昨今のSNSでは、あおり運転や危険運転の被害を報告する投稿が増えている。目を疑うような運転の様子や、悲惨な事故現場の動画を見るたび、明日は我が身と思わずにはいられない。
私(帆浦チリ)の生まれ故郷である茨城県は、運転の荒さで有名だ。信号が青に変わる瞬間に急発進して、対向の直進車より先に右折しようとする“茨城ダッシュ”も、その一つ。
そんな地元で過去に、驚きの危険運転をする車と出合ったことがある。
◆片側一車線の細い道路で起きた異変
その日は母の運転する車に乗って外出していた。走っていたのは、車通りの少ない片側一車線の細い道。昼過ぎの閑散とした時間帯なのもあって、比較的道は空いていた。
十字路で赤信号にあたって、私たちの車と合わせて3台がそこに停止する。並び順は先頭に普通車、その後ろに軽トラック、そして最後尾に私と母の車。目の前の光に従って、自分たちが進む順番がくるのを待つ。
異変が起きたのは、歩行者用の青信号がチカチカと点滅しはじめた時だった。
◆少しずつ右へ…不穏な動きを見せる軽トラ
信号の点滅と同時に私たちの前に並んでいた軽トラが、突然右にハンドルを切りだした。
軽トラのおかしな行動を見て「右に曲がりたいのか?」と思ったが、ここは片側一車線の狭い道路だ。右折用のレーンはそもそも存在しない。もしかすると軽トラの運転手は、右折用レーンがあると勘違いして、車を動かしているのかもしれない。そうだとしたら、正面衝突の大事故が起きてしまう可能性がある。
最悪のケースを考え、前の運転手にサインを送ろうとしたが、軽トラはあくまで少しずつ、様子を伺うように右にズレていくだけ。大きく反対車線に出るそぶりはない。
◆「もしかしてハザード点滅させてる?」軽トラ運転手の本当の目的
右折レーンに入りたいわけではなさそうだったので、「もしかして、前の車が故障とかで、ハザードを点滅させてる?」とも考えた。だが、軽トラが右へ右へと動くうちに見えた先頭車には、何の異変も感じなかった。本当に何がしたいのか、さっぱり見当がつかない。
母と二人でハラハラしながら見守っていたが、軽トラは相変わらず右にズレ続けるのみ。そうこうしているうちに、車両用信号機も青から黄に色を変え、流れ続けていた車の動きが途絶えていく。
その時、不穏な動きをしていた軽トラの目的が明らかになる。
◆「え!?そんなことするの!?」身勝手過ぎる運転にア然
目の前の道路の信号が、青から黄に変わったその瞬間だった。待ってましたと言わんばかりに、軽トラが勢いよく発進し、そのまま先頭車の前に割り込んだ。
「ええっ!?」
予想外の行動に、思わず叫ぶ私たち。なんと、この軽トラの目的は「先頭に割り込むこと」だったのだ。少しずつ右にズレていたのは、信号が変わるのと同時に、先頭車が発進する前に進みたかったからだろう。
まるで、打ち合わせでもしていたかのようなタイミングで、私たちの車線の信号が青になる。軽トラはその勢いのまま、颯爽と走り去っていった。
「……別に混んでいたわけでもないのに、そうまでして先に行きたい?」
一部始終を見届け、唖然としていた母がこぼしたこの言葉は、あの軽トラの運転手に届くことはない。だが、確かに目の前で起きた“ありえないほど身勝手な運転”は、「自分のことだけ考えている人は危険なだけでなく、信頼も失う」ということを、身をもって教えてくれた。
◆車通りが少ない時でも、安全運転を
車が多ければ、それだけ事故の可能性も上がるが、少ないから安全というわけでもない。公共の道を走っているということと、「もしも」という想像、周りへの心遣いを忘れずに、安全運転に努めたい。
<文/帆浦チリ>
【帆浦チリ】
切れ痔と戦うアラサー。料理とおしゃべりが好きで、初対面の人から高確率で「よくしゃべるからB型かと思った」と言われる機関銃A型。X(旧Twitter:@chi2608)で料理や暮らしのことをつぶやいたり、noteで日常であったことを面白可笑しく文章にしている。
