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「受けます。僕しかできないでしょ」 石丸伸二氏が明かした次の可能性

日刊SPA! 2024年7月12日 15時45分

東京都知事選で次点に終わった石丸伸二氏が選挙後も話題をさらっている。3選を果たした小池百合子氏や有力対抗馬と目されながらも3位に沈んだ蓮舫氏以上の注目度だ。
広島・安芸高田市長を一期目弱務めた政治経験はあるものの、ポッと出の青年が完全無所属で165万票も獲得したのだから当然だろう。投開票日のメディアを煙に巻くやり取りが「石丸構文」として拡散したことも注目度をさらに高めた。

◆政治的には石丸氏が唯一の勝者

 だが、これは石丸氏以外に注目の政治家がいないことの裏返しとも言えそうだ。都知事選で石丸選対を取り仕切った藤川晋之助氏は、投開票日にこう漏らしていた。

「次点ですから彼は少々厳しい顔つきですが、何の組織も後ろ盾もない候補が150万票以上取るのは異例中の異例。選挙には敗れたが、“政治的”には彼が唯一の勝者と言っていいでしょう」

 藤川氏は大阪市議、国会議員の政策担当秘書などを務めた後、藤川選挙戦略研究所を設立。通算144回の選挙で勝率9割以上を誇ることから「選挙の神様」と呼ばれてきた人物だ。

 そんな神様の意図するところは明確だ。自民党は独自候補を立てずに小池氏を“ステルス支援”したため、事実上の不戦敗。推薦こそ見送ったが、「オール東京」を掲げて蓮舫氏を全面支援した立憲民主と共産党は完敗し、維新は石丸氏から推薦を断られて参戦すらできなかった。都知事選ではいずれの主要政党も成果を得られなかったのだ。

◆副都知事の打診があったら「受けます」

 自ずと注目が集まるのは、石丸氏の今後だ。投開票日には「4年後の都知事選を目指す可能性は?」「今後国政に出るのか?」「石丸新党が立ち上がる可能性はあるか?」と何度も質問が飛んだ。

 だが、石丸氏は「選択肢としては当然考えます。例えば(衆院)広島一区(岸田首相の選挙区)」などと可能性を示唆するにとどめた。フジテレビ系『Mr.サンデー』の中継取材では、「たとえば泉(房穂・前明石市長)さんなり、橋下(徹・元大阪市長)さんが新党を立ち上げるとおっしゃる場合には、ぜひ一緒に頑張りたい」としつつも、自ら新党を立ち上げる意思はないと明かした。

石丸構文よろしく煙に巻く表現ばかりだったが、実は投開票当日、一つだけ明言した身の振り方があった。それは小誌・週刊SPA!が帰り際に振った「あくまで仮定の話だが、東京の副都知事の打診があったらどうするか?」に対する回答だ。

「受けます。僕しかできないでしょう。東京の経済を活性させることは。もちろん、小池さんが打診してくる可能性はないと思いますが(笑)」

◆経済対策は「僕しかできない」と自信たっぷり

 石丸氏は都知事選を戦ううえで「政治再建」「都市開発」「産業創出」の3つの柱を掲げたが、1つ目の政治再建は選挙期間中に半ば達成している。その手段の一つとして、石丸氏は政治のエンタメ化に言及し、「まずは都民の政治に対する関心を高めたい」と話してきたからだ。

 投開票日にも「政治再建というのは特定の誰かが政治を変えるという意味ではなくて、政治というのは都民、国民の意識でしかないので、その意識が少しでも変わってきたのであれば、自分にとっても大きな成果です」と語っていた。

 つまり、次に都市開発と産業創出を実現するなら、必ずしも都知事である必要はないのだ。小池都知事のブレーンとなって、東京の経済対策を推し進めることは十分可能だ。「僕しかできないでしょう」には、元為替アナリストで都知事選候補者としては最も経済に精通する人間だという自負が込められている。

◆都庁職員にも石丸氏に期待する声が

 実は、都庁職員のなかにも石丸氏に期待する声はあるという。都政担当記者が話す。

「職員のなかには『都知事が変われば現場は混乱するだろうけど、石丸さんなら一緒に仕事をしてみたいという気持ちはある』と話す人が何人もいた。というのも、石丸さんは安芸高田市議会とは衝突しても、市職員のことは必ず守っていたから。自分たちのボスを決める選挙の候補者なので、多くの都職員が安芸高田市議会の動画もチェックしていたようです。

そんな職員たちの期待の背景には、小池都知事の“密室政治”もある。小池さんは3人ほどの主要ブレーンとだけ話し合い、多くの政策をトップダウンで決めるため、たびたび現場は混乱してきた。今回の都知事選で自らの実績として訴えていた、0~18歳全員を対象に月5000円を支給する『018サポート』もその典型。都の幹部の多くが発表の前日に知らされたため、誰が担当するかもわかっていなかった。石丸さんなら職員の声にも耳を傾けてくれるのでは?という期待があったようです」

 もちろん、副都知事のハードルは低くない。現状4人の都副知事の枠は元ヤフー社長の宮坂学氏らで埋まっている。そもそも「自分の存在感を薄める石丸さんを小池都知事が起用することはない」(都政担当記者)という声もあれば、「石丸氏の本命は来年の広島県知事選だろう」(週刊誌記者)とも囁かれている。それでも、都知事選で奇跡とも言える結果を残した石丸氏なら、もしかして……? 石丸劇場のその後にも注目したい。

<取材・文・撮影/池垣 完(本誌) 吉岡 俊>

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