15時52分

 薄毛に悩む人は、薬を使ったり、カツラをかぶったり、人知れず苦労している。しかし薬ではあまり効果を感じられなかったり、「被ってる感」がないカツラは高額だったりするので、思いきって植毛をしてしまう人もいる。植毛とは後頭部などの毛根を採取して、髪の毛の足りない部分に移植する医療行為だ。
 日本国内にも植毛クリニックは山のようにあるが、値段の安さからか海外での植毛をする人も増えてきている。タレントのいしだ壱成さん、楽しんごさんなどが行ったトルコでの植毛は有名だが、ここ半年で急激に増えているのは、タイのバンコクだ。

 約8か月前にタイで植毛手術を受けたジェクェンさん(31歳・@hageruna_______)も、その一人なのだが、どうしてタイで植毛をしてきたのか、髪の毛は生えてきているのか、話を聞いてみた。

◆タイで植毛を決めたワケ

──タイで植毛するきっかけを教えてください。

ジェクェン:国内にある有名医師がいる植毛クリニックに行こうと思ったら、3年待ちだったんです。それでも予約を入れて、2年ほど待っていたら、たまたまX(旧Twitter)でタイ植毛した人のポストが流れてきたんです。そのタイの医師は、予約していた日本の植毛クリニックの有名医師にも認められている人で、優秀な医師のようでした。金額も日本の3分の1ほどの100万円程度で済むと知り、それで行く覚悟を決めました。

──不安はなかったですか?

ジェクェン:そのころタイで植毛している人は、私が探した限りで数名。あまり症例がなく、実際にタイで植毛した若い子からのつながりで、タイでの植毛を斡旋してくれる人を見つけて、LINE交換してサポートしてもらいました。

◆2900株の植毛費用は100万円プラス渡航費

──料金はその方に支払ったんですか?

ジェクェン:いえ、お金は「WISE」という海外送金アプリでクリニックへ直接振り込みました。治療費100万円の他に飛行機代10万円弱とホテル代もかかりましたね。英語がまったくできないので、紹介してもらった方には、空港からホテル着くまで、通話しながらサポートしてもらいました。

──では、実際にタイでの植毛はどうやって進んでいったかを教えてください。

ジェクェン:事前に頭の写真を送っていたんですが、現地での手術当日に再度「ここは多め、少なめ」と微調整しながら約2900株植えました。朝11時ぐらいから植毛が始まって、終わったのが夜の10時半と、手術は12時間近くかかりました。麻酔をしているから特に痛みとかは感じないんですけど、切って、植えているなあって感じでした。ドナー部分となる後頭部の髪を皮膚ごと切り抜く必要があるんですが、ザクッザクっていう感覚もありました。

 翌日は抗生物質などの薬をもらって、簡単な注意事項の説明がありました。1週間くらいは激しい運動は避けてとかベイビーシャンプーみたいのを1週間くらい使ってとかですね。看護師の方もすごく親切で、病院の印象はめちゃくちゃ良かったですね。

◆丸坊主にしないで植毛したかった

──手術後、日本に帰ってきてからは周りに言いましたか?

ジェクェン:5日間の有給を使って「タイに行ってきたよー」と言っただけなので、周りには気付かれてないと思います。特に自分の場合、生え際より頭頂部の薄毛が気になっていて、毎朝粉(増毛パウダー)を振りかけて会社へ行っていたから誰にも分からなかったと思います。日本でカウンセリングを受けたクリニックでは、頭頂部の植毛は坊主じゃないと追加費用がかかる上に、あまりいい顔はされませんでしたね。

──タイで植毛をしたのは坊主にしなくてもできるからですか?

ジェクェン:そうです、タイではこのままの状態で値段も変わらずできると。それができるのがタイぐらいしかなくて、もうここしかないなって思いました。それにXを見る限り、トルコは安いだけであんまりうまくいっている人がいなかったんですよね。

──今、粉の増毛パウダーはふりかけていますか?

ジェクェン:8か月経って前より髪は増えている感覚があるのですが、薄さが気になるのでまだふりかけています。「とりあえず1年は待ってくれ」と言われているので、もうちょっと様子を見ようと思っています。どういうわけだが、短い毛が残っていたりするので、もうちょっと埋まるのかなとは思っています。

◆26歳から徐々にハゲていった

──いつから髪の毛が薄いなと感じていたのですか?

