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電車内で痴漢された女性を「全員が見て見ぬふり」犯人を叩いたら…“最悪の事態”に発展

日刊SPA! 2024年7月24日 8時53分

 日々多くの人たちが利用する電車。電車内で迷惑な行為をする乗客に腹が立った経験は誰でも一度はあるだろう。
 これだけSNSが普及して、バレたら人生終わりになりかねないにもかかわらず、いっこうに無くならない「痴漢」。女性で満員電車を敬遠する人は多いんじゃないだろうか。

◆朝の電車で冴えないサラリーマンが…

 筆者(現役グラドル兼ライターの吉沢さりぃ)は昨年、子どもが生まれたので、さすがに朝まで飲み歩くことはなくなったが、それ以前は毎日……いや、週8日くらいの勢いで飲んでいたので、そのぶんトラブルも多かった。

 西新宿にある柏木公園で知らないオヤジと乾杯し、寝落ちして起きたら昼だったとか、近所のビルとビルの隙間で半日以上寝てしまって警察に起こされたとか、覚えているだけでもとんでもないエピソードが多く、書けないことがほとんどだが、筆者が泥酔しているという点を加味しても電車内においてはムカついた経験がある。

 何軒かハシゴ酒をした帰り道のこと。

 当時住んでいたのは中野。朝8時過ぎ、通勤時間帯の中央線に乗り込み、手すりをつかんだ。酔っていたので座りたいところだったが、中央線の下りは地味に混んでいる。

 財布の入ったショルダーバックを斜めがけにして、左手には手すり、右手には仕事道具のPCバッグを持っていた。電車の揺れが妙に心地よく、瞼が半分閉じかかっていた頃。

◆お尻に違和感「思いっきり叩いてやった」

 筆者はお尻に違和感を覚えた。瞼をガッと開き、違和感の正体を突き止めようとした。

 そこには、冴えないサラリーマンの手がある。この日はスッピンメガネでジーパンにパーカー。筆者のグラドルとしてのウリであるKカップは全くアピールしていない。いま思えば、よくこんな姿で新宿まで飲みに行っていたなぁと。

「朝からこんな女のケツ触りたいなんて、男って本当に気持ち悪いなぁ」と思いながら、無言で振り向いてPCバッグでその男の太ももを思いっきり叩いてやった。

 男が面白いくらいに“ギョ!”っとしたので笑いそうになったが堪えた。

 きっと「この地味な女ならばケツを少しくらい触っても何も言ってきやしないだろう」とふんでいたんだろう。バツの悪そうなサラリーマンを真っ直ぐ見つめ、「謝ってくれたら許してやろうかな」という気持ちでいた。しかし、予想外の展開が待ち受けていたのだ。

◆老人が大声で「何をやっているんだ!」

 近くにいた老人が「何をやっているんだ!」と大声をあげた。「あぁ、ちゃんと見てくれた人がいたんだな」と思ったら、老人はすごい形相で「いきなり何もしていない人に暴力を振るったらダメだろう!」と筆者に対してブチ切れているのだ。えー!こっち?

 さらに「女のくせになんだお前は!」としつこい。「いや、あの、だから」と説明しようとすると「なんで殴ったんだ!」と続ける。

「お前もなんか言えよ」と痴漢したサラリーマンを見ると、その老人に「ありがとうございます!」と会釈して、タイミングよく下車して行ったのだ。

 痴漢した犯人が、“女から急に殴られた被害者”のふりをして逃げ切ったのだ。

◆全員が見て見ぬふり

 周りの乗客は誰も助けてくれなかった。通勤の時間帯で朝から面倒に巻き込まれたくなかったのだろうか、全員が見て見ぬふりを決め込んでいた。

 老人はずっと筆者に文句を言ってくる。いくら酒癖が悪くても、痴漢されてない人を殴るほどヤバい人間ではないのに……。

「さっきのサラリーマンに痴漢されたから、カバンで叩いたんですよ。たぶん、指紋とか残っていると思うから、一緒に駅員さんと警察のところに来てくれませんか?」

 この老人を誘ってみたところ「付き合っていられるか!」と降りていった。

 うるさい老人もいなくなり、席も空いてきたので座った。まあ、胸糞悪い出来事だったけど、酔って座る電車は謎に気持ちいいんだよな。

◆悲劇は続く

 爆睡していると、国分寺駅に着いた。北口を出て、ピカソで足りなかった洗剤を買って、テクテクと歩いていると、「あれ!さりぃ久しぶりだね!どうしたの?」と声をかけられた。昔よく通っていた居酒屋の大将だ。

「おはよー、飲みすぎちゃって」

 そう答えながら気がついた。いま住んでいるのは国分寺ではない!

 当時の自宅は中野である。酔っていたことに加えて痴漢と老人の説教で混乱し、間違えて昔住んでいた国分寺まで来てしまったのだ。さらに買い物までしてアパートに向かっていたのだから、大将に会わなければ、そのままドアをガチャガチャしていた可能性もあると思うと怖い。他人の家に入ろうとして通報されていたかもしれない。この一件以降、そこそこ酔ったら電車を使わずタクシーで帰ることにした。

<文/吉沢さりぃ>

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720

―[乗り物で腹が立った話]―

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