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ピエール瀧×マッコイ斉藤。地上波から配信メディアへと活躍の場を移す二人から見えたもの

日刊SPA! 2024年7月14日 8時50分

―[インタビュー連載『エッジな人々』]―

 ミュージシャンとして、俳優として、紆余曲折を経ながらも、消えることのない足跡を残し続けてきたピエール瀧。
 今回はそんな瀧と約22年前に深夜番組で出会い、今なお親交の深い演出家マッコイ斉藤という、テレビ業界の酸いも甘いも嚙み分けてきた二人による対談が実現した。

 配信メディアへ活躍の場へ移す二人から見える、現在のテレビ業界とは――。

◆地上波に非日常が入りづらくなっている

──最近はお二方とも、NetflixやABEMAで活躍されていますが、地上波テレビについてどう感じていますか?

瀧:この取材前も「地上波のコンプライアンスじゃマッコイさん無理でしょ?」って話してたんですよ。良さが出ないというか。

斉藤:「もうハリセンで叩いちゃダメなんです」って注意されましたからね。痛みを伴う笑いはよろしくないって。「じゃあ天井からタライは?」って聞いたら、それもダメだって(笑)。

瀧:でも、別にハリセンで叩きたいわけじゃないんですよね。マッコイさんのバラエティの面白さって、日常の中に非日常を持ってくるぶっ飛び具合。だから、何げないフリからの落とし穴みたいなことが得意だったりする。それは単にわかりすい装置というだけで、エグいことをしたいわけじゃないんです。まあ、結局は地上波に非日常が入りづらくなっているってことなんだろうなと思いますけどね。

◆作り手が「Netflixならできるかも」と思う時代

斉藤:今のテレビ演出家は無難なことをしなきゃいけない。できる範囲がどんどん狭まっていく中で、試行錯誤してるんだろうなと。

瀧:笑いと恐怖って紙一重だから、恐怖なら、まだ地上波でコンプライアンス関係なくやれるんじゃないかと思うんだよね。『SAW』のバラエティ版というか。

斉藤:見えますね。でも、それもNetflixのほうができそうな気がします。

瀧:結局、ブレイクスルーできそうなアイデアがあったら「Netflixならできるかも」って、作り手が思うようになってる。昔はそれがテレビだったと思うんだけどね。

【ピエール瀧】
1967年、静岡県生まれ。1989年に石野卓球らと電気グルーヴを結成。ミュージシャンとして活躍する一方、1995年頃から映画にも出演。近年は、Netflixの人気ドラマシリーズ『サンクチュアリ -聖域-』や『忍びの家 House of Ninjas』など話題作に出演。今年3月には、映画『水平線』で復帰後初の主演にも抜擢されている

【マッコイ斉藤】
1970年、山形県生まれ。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』でディレクターデビュー。’00年代中頃に『とんねるずのみなさんのおかげでした』の総合演出に抜擢され「男気ジャンケン」などのヒット企画を送り出す。現在はYouTube『貴ちゃんねるず』などを担当。10月27日に『YAMAGATA ROCK FES』を開催予定

取材・文/森野広明 撮影/唐木貴央 ヘアメイク/キクチタダシ(LUCK HAIR) スタイリング/松川 聡

※週刊SPA!2024年6月18日・25日合併号「エッジな人々」より

―[インタビュー連載『エッジな人々』]―

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