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とんねるず「買うシリーズ」。スギちゃんの“648万円腕時計”の相場に異変!一時は2000万円超

日刊SPA! 2024年7月7日 15時53分

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。
 このところ、腕時計相場には「値下がり」という印象があるようですが、本当にそうなのでしょうか。今回は、スギちゃんの腕時計相場から、現在の相場がどういった状態なのかを解説したいと思います。

◆「スギちゃんの腕時計」として認知度アップ

『とんねるずのみなさんのおかげでした』という番組で有名な「買うシリーズ」において、スギちゃんは番組最高額となる648万円の腕時計を購入。それが、デイトナの116598SACO(デイトナレパード)というモデルなのですが何かとインパクト大なため、“スギちゃんの腕時計”として有名だといえます。

 スギちゃんがデイトナレパードを購入したのは2013年のこと。当時といえば、アベノミクスが始まったばかりで、腕時計相場は上昇傾向でした。

 ただ当時、相場が上昇するようなロレックスは「ステンレスの人気モデル」が主だったといえ、デイトナレパードのような“クセがすごいモデル”が値上がりするなんて当時では考えられなかったといえます。

 実際、番組内でスギちゃんがデイトナレパードを購入しようとする際も、買わせる側のとんねるずが「そこまで高いの買わなくても良い」といった趣旨の発言。スギちゃんの選択は、とんねるずをビビらせるほどワイルドだったといえます。

 しかし、そんなスギちゃんの選択は後に功を奏すことになります。

 デイトナレパードの中古相場(売値)は、2021年7月時点で930万円台に到達。そのとき、スギちゃん購入額の648万円を大幅に上回っていたのです。(とんねるず買うシリーズ」。スギちゃんの648万円腕時計の相場が急変していた)

◆現在相場は“4ケタ超え”だけど…

 では、デイトナレパードの現在相場はどうなっているでしょうか。Xなどを見ていると、「最近のロレックスは値下がり」という投稿が目立つため、なんとなく値下がりしていそうに思えるかもしれません。

 答えはどうかというと、デイトナレパード(116598SACO)の現在相場は1300万円~といった状態。

 現在相場は、以前「スギちゃんの腕時計が値上がり」ということをお伝えした2021年7月よりも360万円以上も高値となっているのです。

 現在相場の1300万円は売値でありますが、仮に査定額を売値の65%(あえてかなり低め)としても845万円という数値。スギちゃんの購入額は648万円ですから、売ったならば200万円程度の利益が出る可能性が多いにあるといえます。

 こういったことを見ると、現在相場は「値下がりではない」と思うところ。しかし、2022年春頃のデイトナレパード相場と比べると、現在相場は値下がり状態となります。

 2022年2月においてデイトナレパードは最高値2090万円に到達。デイトナレパードが2000万円超えとなっていたのは2022年2月から7月頃までの約5ヶ月間でしたが、もしもその間に買ったならば、現在までにかけて790万円の値下がりなのです。

 2022年2月、3月といった時期は、このデイトナレパードに限らず人気モデルの多くが「急上昇」という値動きになっていたのですが、同年4月頃からは値動きが鈍化し、その後は下落。そういった経緯を経て今に至るため、「2022年2月頃がピークだった」というモデルが多いのです。

 そのため、デイトナレパードのように、2021年頃までの相場と比べると、現在水準は高値であるものの、2022年2月頃と比べると安価となっているケースがよくあります。

◆2022年2月頃から値上がりしているモデルも

 その一方で、2022年2月頃と比べても、「値上がり状態」となっているモデルが多々存在します。

 そういった値動きとなっているのが、オメガの多く(スピードマスター3570.50など)やカルティエの90年代後半モデル(サントスガルベW20067D6など)、パテックフィリップカラトラバの90年代後半世代(5026Jなど)であります。

 それらの多くは、以前は「目立った値動きをしない」といった印象でしたが、2022年頃から活発に動くように変化したのです。

 例えば、カルティエサントスガルベのW20067D6は、2020年時点で約29万円で購入可能だったのが、2022年8月には約101万円に到達。現在では、140万円台にまで達しているのです。

 ですから現在相場は、「2022年春に急上昇したモデルは値下がり」となっている一方、「オメガやカルティエのようにずっと値上がり傾向」というモデルもあるわけです。

◆2022年春の相場は何だったのか

 これまでの中古相場は、「この時期は値上がり/値下がり」というように、全体的な傾向があったといえますが、現在は値上がりと値下がりが「混在」しているのです。

 また、2022年春の急上昇を『異常値』とするならば、デイトナ等の人気モデルを含めても、「ずっと右肩が上がり」だといえるため、かつて起きていた「下落トレンド」とは異なる状況だといえます。

 私個人的に、今の状況は2020年の緊急事態宣言が開けた直後の時期に近いと感じます。当時は、新型コロナの影響によって多くの腕時計が値下がりしていましたが、緊急事態宣言解除後にやや回復。ただ、デイトナやノーチラスといった人気モデルは、そこまでのV字回復とはならなかったのです。

 そのため、「もう上がらなさそう」だと思って油断していたのですが、2021年になるとそれらは急上昇。いきなり値動きするようになったのです。

 現在のような状況は約2年に渡って続いていますが、以前の例を踏まえると、急に上昇するという場合もあるため、油断は禁物だといえます。<文/斉藤由貴生>

【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

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