―［メンズファッションバイヤーMB］―
メンズファッションバイヤー＆ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第490回をよろしくお願いします。
夏本番、こう暑いと着たくなるのはTシャツ一択です。
無地もいいですが、重ね着ができない真夏では柄やプリントがほしくなりがち。というわけで、今回は皆大好き「プリントTシャツ」について。ユニクロのTシャツラインUTで買うべきアイテムをピックアップしてみました。
◆近代ニューヨーク、ポップアートの代表格
〇キース・ヘリング サブウェイ・ドローイング UT/オーバーサイズフィット 1290円
もうずっと以前からユニクロとタッグを組んでいるキース・ヘリング。
近代ニューヨークのポップアートを代表する人物で、アンディ・ウォーホルと並び評されています。地下鉄の空いている広告版に作品を描く「サブウェイドローイング」は約5年間、数千点に及ぶ量を手がけたと言われています(ほとんどが消失していますが)。
今までユニクロはキース・ヘリングのアイコニックな作品そのものをグラフィックにしていましたが、今回はニューヨークの地下鉄に描かれているキース作品の様子を撮影したもの。その上にサインを乗せており、より奥行きを感じるものとなっています。
◆オーバーなサイズ感とシルキータッチの高級感ある素材
フォトプリントならではの色彩の美しさ、サインの絶妙なカラーリングと位置でなんだかシュプリームのTシャツみたい。
オーバーなサイズ感とシルキータッチの高級感ある素材で完璧なまでにブランド見えします。これが1290円は安い。ただし在庫希少です、お早めに。
◆シックな色使いと程よいサイズのプリント
〇UTアーカイブ UT アンディ・ウォーホル 1500円
ポップアートと言えばなグラフィック。20世紀を代表するアーティスト、アンディ・ウォーホルですね。
シルクスクリーンプリント、マリリン・モンロー……大量消費を象徴する題材を使いアートの新しい価値を模索しました。アパレルの題材としても愛され、多くのブランドがこの作品を引用しています。
シックな色使いと程よいサイズのプリントであまり主張がなく、着回しやすいデザインでしょう。
◆スッキリとしたスタンダードなシルエット
また、ユニクロ以外にも多くのブランドが採用しているグラフィックだけに、ユニバレもしにくく、おすすめ。前だけでなく、背中にもプリントがあり、どちらも主張薄め。無地Tに近い感覚でサラッと着用できるでしょう。
プリントTはついつい柄や色に走りがちですが、夏場に合わせるのは当然短パンなどのため、あまり派手だとどうしても子供っぽくなりすぎる。色味やプリント面積をある程度抑えてあるものを選んだほうが使い勝手はいいもの。
スッキリとしたスタンダードなシルエットなのも合わせやすく、おすすめ。秋アウターの中に着るときにもよさそうなシンプルデザインです。
◆20万円超えも珍しくないヴィンテージの高騰
〇ピーナッツ UT/オーバーサイズフィット 1990円
ここ1～2年多くのブランドが手がけているピーナッツデザインのTシャツ。60年代古着として有名なメイヨースプルース社製のピーナッツTシャツが古着市場を中心に人気に。ここ数年で価値は爆上がりしており、20万円することも決して珍しくありません。
デニムや時計などが代表格ですが、ここ最近のヴィンテージは完全にバブルでどんどんん値段は高騰しています。価値を愛でてるだけでなく、資産として取引する人も参入し出す始末で、それらが本来の人気実態よりさらに高額化を生んでおり、天井知らずの様相を呈しています。
「数百万のGジャン」とか出てくる始末で最早ヴィンテージファンでも「ついていけない」なんて人は多いんじゃないでしょうか。
◆格安で自然にヴィンテージ感のあるデザインを実現
そんな中、高騰するピーナッツTをリプロ(再現復刻すること)しようと、多くのブランドが挑戦。ブランド「セントマイケル」は4万円台でヴィンテージの素材感やグラフィック、褪色の雰囲気を完璧に再現。取扱店では完売が続くほどの大人気となりました。
我らがユニクロもここに参戦。60年代のヴィンテージを彷彿とする懐かしいピーナッツグラフィックを、同じくヴィンテージの香りのするラグランのTシャツに乗せています。
1990円なので褪色した古着ようの風合いなどまで再現とはいきませんが、十分「ぽさ」は作れています。比較的人気の高いオレンジカラーを採用したり、配慮が伺えます。首元の開きや袖の長さなどは今のトレンドに合わせて作られており、自然にヴィンテージ感のあるデザインをまとえます。
