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元セクシー女優が「地味につらい女優の裏側」を暴露。血液検査は“最低月2回”、拘束時間12時間以上…

日刊SPA! 2024年7月27日 15時53分

 元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」がお届けする連載コラム。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。女優生活2年半が経過したところで引退を決意し、現在は同人作品やセクシービデオの脚本など、あらゆる方面で活躍中。
◆セクシー女優の「地味につらい」裏側

 どんな仕事にも、悩みはつきもの。社会に出れば小さなことから大きなことまで、頭を抱えるような問題と衝突することは避けられないだろう。

 セクシー女優は働くうえで様々なリスクがあることから、とにかく“困った”が多い職業だと私は思っている。親バレ、将来に対する不安、収入の不安定さなど挙げたらキリがなく、おまけに「地味につらい」レベルの些細な悩みもついて回る。

 世の中では女優の抱えるダークな問題ばかりが注目されがちだけど、業界にいないとわからないような、地味なストレスが想像以上にしんどいなんてことも……。今回は筆者が現役時代に自分が思った「地味につらいこと」を、独断と偏見で紹介していこう。

◆売れっ子は月2回の採血が必要に

 数年前なら性病検査は月に一度で許されていたが、現在は採取から2週間以内の検査票がないと現場に入れないルール。定期的にオファーが入る人は2週に一度クリニックへ行くのがマストになり、最低月2回の採血が必要不可欠だ。

 検査も仕事の一環であり、自分の体を守るために欠かせないことなのは重々承知のうえだが、採血が嫌いな女優にとって頻繁に血を抜かれるのはつらい。筆者も注射が本当にダメで、血を見るのも苦手だったために定期検査が毎回苦痛だった。

 上手な看護師さんに当たればそう苦しくないのだが、失敗されるとこれまた苦しさが2倍に。「あっ、今回はハズレだ」と提携クリニックで毎度ギャンブルのような気分を味わい、グッと唇を噛み締めたあの日も今は懐かしく思える。

 余談だが月2回の検査に加え、別件で採血を受ける機会があると月に何度も血を抜く羽目になる。セクシー女優をしていると一般の人よりも針を刺される回数が上がり、定期検査(月2回)+アレルギー検査+健康診断を行い、「今月は4回5回も血を抜いた」という女優も結構多い。

◆仕事ができないマネージャーだとストレス増加

「仕事ができないマネージャー問題」も女優の地味なストレスである。この場合の仕事ができないとは、オファーを取ってこられないだけではなく、案件のダブルブッキングや無茶なスケジュールの詰め込み方をするなど、働き手がやりづらいと感じるような行動を指す。

 仕事ができないうえに性格が悪ければ速攻でNGを出せるものの、そうでないとなかなか指摘しづらい。おまけに事務所のスタッフが少ないと、さらに文句を言いにくいので、ギリギリまで我慢する女優が多いとか。耐えきれないならさっさと他に移る手もあるが、移籍はなんだかんだで面倒だし、今の拠点を変えたくないとなれば、妥協をするしかないからだ。

 新人時代や、事務所に入りたての頃はマネージャーに対して文句を言うのもためらってしまう。ああして、こうして、これが嫌、をハッキリと伝えられないのは地味につらい以外の感想が浮かばない。結局地味なストレスは大きなストレスとなり、爆発するのがオチなのだが。

◆拘束時間は12時間以上のことも

 適当にポンポン撮り、数時間で現場が終わると思われがちだが、単体作品は拘束時間12時間以上となかなかの長さ。あくまで12時間は目安に過ぎず、トラブルの発生や監督がこだわりを発揮し始めると、もっと延びる可能性が高い。

 時間が押したら押しただけカメラを回すのか? と聞かれると、それは大きな間違いだ。シチュエーションの変更や機材の故障、何らかの理由で進行が滞ってしまうと、“待ち”が増えてしまう。カメラが回っておらず、自身の準備もすっかり終えているあの時間ほどつらいものはない。