ジェクェン:26歳ぐらいから徐々に、頭頂部がちょっと薄かったのが「ヤバい」ってなってきました。自分なりに調べて、最初はミノキシジルのスプレーを海外の個人輸入しているサイトから買いました。ただ、あまり効果ないなと思って、濃度を5%から15%に増やして2年ぐらい使いました。それも効かないので、これはもう服用しかないなと思い、フィナステリドを1錠だけ飲んで、そこからより広範囲に効くデュタステリドに変えました。今は、それにミノキシジルのタブレット5ミリも飲んでいます。

──いろいろ試してみて効果はありましたか?

ジェクェン:それが難しくて……。ミノキシジルのタブレットはさすがに効くだろうと思ったけど、あんまり感じられませんでした。もしかしたら進行を遅らせたのかもしれないですが、やっぱり効く人と、効かない人がいるんじゃないですか。

◆植毛したことを指摘されたことは?

──薄毛についてXで発信しているのは、なぜですか?

ジェクェン:当初は、情報収集のために「薄毛用アカウント」として始めたんですが、植毛してからはいろんな人に知ってほしいと情報発信する側にまわりました。たまに「タイで植毛してきましたー」っていうDMが来るのは嬉しいですね。

──植毛したことを友人や家族に指摘されたことはありますか?

ジェクェン:指摘されたことはありません。今でも毎朝、粉をふりかけて、後ろの髪の毛を前に持ってきて薄毛が目立たないようにセットをしています。風が強い日は全部崩れてしまうからしんどいですが、薄毛の人が集まるオフ会に参加したときには、「気にしすぎ!」と言われてしまいました。「確かに薄いかもしれないけど、他の人じゃ分からないよ」と。

◆植毛できるのは多くて3回くらい

──確かに頭頂部って他人からはあまり見えないですよね?

ジェクェン:そうですね。まあ生え際も気になっていて、少し植毛したんです。ただ、どうせならもっとしっかり植毛すればやれば良かったな〜と後悔しているので、2回目をやるならタイでまた同じ先生で植毛したいなと思っています。

──えっ、また植毛をする予定があるんですか?

ジェクェン:すぐにでも植毛したい気持ちはあるんですが、植毛には「FUT(Follicular Unit Transplantation)」と「FUE(Follicular Unit Excision)」の2種類があって、自分は後頭部の頭皮を帯状に切り取って縫合する「FUT」という方法でやったんですね。

 トルコでは「FUE」っていう1本、1本後頭部から切り取る方法なんですが、あくまでも自分のイメージとしては「FUE」をやると、後頭部がスカスカになっちゃう気がしています。だから「FUT」を2回やって、最後に「FUE」を1回やるつもりです。ドナー部分も永遠に植毛できるわけじゃないので、自分は多くて3回が限度という考えでいます。

◆ダイビングやマッチングアプリもやりたい

──髪の毛が増えたらやってみたいことはありますか?

ジェクェン:今後はダイビングなどのマリンスポーツをやってみたいですね。実は何度か体験ダイビングはやったことあるんですけど、髪の毛がないと水の中に入った時に悲惨な状態になるんですよ(笑)。あと帽子ってムレるから髪の毛にあまり良くないと聞いたことあるので、帽子が必要な登山はほとんどやってなかったんです。だから今後は登山もやりたいです。お休みしていたマッチングアプリも再開したいですね。

──最後にタイでの植毛を他人にお勧めしますか?

ジェクェン:はい、勧めますね。有名クリニックの3年待ちは長すぎるだろうし、タイは物価も安いし、技術力も高い。でも自分が100%満足しているというわけではないので、経過を見てもらって、自己責任でやってもらえたらと思います。

<取材・文/谷亜ヒロコ>

【谷亜ヒロコ】
放送作家を経てフリーライター&作詞家として活動中。好きなテレビ番組は「ザ・ノンフィクション」、好きなラジオはTBSラジオ、得意料理は春巻き。得意領域はカルチャー、音楽、芸能、住宅、美容など。Twitter:@rokohiroko

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