▼ピーナッツ ユー・キャン・ビー・エニシング！ UT/オーバーサイズフィット 1990円
このシリーズ人気のようでいくつかのバリエーションが用意されています。どれもユニクロとは思えないくらいクオリティ高め。ヴィンテージに興味がある人もぜひ。
◆3Dのプリントデザインにも見える面白いデザイン
〇ミッキー スタンズ UT 1500円
UTといえばミッキーでしょう。権利関係にうるさいディズニーですが、ユニクロとは共同でTシャツ製作を行なっており……通常許さない「他アーティストにミッキーを描かせる」「オフィシャルにないオリジナルのデザインを起こす」などの禁忌を許しています。
こちらはオフィシャルミッキーのグラフィックを色を変え、複雑に重ねることで作ったグラフィック。
古着の褪せた雰囲気にも見えるし、3Dのプリントデザインにも見える面白いデザイン。キャラクターものは色味が強すぎてTシャツにすると思い切り派手になりがちです。
◆ボロボロにしていくと本当にヴィンテージになりそう
アニメコラボのTシャツなどがどうにもおしゃれにならないのはそのせい。現実ではありえないくらい原色を多用に使っているのでどうにもコーディネートに馴染まない。
こちらはミッキーのカラフルな印象を抑えてくれているので比較的使いやすいでしょう。何度も洗ってボロボロにしていくと本当にヴィンテージになりそう。
余談ですが、最近海外で古着の買い付けをしていると「おっこのミッキーTシャツめちゃくちゃカッコイイじゃん！」と思うもタグを見るとユニクロだった……ってオチが多いです。
ガッツリ洗って乾燥機をかけて風合いがヴィンテージになったユニクロのミッキーTって案外かっこいいですよ。ただユニクロの古着って全然売れないのでかっこよくても買い付けはしてこないですが……。
以上、UTのおすすめ。ぜひご参考に！
【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超！ （Twitterアカウント:@MBKnowerMag）
―［メンズファッションバイヤーMB］―
メンズファッションバイヤー＆ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第490回をよろしくお願いします。
夏本番、こう暑いと着たくなるのはTシャツ一択です。
無地もいいですが、重ね着ができない真夏では柄やプリントがほしくなりがち。というわけで、今回は皆大好き「プリントTシャツ」について。ユニクロのTシャツラインUTで買うべきアイテムをピックアップしてみました。
◆近代ニューヨーク、ポップアートの代表格
〇キース・ヘリング サブウェイ・ドローイング UT/オーバーサイズフィット 1290円
もうずっと以前からユニクロとタッグを組んでいるキース・ヘリング。
近代ニューヨークのポップアートを代表する人物で、アンディ・ウォーホルと並び評されています。地下鉄の空いている広告版に作品を描く「サブウェイドローイング」は約5年間、数千点に及ぶ量を手がけたと言われています(ほとんどが消失していますが)。
今までユニクロはキース・ヘリングのアイコニックな作品そのものをグラフィックにしていましたが、今回はニューヨークの地下鉄に描かれているキース作品の様子を撮影したもの。その上にサインを乗せており、より奥行きを感じるものとなっています。
◆オーバーなサイズ感とシルキータッチの高級感ある素材
フォトプリントならではの色彩の美しさ、サインの絶妙なカラーリングと位置でなんだかシュプリームのTシャツみたい。
オーバーなサイズ感とシルキータッチの高級感ある素材で完璧なまでにブランド見えします。これが1290円は安い。ただし在庫希少です、お早めに。
◆シックな色使いと程よいサイズのプリント
〇UTアーカイブ UT アンディ・ウォーホル 1500円
ポップアートと言えばなグラフィック。20世紀を代表するアーティスト、アンディ・ウォーホルですね。
シルクスクリーンプリント、マリリン・モンロー……大量消費を象徴する題材を使いアートの新しい価値を模索しました。アパレルの題材としても愛され、多くのブランドがこの作品を引用しています。
シックな色使いと程よいサイズのプリントであまり主張がなく、着回しやすいデザインでしょう。
◆スッキリとしたスタンダードなシルエット
