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馬券は4コーナーだけ見ればOK!“的中率激高”の予想法で「今週末おすすめの5頭」を紹介

日刊SPA! 2024年7月20日 8時20分

 今、競馬界でトレンドとなっている予想理論のひとつに「回顧系」が挙げられます。回顧系とは、過去のレース映像を見直して、競馬新聞の馬柱からは読み取れない“不利”を受けている馬を拾い出す手法。かなりメジャー化しているのにもかかわらず、いまだに一定の有効性を保っているのは、全レースの映像を見直すのに手間が掛かるからでしょう。
 逆に言えば、時間を掛けずに回顧することができたら、これほど強力な手法はありません。その“回顧の時短化”に成功したのが、新鋭の予想家Orfe氏です。

 Orfe氏が活用する予想理論「後出し回顧Log」は、予想の時短化に成功しただけでなく、その名の通り「後出し」の要素を付け加えることで、通常の回顧以上の的中率を実現しているのだとか。

 ということで今回は、馬券術「後出し回顧Log」の提唱者であるOrfe氏にその詳細について語っていただくとともに、今週末の注目馬についても教えてもらいました。

◆時間が無いからこそ辿り着いた手法

——まずは簡単な自己紹介からお願いします。

Orfe氏:Orfeという名前で予想活動を行なっています。馬券を買い始めたのは12〜13年前からで、ハンドルネームもその頃に応援していたオルフェーヴルが由来ですね。ただガッツリ予想に取り組むようになったのはここ4〜5年ぐらいです。

もともとは血統派で、配合分析が中心の“ロマン派”でもあったので、分析に時間は掛かるし、その割に馬券に直結しにくいなと感じていました。会社勤めの身ですし、少年サッカーのコーチもしていて競馬に割ける時間が限られている中でもしっかり競馬に向き合いたいと思って、効率的にレース回顧ができる「後出し回顧Log」を始めました。

——どういった部分が効率的なのでしょうか?

Orfe氏:レース回顧というと、スタートからパトロールビデオを見直して、各馬の有利不利をチェックするというのが一般的だと思います。ただ、それだと物凄く労力が掛かるので、「4コーナーの位置取り」だけを見ることにしました。4コーナーの隊列をスクリーンショットで撮って、「内・外」「前・後」のどちらが有利なバイアスだったかをチェックするのです。慣れれば1レース2〜3分で終わりますが、分析を重ねていくうちに、これだけでも十分に回顧として意味があることわかってきました。

◆“不利な状況なのに好走した馬”を次走で狙う

——4コーナーで内を通った馬が上位に多く入っていれば「内有利・外不利」、4コーナーで前にいた馬が上位に多く入っていれば「先行有利・差し不利」と考えるということですね。

Orfe氏:具体的には「内有利」「外有利」「前有利」「後有利」「フラット」という5つのレースバイアス(傾向の偏り。以下RBと表記)を設定しています。そして、RBをベースに競走馬を以下の5段階にランク分けしています。

前走ランクS→RBに反して馬券内(3着以内)に好走した馬。能力上位である可能性が高く、次走最優先で狙いたい。
前走ランクA→RBに反して好走した4・5着+5着馬とタイム差なしの馬。クラス上位の力を秘めている可能性が高く、次走優先して狙う。
前走ランクB→RBに恵まれて馬券内(3着以内)に好走した馬。RBに恵まれれば能力的に通用する。
前走ランクC→RBに恵まれず凡走した馬。RBに恵まれれば好走の可能性を残す。
前走ランクD→RBに恵まれながら凡走した馬。余程の理由がない限り次走は消せる。

手法としては、前走でRBに反して好走した「前走ランクS」(場合によっては前走ランクA)の馬を狙うのが基本です。一般的なレース回顧系の予想では、RBに恵まれずに凡走した馬(前走ランクC)の巻き返しをメインに狙うケースが多いと思うのですが、この中には単純に能力不足だった馬も含まれてしまいます。私の場合はRBに恵まれなかったのに3着以内に好走した馬を狙うので、高い的中率が担保されているのが特徴です。

——展開や馬場に恵まれなかったのに3着以内に来るような馬であれば、再度恵まれなくても3着に、恵まれればそれ以上の着順が見込めますもんね。元馬券攻略誌の編集部にいた人間としても「前走好走馬」を狙うアドバンテージは理解できます。近年は、期待値予想が主流となっているため、前走馬券外だった馬を狙う人が多い。その分、本当に“強い”前走好走馬を見抜くことができれば、的中率も回収率も高いレベルで両立できることは想像できます。

◆「後出し」でRBの精度を高めていく

——予想理論にもなっている「後出し」についても教えていただけますか?

