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お金がない人ほど気にしていない「5つの出費」とは?資産1億円を達成した女性が教える、投資を学ぶ前にすべきこと

日刊SPA! 2024年7月18日 8時50分

 投資によって若くして資産1億円を超えてFIREした、投資の学び舎「トウシナビ」代表を務める櫻井かすみさん。著書『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)も話題の彼女に、前編では、会社勤務とデイトレードが過酷すぎて救急搬送、投資詐欺で300万円失うなど、踏んだり蹴ったりの20代の人生を紹介した。
 後編では、自身の体験をもとに、初心者でもスムーズに投資に成功できるコツを教えていただいた。

◆まずは人生の5大固定費を見直す

 投資に成功した櫻井さんは、「お金に対する不安は消えました。仮に無一文になったとしても、イチからまた資産を形成していけるという自信はあります」と語る。

 これは、家庭環境に恵まれ、特別な才能を持っている人だけが達成できることではない。FIREとまでいかなくても、ある程度の経済的自由を得るチャンスは、誰もが等しく与えられている。ということで、ここからは、未経験だが投資に興味がある方向けに、ファーストステップとして何をすべきか、櫻井さんからのアドバイスとなる。

「投資の基礎を学ぶ前に、まずは自分の経済状況の把握から始めましょう。収入は毎月いくら入ってきて、毎月何にいくら使っているのかから始めます。本にも書いていますが、人生の5大固定費というのがあります。これは、光熱費、通信費、車の維持費、住宅費、保険料の5つの出費を指します。多くの人は、固定費をよく把握していないものです。請求明細も見ず、何となく漫然と毎月払っているのですね。しかも、お金が不足気味な人ほど見ていません。ここにメスを入れるのです」

◆なかでも保険の見直しを!

 中でも保険の見直しをしたほうがいいそうだ。入っている保険の保障内容も知らない、同じ内容の保険に複数入っているパターンはよくあるという。

「それらを吟味して、解約すべきものは解約してしまいましょう。こう言うと、『あと数年したら、払った額と同額の解約返戻金となるから、そこまでは頑張ろう』とか『解約したら、今まで払ってきた保険料が無駄になっちゃう』など、反論してくる人がいます。でもそこは、スパッと損切りをしたほうがいいのです。

 そしてスマホ。大手キャリアから格安スマホに乗り換えても支障なければ、乗り換えてしまいましょう。1か月あたりの節約額は、たいしたことはないかもしれません。ですが、一家全員が乗り換えると1か月あたり1万円を超える節約になることも。1年で見れば12万円以上ですよね。スマホ乗り換えは、手続きが面倒そうという心理的ハードルはあります。でも、その手続きは最初の1回だけですので、そこは頑張ってみましょう」

◆なにはなくともNISAから着手

 このように固定費を見直して、削れるものは削った上で投資に目を向けることになる。櫻井さんは、次のように語る。

「手始めはやはりNISAです。月々の収入の2割を投資するのが目安です。月収30万円であれば6万円ですね。そしてボーナスが入ったら、余力の金額はできるだけつぎ込むといいです。それから、投資のためのお金をプールする口座を、1つ設けることをおすすめしています。給料やボーナスが入ったタイミングで、その口座にお金を移すことで、自然にお金が貯まる仕組みを作ってしまうのです」

 長期的な視点の投資信託とは別に、おすすめしたいのが、金(きん)と個別株だという。

◆全投資額の1割は「金と個別株」に

「景気後退やコロナ禍のような、社会的なショックが起こったときは、株は売られて価値は下がってしまうので、金のような現物資産は、分散のために保有する意味はあります。目安としては全投資額の1割程度。ここ25年で9倍近く上がっていますが、だからといって半分ぐらい突っ込んだらいいのかっていうと、決してそうではないと思っています。

 個別株は、ちょっとハードルが上がります。どの企業に投資するかという判断の軸を持っていなくてはいけないからです。それはちょっと難しくて、決算書などのさまざまな数字を読めなくてはいけません。

 例えば、NVIDIA(エヌビディア)が伸びているから、そこに投資をする……という発想だと、ただのギャンブルでしかないのです。ただ、専門用語でセクターといって、まとまりのある業種やグループに注目して、全体的に伸びているのなら、ひとつの判断材料にはなります。いずれにしても、勉強は必要。今はオンラインで学ぶ機会はいくらでもあるので活用しましょう」

◆盲点は、家族が投資を理解しているか?

 櫻井さんは、投資詐欺の被害に遭う人が「すごく増えている」ことに警鐘を鳴らす。NISAなどをしているぶんには、そうならないはずだが、早く増やしたいという焦りから、あやしい案件に手を出してしまうという。

「特に、人生経験が豊富にあるはずの50代後半とかが多くて要注意です。私も、幼少期からお金に振り回されてきた人生送ってきているので、気持ちはすごくわかるのです。でも、その年代で、2000万円、3000万円も詐欺に遭ってお金を失ったら、そこからリカバリーするのは、とても厳しいです。なので、妙においしい話には、絶対気をつけてください。

 そしてもう1つ気をつけたいのが、家族の理解と価値観のすり合わせです」

◆夫婦でお金のことを話す機会を設ける

「今の夫は、病院の勤務医ですが、結婚した当初はお金がなさすぎて、本当にびっくりするぐらいでした。聞いてみると、むやみに出て行くお金が多かったのです。でも、何にいくら使っているのか把握しておらず、お金はいつもギリギリでした。また、投資には大反対の考えの持ち主で、再婚してしばらくは、価値観のすり合わせにも苦労しました。

 今はそんなドタバタも落ち着いて、毎月末に時間を作って、2人でお金のことについて話す機会を設けています。こうした、夫婦間で投資に対する考え方のすれ違いというのは、私の受講生さんのなかにも多いのですが、きちんと話し合うことで解決できると思います」

<取材・文/鈴木拓也>

【櫻井かすみ】
ファイナンシャル・プランナー、投資の学び舎「トウシナビ」代表。大阪府出身。投資詐欺被害、貯金ゼロ、離婚&無職、再婚直後に不妊治療でもっと貧乏に……、などドン底を経て、極度のお金恐怖症になるも、4年で1000万円まで貯めるのに成功。それから投資を本格化し、純資産は1億円に。お金の増やし方&守り方を、延べ2000人に直接指導している。SNS総フォロワー3万人以上。著書『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)がある。Instagram:@sakura_waamama

【鈴木拓也】
ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki/

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