また、ユニクロ以外にも多くのブランドが採用しているグラフィックだけに、ユニバレもしにくく、おすすめ。前だけでなく、背中にもプリントがあり、どちらも主張薄め。無地Tに近い感覚でサラッと着用できるでしょう。
プリントTはついつい柄や色に走りがちですが、夏場に合わせるのは当然短パンなどのため、あまり派手だとどうしても子供っぽくなりすぎる。色味やプリント面積をある程度抑えてあるものを選んだほうが使い勝手はいいもの。
スッキリとしたスタンダードなシルエットなのも合わせやすく、おすすめ。秋アウターの中に着るときにもよさそうなシンプルデザインです。
◆20万円超えも珍しくないヴィンテージの高騰
〇ピーナッツ UT/オーバーサイズフィット 1990円
ここ1～2年多くのブランドが手がけているピーナッツデザインのTシャツ。60年代古着として有名なメイヨースプルース社製のピーナッツTシャツが古着市場を中心に人気に。ここ数年で価値は爆上がりしており、20万円することも決して珍しくありません。
デニムや時計などが代表格ですが、ここ最近のヴィンテージは完全にバブルでどんどんん値段は高騰しています。価値を愛でてるだけでなく、資産として取引する人も参入し出す始末で、それらが本来の人気実態よりさらに高額化を生んでおり、天井知らずの様相を呈しています。
「数百万のGジャン」とか出てくる始末で最早ヴィンテージファンでも「ついていけない」なんて人は多いんじゃないでしょうか。
◆格安で自然にヴィンテージ感のあるデザインを実現
そんな中、高騰するピーナッツTをリプロ(再現復刻すること)しようと、多くのブランドが挑戦。ブランド「セントマイケル」は4万円台でヴィンテージの素材感やグラフィック、褪色の雰囲気を完璧に再現。取扱店では完売が続くほどの大人気となりました。
我らがユニクロもここに参戦。60年代のヴィンテージを彷彿とする懐かしいピーナッツグラフィックを、同じくヴィンテージの香りのするラグランのTシャツに乗せています。
1990円なので褪色した古着ようの風合いなどまで再現とはいきませんが、十分「ぽさ」は作れています。比較的人気の高いオレンジカラーを採用したり、配慮が伺えます。首元の開きや袖の長さなどは今のトレンドに合わせて作られており、自然にヴィンテージ感のあるデザインをまとえます。
▼ピーナッツ ユー・キャン・ビー・エニシング！ UT/オーバーサイズフィット 1990円
このシリーズ人気のようでいくつかのバリエーションが用意されています。どれもユニクロとは思えないくらいクオリティ高め。ヴィンテージに興味がある人もぜひ。
◆3Dのプリントデザインにも見える面白いデザイン
〇ミッキー スタンズ UT 1500円
UTといえばミッキーでしょう。権利関係にうるさいディズニーですが、ユニクロとは共同でTシャツ製作を行なっており……通常許さない「他アーティストにミッキーを描かせる」「オフィシャルにないオリジナルのデザインを起こす」などの禁忌を許しています。
こちらはオフィシャルミッキーのグラフィックを色を変え、複雑に重ねることで作ったグラフィック。
古着の褪せた雰囲気にも見えるし、3Dのプリントデザインにも見える面白いデザイン。キャラクターものは色味が強すぎてTシャツにすると思い切り派手になりがちです。
◆ボロボロにしていくと本当にヴィンテージになりそう
アニメコラボのTシャツなどがどうにもおしゃれにならないのはそのせい。現実ではありえないくらい原色を多用に使っているのでどうにもコーディネートに馴染まない。
こちらはミッキーのカラフルな印象を抑えてくれているので比較的使いやすいでしょう。何度も洗ってボロボロにしていくと本当にヴィンテージになりそう。
余談ですが、最近海外で古着の買い付けをしていると「おっこのミッキーTシャツめちゃくちゃカッコイイじゃん！」と思うもタグを見るとユニクロだった……ってオチが多いです。
ガッツリ洗って乾燥機をかけて風合いがヴィンテージになったユニクロのミッキーTって案外かっこいいですよ。ただユニクロの古着って全然売れないのでかっこよくても買い付けはしてこないですが……。
以上、UTのおすすめ。ぜひご参考に！
【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超！ （Twitterアカウント:@MBKnowerMag）
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