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i☆Ris、デビュー12年目で込めた想い「永遠じゃないからアイドルを生きてる」

日刊SPA! 2024年7月21日 8時50分

デビュー12年目を迎えた声優アイドルユニットのi☆Risが25枚目の両A面シングル「愛 for you!/希望の花を」を発売中だ。i☆Risメンバーたちが主役を務めた劇場版アニメ「i☆Ris the Movie – Full Energy !! -」の主題歌、挿入歌となっている本シングルに抱く、並々ならぬ強い思い入れについて話を聞いた。
◆私たちの映画だから「私自身が正解」

――まず、i☆Ris10周年プロジェクトの集大成として制作された劇場版アニメ「i☆Ris the Movie – Full Energy !! -」について、自分自身を演じるうえで感じたことを教えてください。

山北 私は台本を読んで、思ったとおりにやった、という感じです。わりとギャグ要員な立ち位置だったので、そういうときのさきさまを全力でやりきりました。

茜屋 アフレコ現場では、その場の空気感と自分のノリで自然とできたので、私の隅々まで調べて脚本作り上げてくださったんだな、ありがたいな、と。作中でアゴがいじられてたので、ラストで実写のMVが流れるときに、ちょっと自分のアゴが気になっちゃいました(笑)。

久保田 普段キャラクターを演じる時は監督さんたちの意見を聞いて作り上げていくけど、今回は何も考えずに……。だって、私自身が正解なんだから、という気持ちでした(笑)。でも普段のテンションでやったら「ちょっとテンション低すぎます」と言われて、ちょっとだけプラスしたりしたところもあります。

それ以外は、変に誇張されることもなく、変なことをしてるメンバーを眺めながら、気張ることなく普段の自分でやりました。

◆制作陣のリサーチ力に驚愕したシーンたち

――制作陣は関係者の取材をしてシナリオを作ったそうですが、「わかってるな〜」と感じた部分はありますか?

若井 何にでもなれる世界で、私だけが何になるか迷って、置いてけぼりになるシーンです。なんでわかってるんや!って思いました(笑)。あんまり表には出さないようにしてるけど、優柔不断なので、そんなとこまでバレてるのか……って思いました。

芹澤 私は、猫ちゃんにかじられてるシーンですね。うちの猫ちゃんも気まぐれで、明け方にお腹が空いて私をよくかじってくるんです(笑)。

山北 デビュー当時のシーンの服装がリアルすぎたのもびっくりでした。友希ちゃんと「これ、あのときの服だよね」って言い合って。服だけじゃなく、お世話になってるダンスの先生やマネージャーまで登場してて、いろいろと深く調べてくれてるんだと驚きました。

茜屋 私も自分のYouTubeチャンネル「ひみちゃんねる」でしか出してないような、吹っ切った面がフィーチャーされていて。周りから見ると、自分ってこういうふうに見えるんだ、という新しい発見がありましたね。

――芹澤さんは、シナリオについていくつか提言をされたそうですが、どのような部分に反映されていますか?

芹澤 元々のシナリオではメンバー同士の絡みではなく、メンバー対リスの構図でした。メンバー同士が作用しあって、感情のゆらぎや弱さ見せて、みんなで助け合うのがいいかなと思ったんです。

久保田さんが「歌おうよ」と歌い出すのも、元々は別メンバーのセリフだったんです。そこに友希ちゃんが乗っかるシーン、私が暴走して迷惑をかけるシーン、山さんがケガをしてそれを隠す……。もしケガするなら首がいいと思うっていう、分かる人には分かる話など、私のアイデアがたくさん採用されて、やったー!って感じでした(笑)。

◆一言一句残さず、すべてが私たちからのメッセージ

――大石昌良さんが作曲を務められた「愛 for you!」ですが、メンバー全員で作詞をしたと伺っています。あらためてどんな曲なのか紹介をお願いします。

山北 もう「聞くだけで泣いちゃう!」のひとことに尽きます。最初に曲を聞いたときから、今まで、ずっと。なんといっても、今回はメンバー全員で作詞をしているので、一言一句残さず、すべてが私たちからのメッセージになってます。

今回は先に歌詞を完成させて、曲を作っていただくという珍しいパターンだったんですが、大石昌良さんが素晴らしいメロディーを作ってくださって。明るくポップなのにどこか切なさも感じさせる、“大石節”のある曲です。歌えば歌うほど、どんどん好きになっていってます。

久保田 ひとつの曲として素晴らしいのはもちろんですが、映画のラストにこの曲が流れるんです。

i☆Risちゃんからオタクに向けてのメッセージや自分たちの歴史をまとめた曲として作ってみて、いざ映画を見てみたら、すごくいいところで曲が流れてきた。主題歌だってことは聞いてたけど、映画のどこで流れるかは知らないままに作詞をしていたので、歌詞がすごく心に沁みて、ちょっと泣きそうになりましたね。

◆どうしても納得のいかなかった歌割りに……

――映画の試写では5人中4人、泣いていたというスタッフの証言もあります。

茜屋 え、私は泣いてないですよ! でも「希望の花を」が流れたところはちょっとうるっときたかな。「歌い続けることはやめない」って歌詞がすごく頭に残りました。

山北 私もBiSHさんのライブ見に行ってたくらい好きなので、松隈ケンタさんに曲を作ってもらえたのはすごく嬉しかった! 松隈さんって聞いた瞬間も泣いて、最近泣いてばっかり(笑)。この両A面、神です。

久保田 ちなみに試写では私も泣いてないよ。泣いちゃうと翌日の撮影に影響が出るかもしれないから、耐えた。

山北 でも心では泣いてたってことでしょ?

