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セクシー女優は表に出るべきではない?SNSで話題の「元女優の職業差別問題」に元セクシー女優が思うこと

日刊SPA! 2024年7月6日 15時54分

 元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」がお届けする連載コラム。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。女優生活2年半が経過したところで引退を決意し、現在は同人作品やセクシービデオの脚本など、あらゆる方面で活躍中。
◆セクシー女優はひっそり生きるのが正しい道なのか?

 ここ最近、元セクシー女優の引退後の仕事についての発信がSNSで大きな話題を呼んでいる。世間はセクシー女優や水商売、スカウトマンなど繁華街で生きる人々をひっくるめてアングラ扱いするけれど、それ自体は間違ってはいない。もともとセクシー業界は閉ざされた楽園のようなもので、まさにレンタルビデオショップの“カーテンの向こう側”がいい例。行ってみたいけどなかなか勇気が出ないとか、いざ飛び込むとあの一角だけは不思議な空気が漂っているとか。業界の何とも言えぬ秘境っぷりを好む人も多かったという。

 しかし現在は、さまざまな作品の登場によって「成人向け」に抵抗感を抱く現代人が減り、徐々に秘境が秘境でなくなっていった。そうなれば、次第に奥地の住人と一般地域の人々は必ずどこかで巡り合う。最初はお互いに違和感を覚えても、時間と共に慣れていくのが当然の流れだろう。

◆元売れっ子女優のニーズが増加

 秘境といっても過言ではない商売だから、批判の声があるのは当たり前である。とても人に勧めたい仕事内容ではなく、高収入を得る分、身も心も擦り減るので、できることならやらない方が良いと私は思う。人前で裸になってそれが映像に残るなんて、冷静に考えたらとんでもない話でしかないから。

 ただ、だからといって永遠に奥地へ引っ込んでろ! というのは、ちょっと時代錯誤かもしれない。これだけSNSが普及して、あっという間に世界と繋がれて、かつて秘境扱いだった住人たちの姿を簡単に見られるため、「押さえつけるのがもう無理」とも言い換えられるが。

 実際に人々の興味関心をそそるのはフォロワー数を見たら明らかで、人気女優は下手するとちょっとしたタレントより注目度が高い。少し前なら密やかに生きるのが正しい道とされていたけれど、令和の時代は考えに少し変化が起きた。

 むしろ売れている本人たちからすると、ひっそりと生きるだけ損なのである。批判はあれどその分支持率も高いのだから、ポジティブな意見を優先して動くのはタレントとして何も間違ってはいないだろう。

「ひっそりと大人しくしててほしい」というのはあくまで一部の人間の声であり、最近は肯定的な意見も多いことから、ニーズは増加し、現在の活躍ぶりへと繋がっているのだ。

◆セクシー女優のメディア進出は今に始まった話ではない

 そもそも、セクシー女優のメディア進出は以前からあった。セクシー女優を引退した後に、タレントに転身して子供向け番組に出ていた方もいれば、大河ドラマに出演した方もいる。“SNSの普及が”なんて説明しているけど、SNSは支持率と認知度アップの手助けをしたツールに過ぎず、前々から女優は専門外のフィールドへ参入していたということ。

 だから「お前らは表に出るべきではないだろ!」と言われても、すでに前例があるため、ドリームを掴みたいこっちからすると右へならえするに決まっている。こればかりはユーザーVS演者という一生わかり合えない世界線でのバトルになるため、お互い理解する結果になることはとても難しい。これからもメディア進出する女性が増え、その分の批判が飛び、同じくらいか、あるいはそれ以上の支持を得られるのだろう。

◆偏見は付きまとうが時代は変わった

 悲しいかな、セクシー女優は現役だろうが元だろうが「一回でも世間に何もかもを晒した人物」という事実に変わりない。たとえ本人が仕事に誇りを持っていても、多くの人が避けたいと思う業務内容のため、偏見は100%付きまとう。これからも、この先もビデオ出演歴が残り、“そういう目”で見られるからこそ、女優たちはデメリット面を強く自覚せねばならない。

 現役時代にどんな感動エピソードや苦労を重ねたとしても、“美談”としては扱われにくいし、「だって仕事内容が……ねぇ」「でも、“セクシー”女優なんでしょう?」とツッコまれたら「そりゃあそうですよね!」とこちらも返すほかない。自身を卑下する必要はないけれど、嫌がる人々が一定数存在する点を理解すれば、アンチは増えにくくなるだろう。1人1人の動きによって全体の見られ方が変わるのだから、差別や批判を嫌うのなら当事者たちの意識も変えていくべきだと私は思う。

 今は水商売を生業とするキャストも人前に出る時代となったため、日陰産業への捉え方も大幅に変わったといえる。反対意見はあれど、セクシー女優も「裏に居続けた方がいい存在」から「ニーズ次第では表に出るのも問題なし」と思う人々が増えたことに間違いはない。

 今後も女優たちはめざましい発展を遂げていくだろう。地上波出演、一般企業とのタイアップ、アパレル、SNS以外にもどんなところで活躍をするのか、元業界人の私としても非常に気になるところだ。

文/たかなし亜妖

【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。

―[元セクシー女優のよもやま話]―

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