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18歳で“舌先を2つに割った”女性が語る過去「どうなってもいいという気持ちで…」

日刊SPA! 2024年7月15日 8時54分

 地下格闘技イベント「喧嘩バトルロワイヤル」でリングガールを務め、モデルやインフルエンサーとして活躍する蛇喰(じゃばみ)るり氏(24歳)。スレンダーな体躯に刻まれた芸術的な刺青が印象的な女性だ。刺青のほか、スプリットタンやシリコンインプラントなどの身体改造も施している。モデル活動をしながら週に5日はタトゥースタジオで働く“社畜”を自称する彼女の素顔に迫る。
◆なにがなんでも有名になりたいわけではないが…

――モデルとして注目されている蛇喰さんですが、日中も働いておられるそうですね。モデルやインフルエンサーとしての将来像はあるのでしょうか?

蛇喰るり:そうなんです。普段はタトゥースタジオで事務員として働いています。体型に対するこだわりがあって、ありがたいことにモデルとしてのお仕事もいただけるのですが、「なにがなんでも有名になってやりたい、どんな仕事でもやる」みたいなハングリー精神はなくて(笑)。自分がやってみたい仕事に巡り会えたときに、全力でやらせてもらっている感じです。自分がやりたいように表現活動をして、「それを応援してくれる人がいいな」とは思っています。

◆初めてのタトゥーは「19歳のとき」

――繊細なタッチの刺青が印象的ですが、入れるまでの経緯を教えてください。

蛇喰るり:もともとはSNSのタイムラインに流れてくるタトゥーの写真を見て「かっこいいな」とは思っていたんです。ところが自分が入れる未来はまったく想像していませんでした。その後、19歳のときに耳の裏に十字架にからまるヘビを彫ったのが最初のタトゥーです。

 20歳になるまえ、当時交際していた男性から「お前はおかしい」などの言葉を浴びせられ続けて、精神的に少し落ち込んでいました。自分は真っ当でなければいけないという思いがずっとありましたね。私が何をしても彼氏は「俺は何もしてもらっていない。それはお前の自己満」というスタンスの人で、交際当初はとても優しかったのに、気づくと変質していました。結局、私の20歳の誕生日に浮気をしていたことが発覚して、問い詰めると「それなら別れよう」と言われて交際は終了しました。その後、脚にウロボロスのタトゥーを入れました。

◆「Amazonで買った医療用メス」でスプリットタンに

――その後、増えていった刺青ですが、全体的に統一感がありますよね。

蛇喰るり:先ほどお話したウロボロスのタトゥーのあと、鎖骨あたりと背中にも彫りました。その彫師さんのデザインが幸運にも自分のイメージする世界観にぴったり合っていて、それ以降はすべてその人にお願いしています。ちなみに、鎖骨らへんのタトゥーは中央に埋め込んだハート型のシリコンインプラントの羽根のデザインなんです。もともと美術に関心があり、自分でも絵を描いていました。OLを経験して多忙のために絵からは離れましたが、美しいものが好きだという気持ちは変わっていないんです。

――シリコンインプラントを含む、いわゆる身体改造もやっていますよね。

蛇喰るり:はい、実は最初にやったのはスプリットタンなんです。18歳のころ、Amazonで医療用のメスを買って、自分で舌先を2つに割りました。最初に交際した男性に関することで辛いことがあって、「たとえ出血多量でどうなってもいい」という気持ちでメスを入れたのを思い出します。胸の中央のシリコンは見ての通りですが、実は現在、左手に電源マークを入れようと思って計画中です。タトゥーもそうですが、デザインの構想が浮かぶと1週間〜1ヶ月くらいは熟慮して、なるべく理想の形になるために没頭してしまいますね。

 ちなみに左手の電源マークは、暗いところで光るようにするつもりです(笑)。当面の心配は、映画館やお化け屋敷などの、光ってはいけないところで光ったら施設に迷惑になるのではないか? という点ですね。

◆刺青の存在を知った父の反応は…

――幼少期の蛇喰さんはどんな女の子だったのでしょうか?

蛇喰るり:とにかくお転婆で、クラスメートの男の子から売られた喧嘩は買うみたいな戦闘的な子でした(笑)。そのため、ほぼ毎日学校から電話がかかってきて、母が謝る姿を見ていました。家族が仲良くて、「母にこれ以上迷惑をかけたくないな」と思った小学校高学年あたりから、問題児ではなくなっていくのですが。中学校では剣道部に入ったので、もう喧嘩を売るとか買うとかはなくなっていました。

――ご家族が仲良しとのことですが、刺青に対する反応はどんなものでしたか?

蛇喰るり:特に相談せずにタトゥーを入れたのですが、そこまで強い反対はなかったですね。父が刺青を知ったのはつい最近なんですよ(笑)。たまたま服の隙間から見えたらしくて、「もしかして入れてるの?」って。もう成人している娘ですので、驚いてはいましたが、それで関係性が変わるようなことはないですね。

◆他人の人生に干渉する余裕がない

――特に女性の場合、ライフステージとともに「刺青を入れたことを後悔するのではないか」という指摘がありますが、この点はいかがですか?

蛇喰るり: 確かにネット上のそうしたコメントも承知していますが、知らない他人の老後を心配してくれる優しい人なのか、正直どう思えばいいかわかりません。

 個人的には、「ママ友などとの関係性において苦労する」というのも想像できないんですよね。出産によって体型が崩れてしまうのが許せなくて、自分の子どもを生む予定がないんです。それでも親戚の子どもたちに愛情を注いでいるし、可愛くて仕方ないと思えるので、幸せなんです。

 今、私は自分の仕事を全うして、なりたい自分に向かって一歩ずつ近づいている最中なので、他人の人生に干渉する余裕がありません。自分と周囲にいる人たちを大切にしながら、私の活動をみて共感してくれる人たちの活力のような存在になれたらと願っています。

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 蛇喰氏の人生の根幹には美意識という屋台骨が走っている。芸術的な視座を持っていることはもちろん、人生の選択のほとんどを“美しいか美しくないか”で判断してきたといえる。

 自分らしく、軽やかに。他人を傷つけない代わりに、毒を送ってくる相手にはひらりと身をかわす。人間関係に疲弊し、自分をすり減らして他人の役に立つことでしか存在意義を見出だせない人が多いなかで、彼女の生き方には一定の見どころがある。次々に浮かぶ身体改造の構想を形にし、アップデートされていくのは身体だけではない。茨をするりと抜けて、ヘビのごとく精神的な脱皮を繰り返す。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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