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資産1億円超の“元芸人”怪談師が告白「あやしい話にのって300万円溶かした」怪談よりも怖い投資話

日刊SPA! 2024年7月26日 15時51分

 昨年末に資産1億円突破し、晴れて「億り人」への仲間入りを果たした、元芸人で怪談師のハニートラップ梅木さん(@kabu_honey)。証券口座を開いたのは2014年頃で、真剣に取り組みはじめたのは2019年末。それから毎日ザラ場に張りつき、スキャルピングで34万9000円の元手を1年後には2400万円にまで増やした。その後は負けを重ねてしまい、2021年末には160万円に……。そこから奮起して、2023年末に1億円を突破した。
 戦歴だけだと夢のある話に思えるが、「濃密な5年間で、失敗もたくさん重ねた」と話す。その中から、梅木さんが実際に体験した怪談さながらの投資の怖い話を教えてもらった。

◆怖い話①:勉強不足&あやしい話にのり合計300万円を溶かす

――証券口座を開いたのは約10年前と、投資自体にはけっこう昔から興味があったんですね。梅木さんがはじめて投資で怖い目にあったのはいつでしょうか?

ハニートラップ梅木(以下、梅木):それで言うと、けっこう最初のほうから怖い目にあってますね。10年くらい前に、株で生活しているという芸人の先輩に教えてもらって、100万円くらいつっこみました。でも、証券会社が出したレーティングの影響で買った銘柄の株価が半値くらいになり、次に別の証券会社が反対意見のレーティングの発表で3倍くらい上がりました。鶴の一声みたいに状況が一変するんやと、怖いなと思いましたね。

 ほかにも、コロナが始まる少し前に、Twitter(現X)のDMで流れてきた海外企業の株を買ったことがあります。もう少ししたら、新しいスーパーフードとして注目されるし、上場も狙ってるから株価もめちゃくちゃ上がるということで、ここでも100万円くらい。ただ、半年くらい経っても全然話が進まないし、株価も上がらないし、送ってもらって食べたスーパーフードの味もイマイチやったんで、大負けしたけどいいやと思って清算しました。

◆「結局は自分で努力して勉強するしかない」

――結局、その会社はどうなったんですか?

梅木:その年の年末くらいに債務超過か何かの理由で監理ポストに入って、そのまま上場を廃止して、会社もなくなりました。この頃は真面目に勉強せずに、そういう話ばっかりで、合計すると300万円くらい溶かしたと思います。

 これじゃアカンと思って、投資関連のオフ会やイベントに行って、ちゃんと稼いでる人と出会うようになりました。「結局は自分で努力して勉強するしかない」と分かったんで、心を入れ替えて投資に本腰入れるようになったんです。たぶん、この出会いがなかったら、ずっと失敗し続けていたと思います。

◆怖い話②:投資界の金縛りその(1)連続約定気配

――デイトレードをはじめた年は順調に資産を増やされていますよね。怖い失敗はあったのでしょうか?

梅木:ありましたよ。確かに1年目は、34万9000円の資金をスキャルピングで2400万円ぐらいに増やしましたけど、あの頃は全く仕事がなかったんで、1日中ザラ場に張り付いて、色んな銘柄の売買を繰り返していました。コロナの影響で全体的に時価総額が下がっていて、簡単に上がる状況でしたし、僕がやってた小型株は特に乱高下が激しかったんで、スキャルピングはやりやすかったんです。

 そこそこ経験値を積んだ頃に、よさそうな精密機器の製造会社を見つけたんで、思い切って100万円単位で買ったんです。時世的な状況からも絶対勝てると自信があったので、株価が上がる度に買い増しを繰り返しました。でも、その日の相場が終わるラスト15分くらいで急に売り注文が殺到して、株価がすごい勢いで下がっていったんです。ヤバいと思って売ろうとするけど、全然売れない。まるで金縛りにあったみたいでした。

 当時はよくわかってなかったんですけど、この時は「連続約定気配」になっていたんです。マイナスになることをあまり考えてなかったし、ちゃんと先を読んでなかったし、ちょっとノリでやってる部分もあったんで、たった数分ですが、動けない間にプレッシャーと焦りで心臓がバクバクしてきて、自然と負けが大きくなる想像をしてました。

「このままストップ安になって、明日ギャップダウンしたら、全財産がなくなるかもしれない」とか考えていたら売買が成立しはじめました。少しずつスライスしていって半分ぐらい売ったところで、今度は急に値上がりし始めて、結局その日はストップ高で終了しました。その時はほっとしたんですけど、よくよく考えてみたら、売らずに全部持ってたらとんでもない利益になってたんですよ。えらい、もったいないことをしてしまいました。

◆怖い話③:投資界の金縛りその(2)差金決済

――身動き取れないまま価格が下がっていくのは怖いですね……。金縛りにあったのは、その1回だけですか?

