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電車を降りる直前で痴漢された女子高生が覚えた“違和感”「車内は空いていたのに後ろにぴったりと…」

日刊SPA! 2024年7月16日 15時53分

通勤や通学に欠かせない電車。日々多くの人たちが利用するが、“痴漢”の被害が後を絶たない。
美しい黒髪と清楚な雰囲気が印象的な美月さん(仮名・38歳)。かつて芸能プロダクションに所属していたという彼女は、その恵まれたルックスのせいか、高校時代から痴漢をされてきた。そして子どもが生まれた今でも、悩まされ続けているという。

◆電車を降りる直前で、胸をわしづかみにされた

「あれは高校2年生の朝でした。遅刻しそうで、慌てて電車に駆け込んだんです。ドアが開いたらすぐに降りることができるように、ドアの近くに立っていました」

降車までは数駅で、時計を気にしながらドアの近くに立っていたとのこと。しかし、その際にある違和感を覚えたという。

「車内は空いていたのに、私のすぐ後ろにぴったりと男性が立っていたんです。彼は大柄で、肌寒い日なのにTシャツを着ていたから、印象に残っていたんですよね。普段なら車両を移りますが、あの日は急いでいたので、なんとしても改札口から一番近いドアから電車を降りたかったんです」

そしてドアが開いた時に、悲劇は起こった。

「私が電車を降りる直前に、後ろから手が伸びてきて胸をわしづかみにされて……。ドアが閉まる直前で解放されました。必死でホームに飛び出しましたよ」

周りに被害を訴えようにも、電車は発車してしまったため、犯人はもういない。そのため美月さんはなすすべもなく、しばらくホームで立ち尽くしていたそうだ。

彼女の人生における痴漢の被害は、これで終わらなかった。

◆「いくら払ったら寝てくれる?」胸に1万円札を押し付ける

「大学1年生の頃、新歓コンパで初めてオールをした時のことでした。始発で帰り、最寄り駅のホームで降りました。人もまばらなホームで、1人の男性がベンチに座っているのが見えました」

彼は美月さんと目が合うと立ち上がり、近づいてきて、話しかけてきたらしい。

「初めは『僕もこの辺に住んでるんだ』と話し始めたので、近所の人かと思ってあまり蔑ろにできないと思い、適当に話を合わせていました。でも改札を抜けて自転車置き場に行っても、まだ付いてきて『いくら払ったら寝てくれる?』と言い出して、さすがに気持ち悪くなりました」

美月さんは彼に自転車置き場で別れを告げて、その時は離れることができたようだ。胸をなでおろし、自転車で家路へついていると、なんと再び横に彼が現れたという。

「彼も自転車に乗っていました。きっとどこかに停めていたんでしょうね。信号待ちの間に『ほら、お金ならあるよ』と胸に1万円札を押し付けてきました。怖くなって手を振り払い、そのまま家まで一目散に自転車を漕いで帰りました」

それ以来は用心していたこともあり、しばらく被害に遭わずに穏やかな日々を過ごしていたらしい。しかし十数年の時が流れ、結婚と出産を経て、子どもと電車に乗っている時に、なんと再び被害にあったという。

◆足をツンツンしてくる男性

「娘と電車で座っている時のことでした。横の男性の足が、やけに私の足に当たるなと感じたんです。初めはわざとじゃないと思い、私も身を寄せました。でも、ツンツン、ツンツン……と、定期的に私の足をつついてくるんです」

彼女は声をあげようか迷ったが思いとどまり、結局は席を立つのみに留めたとのこと。

「わざわざ声を上げるまででもないんです。『それってあなたの自意識過剰ですよね?』と言われたら、そこまでですし」

美月さんは電車を降り、駅員さんに事情を話したという。すると駅員さんによると、よくある話だと言われたらしい。

「胸やお尻を触られると、間違いなく痴漢ですよね。でも足をちょっと触られたくらいだと『私の考えすぎかな?』と思ってしまう。それが犯人の狙いみたいです」

いくつになっても女性は狙われるのかもしれない。美月さんは最近ではあまり電車に乗らず、徒歩かタクシーを選択しているという。

◆治安は良いのに、痴漢が多い

美月さんが初めて痴漢をされた時、当時の彼氏に相談したら「痴漢を受けるような雰囲気を出している、お前が悪い。金髪にしたり派手な服装をしたり、強そうになれば被害を受けないのではないか」と言われたという。そのような考えがはびこっていることも、未だ痴漢が撲滅されない理由のひとつなのかもしれない。

筆者もかつて海外の取引先から「なぜ日本は治安は良いのに痴漢が多いのか?」と質問されたことがある。当時はそれについては、明確に答えを出すことができなかった。生きづらさを抱えた日本人男性の抑圧された鬱憤や不満が、自分より弱く見える女性へ向かうのだろうか……。誰もが安心して電車に乗れる国になって欲しいものである。

<文/綾部まと>

【綾部まと】
ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother

―[乗り物で腹が立った話]―

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