Orfe氏:RBを判定して暫定的にランク付けした後、そのレースに出ていた馬の次走成績によって再評価を行います。これが「後出し」ですね。RBに恵まれなかった馬(前走ランクS・A・C)が次走で巻き返していたり、逆にRBに恵まれた馬(前走ランクB・D)が次走で凡走していたら、設定したRBの信憑性が上がるので、そのまま自信をもって「前走ランクS(A)」の馬を狙うことができます。

例えば7月7日福島11Rの七夕賞、私の◎はレッドラディエンスでした。前走のメトロポリタンSは少頭数で内ラチ沿いを通った馬が上位入線する『内有利』なRBだったのですが、レッドラディエンスは外を回して0.3差2着に好走。外を通った3着馬シュヴァリエローズは目黒記念(G2)で2着、対して内ラチ沿いを通った4着馬ショウナンバシットは巴賞(OP)で8着と明暗がわかれました。この事実からもメトロポリタンSが「内有利」であったことは間違いなく、RB 恵まれない中で2着だったレッドラディエンスは強い競馬。確信を持って七夕賞では◎を打ちました。

◆「後出し」で、みせかけの『内有利』を見抜く

——「後出し」で評価が変わるケースもありますよね?

Orfe氏:はい。RBに恵まれたはずの馬が次走も好走し、恵まれなかったはずの馬が次走も凡走しているようなケースはRB自体を見直します。例えば、「内有利」と判定したレースで、内を通った馬が次走でも好走し、外を回った馬が次走でも凡走するようであれば、そもそもRBを「内有利」から「外有利」に変更するのです。こうして柔軟にRBを変更することで、誤った判断に引っ張られて損をし続ける事態を回避できます。

——なるほど。「後出し」をすることによって、どんどん設定したRBの精度が高まっていくわけですか。確かに、一旦、自分が下した判断を改めるのは勇気が要るので、仕組み化されているのはいいですね。

Orfe氏:「後出し」での評価変更が的中に繋がった例として6月2日京都11Rの松風月Sが挙げられます。◎ジレトールの前走は天王山Sで、このレースは1、3、4、5着馬が内目を通った馬だったためRBを『内有利』に設定しました。天王山S組は(松風月Sが行われた)6月2日までに10頭が次走を走り終えていたのですが、そのうち天王山Sで内目を通った5頭中4頭が次走も好走していたのです。

一方でRBでは不利だったはずの外を通った5頭は次走で全敗。内を通って8着に敗れていたサンライズアムールは次走の栗東Sを、同じく内を通って5着だったナムラフランクは次走で越後Sを勝利し、外を通った6着サトノテンペストは栗東Sで5着止まりでした。好走馬が内に偏っていたため、RBを「内有利」と設定していましたが、「後出し回顧」の結果、実際は内を通った馬が単純に能力上位だっただけだったということがわかったので、RBを「外有利」に改めました。

松風月Sで◎にしたジレトールは天王山Sでは内を通って1着。当初のRB「内有利」を適用していたら、「バイアスに恵まれた勝利なので次走は評価下げ」としてしまうところですが、「後出し回顧」の結果「外有利」にRBを改めていたため、松風月Sでも自信を持って狙うことができました(ジレトールは3番人気1着)。

◆今週末の「後出し回顧Log」推奨馬はこの馬たち!

 いかがでしたでしょうか。「予想効率が良く的中率が高い」という「後出し回顧Log」。本業に趣味にと全力を注ぎながら競馬とも真剣に向き合いたいというOrfe氏の思いが生み出した馬券術といえるのではないでしょうか。

 この理論の最大の魅力は「的中率が高い」こと。的中率が低いと資金が回らなくなりますし、何より楽しくない(笑)。そういう意味で、的中率と回収率を両立した「後出し回顧Log」は、馬券ファンが真似しやすい理論だと思います。

 なお、Orfe氏のXでは予想のヒントや回顧が投稿されています。気になる方は是非、チェックしてみてください。

◆7月20日、21日 「後出し回顧Log」注目馬

7月20日(土)

札幌6R 3歳未勝利
注目馬:オメガインペリアル
前走ランク:S
簡易見解:前走は『内有利』なRBで展開面でも先行勢が恵まれた中で、この馬を含め外を回して差してきた2頭は能力上位。

札幌9R 北辰特別
注目馬:ヴァルドルチャ
前走ランク:A
簡易見解:前走は『後有利』なRBで先行勢では唯一掲示板を確保。今回のメンバーは前走ランクS不在。

7月21日(日)

福島7R 3歳未勝利
注目馬:アイソーザライト
前走ランク:A
簡易見解:前走は『前有利』なRBを9番手から5着。4角12番手から差し切れなかった3着馬が次走3着に連続好走し、先行してRBに恵まれながらも凡走した8着馬が次走も凡走。

札幌10R 大倉山特別
注目馬:モンドプリューム
前走ランク:S
簡易見解:1年3か月ぶりの復帰戦となった前々走が『後有利』のRBを逃げて0.5差6着。前走も『後有利』のRBを逃げての0.3差2着。この前走で先行勢は次走未出走ながら差し勢は4頭が次走同じレースに出走し全て惨敗なので信頼度は上がる。

小倉11R GⅢ中京記念
注目馬:アルナシーム
前走ランク:A
簡易見解:前走のGⅢエプソムCは『外有利』なRBで内目を通って5着。次走未出走馬が多いが本馬と同じく内目を立ち回ったグランディアが先週の函館記念で2着に好走。

取材・文/松山崇

【松山崇】
馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。

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