梅木:似たようなとこだと「差金決済」ですかね。株には現物取引と信用取引の2種類があって、ほとんどの人が信用取引をしてるんですが、中には現物取引じゃないと買えない銘柄もあるんです。そのことに気づかずに、いつものように株の売買を繰り返そうとしたら、知らない間に差金決済に引っかかっていました。

 現物取引の場合は、1日に買付→売付(売付→買付)はできますが、買付→売付→買付(売付→買付→売付)はできないなど、いろいろなルールがあるんです。差金決済になって取引が停止してしまうと、その銘柄がどれだけ下がろうと、その日は売れないんです。僕も知らない間に差金決済をやっちゃってて、ストップ安をくらいました。これはけっこうあるあるで、たくさんの人が引っかかってると思います。

 身動きできなくなると焦りますが、原因はかわっているので、知っているだけで気持ちの乱れも多少は抑えられますし、差金決済なんかは注意していればわかることなので、どこか頭の片隅にでも置いておいてください。

◆怖い話④:予測不可能なワラント&決算前のいいニュース

――身動きが取れなくなることよりも怖いことってありますか?

梅木:「ワラント」がそれですね。新株予約権のことなんですが、これを発行されると株価が希薄化されるんで、投資家としてはやめてほしいというのが本音です。パチンコ業界のスマートスロットの流れから、ある会社の株を買ったんですが、業績も伸びてるし、株価も上がっていってるのに、なぜか決算での来季予想がすごく低くかったんです。思い切ってIRに問い合わせて、ワラントの可能性を聞いたら「そんなことはない」ときっぱり言われましたが、次の決算でワラントを発表されました。

――IRで確認した時の話はウソだったんですね……。

梅木:驚きますよね。その後、株価は大きく下がりましたし、その会社への信頼もなくなりました。ほかにも、決算前に「期待しといてくださいね!」みたいなことを公表した後の決算で、過去最悪の下方修正を発表する会社もいました。会社側にもいろいろな事情があると思いますが、内情を知らない僕たちは、事業拡大とか事業提携とかのいいニュースを聞くと、「もっと伸びるんじゃないか」と期待して株を買っちゃうんです。その先でワラントをされた暁には、何も信じられない不信感の塊みたいになってしまうんで、本当に勘弁してほしいです。ちなみに、プロの投資の中には「決算前のいいニュースはヤバい」って裏読みする人もいます。

◆怖い話⑤:ヒトコワ!知り合いからの投資話

――たくさんの投資の怖い話をうかがいましたが、「お金をたくさん持っている」ということだけで、怖い出来事が起こりそうな気もします。

梅木:確かに、生配信がしにくくなった、芸人間の暗証番号を答えるボケでめっちゃ汗かくようになったなど、困ることは多々あるんですが、怖いで言うと「知り合いからの投資話が増えた」ことですね。仲のいい人からの誘いだと断りにくいのもありますし、50万円とか100万円ぐらいの額なら、まぁいいかと思って投資するんですけど、その後、びっくりするぐらいの高い確率で音信不通になるんですよね。

――全く連絡が取れなくなるんですか?

梅木:最初のほうは、こちらからも何回か状況を聞いてみるんですけど、大体「コロナの影響が残ってるから」とかの理由をつけて延期になります。そういう話は全部ウソだと思っていいでしょう。

 いろいろと投資にまつわる恐怖体験をお話しましたが、勉強していれば回避できるものもあります。本やYouTubeで勉強するのもいいですが、実際に投資で利益を出している人に直接話を聞くことが一番の勉強だと思います。僕みたいに投資で後悔したくない人は、ぜひ自分の足を使って、情報を仕入れるように心がけてください。

<取材・文/安倍川モチ子 撮影/川戸健治>

【ハニートラップ梅木】
サンミュージック所属。コロナ以降は主に怪談師として活動するが、億り人となった昨年末頃より投資家としても活動中。X:@kabu_honey

【安倍川モチ子】
東京在住のフリーライター。 お笑い、歴史、グルメ、美容・健康など、専門を作らずに興味の惹かれるまま幅広いジャンルで活動中。X(旧Twitter):@mochico_abekawa

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