久保田 最後に「愛 for you!」が流れた瞬間、ちょっと危なかったかも。明日が仕事じゃなかったら……いや、メンバーがいたから泣かないか。

山北 友希ちゃんはライブでこの曲をやるときのリハでも泣いちゃう(笑)。メンバーから歌詞の候補をもらって、私と友希ちゃんでまとめていったので、特に思い入れが強いんですよね。

レコーディングの順番は私が最後だったんですが、歌割りでどうしても納得いかない部分があって、「すみません……もう一度やり直せないですか……?」とお願いして、撮り直した部分もあるくらい。過去イチ思い入れの強い曲です。

◆個性が出た歌詞の提出方法

――歌詞について、それぞれどのような形で提出したんですか?

芹澤 私はフレーズをたくさん送りました。正直、どこが採用されたのかぜんぜんわかってないですが、山さんと友希ちゃんいわく、ちょこちょこ使ってもらってるみたいです(笑)。

茜屋 私もフレーズとかおしゃれなワードを送ってみました。完成した詞を読んだとき、すごく素敵で、自分にはできないからすごいと思いましたね。

山北 「色とりどり」とか、ちゃんと使ってますよ。詩人みたいなワードが多くて、作詞したことある人の言葉だなって思った。

久保田 私は作詞に関わるのが初めてだったので、とりあえず締め切りまでに自分のできることをやろうって感じでした。友希ちゃんにどうすればいいのかを聞いたら、「箇条書きや単語だけでいいから、思ってることを素直に書いてみて」と言われて。作詞というより、自分のファンに対する想いをばーっと描いて、私はこう思うって内容を書いてみました。

山北 みゆたんは、ストレートな言葉が良かったですね。「だけど君の自慢のアイドルになっていたい だってさ、私の自慢のオタクになってほしい」とか、ほぼほぼそのまま使ってます。

◆若井のニュートラルな歌詞に山北のスパイス

――山北さんと若井さんはどのような形でまとめたんですか?

山北 まずはニュートラルな感覚の友希ちゃんがみんなの言葉を集めて歌詞を作ってくれて、そこから私が少しずつ意見を出して変えていった、という流れです。

若井 ラップみたいなパートの部分で、さきさまが「婚活適齢期真っ只中」ってワードを付け足してくれたときは、さすがだなと思いました(笑)。そういう爆弾みたいなパンチラインで歌詞にいいスパイスが加わって、そういうのは私の持っていない部分なので、尊敬してます。

山北 Aメロ、Bメロ、サビだけでは言いたいことが入り切らなかったので、ラップパートを増やしてもらいました。

――なるほど、サビがなかなか来ない、展開が少し複雑な楽曲になった理由は、そこにあったんですね。タイトルはどのように決めたのでしょうか。

山北 タイトルは、私たちがライブや動画でファンのみんなに向けて言ってる「らぶちゅっちゅ」という言葉を元に、友希ちゃんが決めました。元々はサビっぽいフレーズとして用意していて、タイトルは最後まで決めてなかったんです。

友希ちゃんは「I listen to your heart」にしたいとかいろいろ言ってたけど、私はシンプルなほうがいいかな、と思っていて。3つくらいに絞ったあと、みんなで「愛 for you!」に決めました。カッコつけすぎてない感じが絶妙だなと思ってます。

◆「永遠じゃないからアイドルを生きてる」

――それぞれ、歌詞のなかで特に思い入れのある言葉はありますか?

芹澤 すごく好きなフレーズが、「まだまだ完璧になれないから面白いじゃん」。私って完璧を目指すくせに、それができなくて悩みがち。でも“完璧”よりも、もっと素敵なことができるんだって気づいてから、このフレーズがより沁みるようになりました。とはいえ、完璧を目指して頑張る自分も大好きです。

若井 ひとつの言葉としては、「I listen to your heart」という歌詞が、ぎりぎり「i☆Ris」に聞こえるような、空耳っぽいワードにしたいと思って歌ってます。曲全体でいうと、私たちはあとどれくらいアイドルとして生きられるかわからないから、大事に生きようってテーマを、メンバー全員で持ってましたね。

それが、さきさまが考えた「永遠じゃないからアイドルを生きてる」という歌詞に表れてて、格言だと思います。すごくいいフレーズ!

山北 泣かせるバラードって感じじゃないのに、聞いたら泣いちゃうっていう、伝説級の歌になったって、勝手に思ってます! マジで聞いてほしい!

【i☆Risプロフィール】
‘12年に結成された、山北早紀、芹澤優、茜屋日海夏、若井友希、久保田未夢の5人からなる声優アイドルユニットi☆Ris。彼女たち自身をアニメ化し、本人自ら声優を務める劇場版アニメ「i☆Ris the Movie – Full Energy!!」の主題歌・挿入歌となっている25th両A面シングル「愛for you!/希望の花を」が発売中。また、劇場版アニメに続き、初の実写映画化「Live & Documentary Movie ~i☆Ris on STAGE~」が9月に公開決定となった

<取材・文/森 ユースケ 撮影/尾藤能暢>

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