 待たされている時間が長ければ長いほど、全体に嫌な空気が流れ始め、現場の士気が急降下するため、制作スタッフとしては可能な限り避けたい事態と言えようか。

 特に「今これ、何待ちなの?」という、待っている理由がわからない場合だと、裏方含む全員がイライラし始め「地味につらい」から「マジでつらい」へ変化。演者をする以上確実に直面することだけど、この“待ち”が好きな女優はこの世にいないと断言できる。

◆セルフメイクの現場が増えている

 最近はコストカットのために、衣装は自分持ち、かつセルフメイクの現場が増えているそう。「自分のことは自分が一番わかっているから、他人が手を施すより、セルフメイクの方が女の子は可愛くなれる」というメーカーの意向もあり、わざとヘアメイクを呼ばないケースさえあるのだ。

 だがしかし、現場へ向かう際の荷物が増えるので、女優からすると衣装やメイク道具の持参はかなり大変。衣装と言っても複数パターンの全身コーデを用意し、靴やカバン、アクセサリーといった小物も要求されればものすごい量になる。マネージャーが車で迎えに来ず、電車で現場へ行かなければならない女優だと地獄絵図でしかない。

 おまけに、持って行ったアイテムが必ず使われるとは限らないので、たまに“持って行き損”になることも……。普段の顔と実際に売り出しているキャラが異なると、プライベート用の私服がまず使えないのも大きな悩みである。

 また、撮影用に服をいくつか用意しておき「一度使ったアイテムを使い回さない」と決めるプロ意識が高い女優もいる。衣装やメイク用品を自費で購入すれば経費はかかるし、家の荷物もどんどん増えてしまう。仕事だから仕方がないものの、本当は現場に手ぶらで行きたいのが多くの女優のホンネだろう。疲れた体で大量の荷物を持ち帰るのも、“地味につらい”。

◆夏は暑くて冬は寒いのがつらい!

 エアコンの音が入り込むのを防ぐため、撮影時にはスイッチを消すのが現場の鉄則……となると、夏は暑くて冬は寒くなってしまう。撮影現場の環境は常に悪いもの、と言っても過言ではない。

 つらいのは演者だけではなく、スタッフも一緒だ。特に夏は暑い中重たい機材を持ち、人間が密集している中で仕事を進めるのはだいぶキツいので、まだ冬の方がマシといったところだろう。

 女優はいつも一糸まとわぬ姿での撮影となり、体を激しく使うせいで夏も冬もしんどい。「夏は暑くて冬は寒い」という季節の洗礼(?)をビシバシ受けまくり、「体が強くないとやってられん!」と思う機会が何度も訪れるほど。

 動画もつらいが、スチール撮影もまたしんどい。むしろ動画よりたくさん動かないので、ポーズを取っていない間我に返り、暑すぎる・寒すぎると余計な感情が頭に浮かんでしまう。私はあの瞬間がたまらなく嫌だった。

 最近はなくなってきてる「野外もの作品」だと、さらに季節の厳しさを感じる。寒暖差だけではなく、成人向けビデオは諸々の事情があって虫よけスプレーを使えないため、夏場は蚊に刺されてしまう。ビデオの撮影現場は、いろいろな意味で“戦場”なのだ!

◆いまを生き残るセクシー女優はたくましい

 こう挙げてみると「地味につらいこと」が意外と多かったことに自分でも驚いた。仕事は楽しいだけではやっていられないのだと、書きながらつくづく思ってしまう。

 いま生き残るセクシー女優たちは、これらのしんどさを理解したうえで仕事を続けるのだから本当にたくましい。「つらい」を超えるやりがいや面白さ、目標を持つからこそ、女優業に全力で取り組めるのだろう。

 彼女たちは数々の困難を乗り越え、辛い部分を見せずにみなさんの前でキラキラとした笑顔を浮かべている。ビデオはある意味、努力の結晶。そんな点を少しでも頭に入れた状態で応援してもらえたら、演者としてはもう十分満足なのだ。

文/たかなし亜妖

【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。

―[元セクシー女優のよもやま話]―

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