私(帆浦チリ)の生まれ故郷である茨城県は、運転の荒さで有名だ。信号が青に変わる瞬間に急発進して、対向の直進車より先に右折しようとする“茨城ダッシュ”も、その一つ。
そんな地元で過去に、驚きの危険運転をする車と出合ったことがある。
◆片側一車線の細い道路で起きた異変
その日は母の運転する車に乗って外出していた。走っていたのは、車通りの少ない片側一車線の細い道。昼過ぎの閑散とした時間帯なのもあって、比較的道は空いていた。
十字路で赤信号にあたって、私たちの車と合わせて3台がそこに停止する。並び順は先頭に普通車、その後ろに軽トラック、そして最後尾に私と母の車。目の前の光に従って、自分たちが進む順番がくるのを待つ。
異変が起きたのは、歩行者用の青信号がチカチカと点滅しはじめた時だった。
◆少しずつ右へ…不穏な動きを見せる軽トラ
信号の点滅と同時に私たちの前に並んでいた軽トラが、突然右にハンドルを切りだした。
軽トラのおかしな行動を見て「右に曲がりたいのか?」と思ったが、ここは片側一車線の狭い道路だ。右折用のレーンはそもそも存在しない。もしかすると軽トラの運転手は、右折用レーンがあると勘違いして、車を動かしているのかもしれない。そうだとしたら、正面衝突の大事故が起きてしまう可能性がある。
最悪のケースを考え、前の運転手にサインを送ろうとしたが、軽トラはあくまで少しずつ、様子を伺うように右にズレていくだけ。大きく反対車線に出るそぶりはない。
◆「もしかしてハザード点滅させてる?」軽トラ運転手の本当の目的
右折レーンに入りたいわけではなさそうだったので、「もしかして、前の車が故障とかで、ハザードを点滅させてる?」とも考えた。だが、軽トラが右へ右へと動くうちに見えた先頭車には、何の異変も感じなかった。本当に何がしたいのか、さっぱり見当がつかない。
母と二人でハラハラしながら見守っていたが、軽トラは相変わらず右にズレ続けるのみ。そうこうしているうちに、車両用信号機も青から黄に色を変え、流れ続けていた車の動きが途絶えていく。
その時、不穏な動きをしていた軽トラの目的が明らかになる。
◆「え!?そんなことするの!?」身勝手過ぎる運転にア然
目の前の道路の信号が、青から黄に変わったその瞬間だった。待ってましたと言わんばかりに、軽トラが勢いよく発進し、そのまま先頭車の前に割り込んだ。
「ええっ!?」
予想外の行動に、思わず叫ぶ私たち。なんと、この軽トラの目的は「先頭に割り込むこと」だったのだ。少しずつ右にズレていたのは、信号が変わるのと同時に、先頭車が発進する前に進みたかったからだろう。
まるで、打ち合わせでもしていたかのようなタイミングで、私たちの車線の信号が青になる。軽トラはその勢いのまま、颯爽と走り去っていった。
「……別に混んでいたわけでもないのに、そうまでして先に行きたい?」
一部始終を見届け、唖然としていた母がこぼしたこの言葉は、あの軽トラの運転手に届くことはない。だが、確かに目の前で起きた“ありえないほど身勝手な運転”は、「自分のことだけ考えている人は危険なだけでなく、信頼も失う」ということを、身をもって教えてくれた。
◆車通りが少ない時でも、安全運転を
車が多ければ、それだけ事故の可能性も上がるが、少ないから安全というわけでもない。公共の道を走っているということと、「もしも」という想像、周りへの心遣いを忘れずに、安全運転に努めたい。
<文/帆浦チリ>
【帆浦チリ】
切れ痔と戦うアラサー。料理とおしゃべりが好きで、初対面の人から高確率で「よくしゃべるからB型かと思った」と言われる機関銃A型。X(旧Twitter:@chi2608)で料理や暮らしのことをつぶやいたり、noteで日常であったことを面白可笑しく文章にしている。