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教育費と家賃で破産しそうに…東京を捨てた家族が選んだエリアと満足度とは

日刊SPA! 2024年7月8日 8時54分

不動産価格の上昇が止まらない。もはや“東京住まい”が贅沢なライフスタイルとなった今、溢れるように人が流出している。東京砂漠の悲しき実態とは!?
◆天秤にかけた東京での暮らしと教育費

「子どもには良い教育を受けさせたい」という親心。しかし東京での生活は、家計とのバランスがシビアに問われる。

「日本政策金融公庫の調査では、高校生以上の子どもがいる世帯では、家計に占める教育費の割合は約15%でした。しかし中学受験が過熱し、私立進学が多い23区では、それ以上の教育費をかける家庭も少なくありません」(FP・黒田尚子氏)

高校3年と中学2年の娘を持つ戸山美奈さん(仮名・44歳)は昨年、東京での暮らしと教育費を天秤にかけた末、都心を離れる選択を下した。

「長年、目黒駅からほど近い2LDKの賃貸物件に住んでいました。家賃は18万円ほど。しかし徐々に手狭になり、23区内で中古マンションを検討していました。世帯年収800万円のわが家にとって予算は5000万円が限界。しかし紹介されるのは狭い、古い、日当たりが悪い……など価格に見合わないものばかり。ときめく物件はゼロでした」

◆都心を離れる決定打となったのは…

住宅情報サイトを閲覧する日々が続くなか、都心を離れる決定打となったのは、長女の短期留学だった。

「昨年夏、長女がカナダ行きを熱望したんです。費用は授業料や生活費、航空券や保険料を含めて半年で計300万円ほど。それまで通っていた高校は休学扱いなので、これまでどおり月7万円弱の授業料も払い続けることになりました」

さらに長女からは、想定外の要望が。

「『あと半年、留学期間を延長したい』というんです。日々の様子を楽しそうに英語で伝えてくる娘に『ダメ』とは伝えられない。今後、さらなる留学延長も覚悟しています」

◆結果的に23区を離れて正解だった

そんな戸山さんが最終的に居を構えたのは、横浜市内の中古マンションだった。価格は3500万円ほど。

「築30年とやや古いですが、リノベーション済みで90㎡と広さも十分。このあたりは相模鉄道と東急電鉄が直通する『新横浜線』ができたことで、都心へのアクセスも便利になり、便が分散したせいか朝の通勤ラッシュ時もそこまで混雑していない。なにより周囲のママ友コミュニティには受験への過熱感がなくて、居心地がいい。結果的に23区を離れて正解だったのかも」

戸山さんは娘の写真を前に目を細める。「聖域」となりがちな子どもの教育費について、黒田氏は次のようにアドバイスする。

「親心から無尽蔵に教育費をかけると、老後資金が逼迫し、最悪の場合、老後破綻のおそれも。住宅・教育・老後の“人生の三大資金”は、ライフプランの優先順位や子ども(きょうだい)間のバランスを十分に考慮して備えたいところですね」

なにを選び、なにを諦めるべきか。人生の答え合わせは老後にやってくる!?

【FP 黒田尚子氏】
1992年、日本総合研究所入社。在職中にFP資格を取得し、退社&独立。『終活1 年目の教科書』(アスコム)など著書多数

取材・文/週刊SPA!編集部

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