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大手弁当チェーン3社の「幕の内弁当」コスパがいいのは?食べ比べてわかった“三者三様の違い”

日刊SPA! 2024年7月27日 8時52分

◆弁当チェーン3社の「幕の内弁当」を食べ比べてみた
「いろんなものをちょっとずつ」の贅沢を体現した、幕の内弁当。芝居見物の幕間に食べる弁当、逆に役者たちが舞台裏(幕の内)で食べていた、果ては戦場の陣営の幕内で食べられた野戦弁当……など由来については諸説あります。

 もともとご飯は俵型おにぎりでしたが、現在では白米の上に黒ゴマが振られ、梅干しや佃煮などが乗っているのが一般的。おかずは汁気のないものを数種。焼き魚に玉子焼き、揚げ物、煮物、漬け物などがバランスよく盛り合わされています。

 ただ、具体的に「これが入っているから幕の内弁当」といったものもなく、定義は曖昧です。そんななか、大手弁当チェーンではどのような幕の内弁当を展開しているのでしょうか? 実際に食べ比べてみました!

◆豚の生姜焼きが特徴的な「ほっともっと」

 まずは、ほっともっと「幕の内弁当 650円(税込)」から。

 ご飯の上に黒ゴマ、おかずは豚のしょうが焼きが全体の4分の1強を占め、焼きサバ、だし巻き玉子、唐揚げ、ちくわ天、野菜の煮物などが盛り合わされています。「豚のしょうが焼きがメインおかずとして存在感を放っている」のが特徴と言えるでしょう。熱量も830キロカロリーと、今回最も高い一品です。では実食。

 この日は特段濃かったのかもしれませんが、豚のしょうが焼きが、かなり醤油辛く感じました。野菜の煮物も濃いめの甘辛さ。それに比して、唐揚げやちくわ天、だし巻き玉子の味は控えめで、付属の減塩醤油をお好みでかけてもいいと思えました。焼きサバは脂がしっかりと乗って美味しかったです。

 多彩なおかずが食べられるバリュー感はあるものの、もっとも量が多い豚のしょうが焼きの味付けが突出して濃い。全体として見たときに、味付けのバランスがちぐはぐだと感じました。これなら、豚のしょうが焼き弁当と銘打ってもいいかもしれません……。

 でもそのぶん、ご飯はもりもり進みます。「ガッツリ肉を食べたいけれど、肉だけというのもさみしい」という方におすすめです。

◆季節感のある食材を使った「ほっかほっか亭」

 お次は、ほっかほっか亭「おろし幕の内弁当 650円(税込)」。

 こちらは2024年6月1日に登場したメニューで、実はほっかほっか亭の幕の内弁当は、かなり短いスパンでリニューアルがかけられています。調べたところ、2023年10月1日にもメニュー変更がなされており、舞茸の天ぷらや根菜サラダなど、季節を感じるおかずが入る傾向があるようです。

 今回の「おろし幕の内弁当」には、おろし焼きしゃぶをはじめ、なすの揚げ浸しや、トマトと豆のサラダ、漬け物にはガリごぼうなど、夏に向けてさっぱりと味わえるおかずが充実していました。味はどうなのか? 実食してみると……。

◆「疲れ気味のときに食べやすい」弁当

 焼きしゃぶに付け合わされた、かぼちゃやオクラ、ブロッコリーなどの野菜は総じて大きめのカットで、さらにおろしだれによって素材の自然な味わいが活かされています。トマトと豆のサラダは、塩味によってトマトのコクが引き出されており、全体の良いアクセントに。ガリごぼうも生姜の辛み・風味がやわらかく、清涼感ある箸休めになっていました。

 ただ、豚肉の量は少なめ。海老とたまご炒めのスイートチリソースがけも添えられているのですが、「たんぱく質が少なく、野菜が多いので、満腹感には欠ける」という印象を受けました。

 熱量を見ても729キロカロリーと、同じ値段のほっともっとよりも約100キロカロリー低いようです。しかし逆に、疲れ気味のときにも食べやすく「これからの暑い季節にぴったり」だと感じました。

◆オリジン弁当の幕の内弁当は500円台

 最後は、オリジン弁当「彩り幕の内弁当 538円(税込)」。

 ほか2社と比べ、110円強も安い設定となっています。しかしそのぶん量は控えめで、熱量は648キロカロリー。エビフライに野菜の天ぷら、野菜の煮物などが少しずつ、まさに彩りよく盛られ、3社の中では最もオーソドックスな幕の内弁当に近いと言えそうです。実食!

 筆者の自宅まで持ち帰りに30分ほど要したのですが、それでも揚げ物の衣はサクサクをキープ。唐揚げは生姜とニンニクの下味がしっかりと付いており、鶏肉も身が詰まっていて特に美味しいと感じました。

 揚げ物以外にも、いんげんのごま和えやきんぴらごぼう、玉子焼き、シュウマイなどおかずが充実しているのも魅力。どれも味付けがちょうどよく、付属の減塩醤油とウスターソースをかけなくても楽しめました。

 どちらかというと野菜中心で、ご飯も少なめなのですが、それでも食べごたえはあると感じました。幕の内弁当に、「オーソドックスかつ、コスパの良さ」を求める方にはうってつけでしょう。

◆「最もコスパが良い」と感じた弁当は?

 筆者の食べ比べ記事では、いつもは最後に個人的な推しを発表するのですが、今回はどれも内容・値段ともに違いすぎて、甲乙つけがたい結果に。強いて言うなら、“オリジン弁当”が、量抑えめで安価な割に満足度が高く、「最もコスパが良い」と感じました。「ボリュームと食べごたえ」を重視するなら“ほっともっと”、「野菜がたっぷり摂れて夏バテ気味でも食べやすい」のは“ほっかほっか亭”といったところでしょう。

 今回の調査で、弁当チェーンの多様さを改めて目の当たりにしました。いつもと違う弁当店に訪れてみると、「こんなにも違うのか!」という発見が、きっとあるはずですよ。

文/川瀬章太

【川瀬章太】
フリーライター。神戸・大阪の編プロに8年勤務し、グルメ・街ネタ誌や飲食業界誌などを手がける。取材経験は1500件以上。某純文学新人賞の最終選考に3度残ったことがある。現在はWEBサイト「LIQLOG」などで、ビギナーにやさしいお酒の基礎知識や取材記事を執筆中

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