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「ミヤネ屋」と「ゴゴスマ」、視聴率バトルで明暗クッキリ。MCもゲストも“攻めの姿勢”が招いた誤算とは

日刊SPA! 2024年8月9日 15時53分

◆TBS系『ゴゴスマ』に視聴率で敗北
 宮根誠司氏(61)がMCの日本テレビ系情報番組『情報ライブ ミヤネ屋』(毎週月~金曜午後1時55分~同3時50分 以下、ミヤネ屋)の旗色が悪い。

 石井亮次氏(47)がMCを務めるTBS系の同『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(同1時55分~同3時49分 以下、ゴゴスマ)に、7月の月間平均個人視聴率で敗北。8月第1週(7月29日~8月2日)の個人視聴率の平均値も『ミヤネ屋』が2.6%なのに対し、『ゴゴスマ』は2.86%。『ミヤネ屋』は完全に劣勢だ。

『ミヤネ屋』は大阪の読売テレビの制作。2006年に関西ローカルの番組として始まり、08年には関東でも放送されるようになって、長らくトップの座に君臨してきた。だが、その座を『ゴゴスマ』に明け渡すことになってしまいそうだ。

どうして『ミヤネ屋』は弱くなったのか? その最大の理由が宮根氏にあるのは疑いようがない。情報番組、ニュース番組はMCの好感度が視聴率を大きく左右する。

 そもそも宮根氏は以前からイメージが良いとは言えなかった。2012年1月、当時の妻以外の女性との間に女児がいることが発覚し、放送内で「心を新たに、みなさまの期待、信頼にこたえられるよう、一から頑張っていきたい」と謝罪している。

 宮根氏は最初の妻と1993年に入籍したものの、2004年に離婚。06年に再婚したが、婚外子の存在が発覚したあとの22年までに再び離婚している。

 婚外子の存在や不倫が犯罪でないのは言うまでもない。しかし、宮根氏は政治家や芸能人の反道徳的行為を非難してきた。それなのに自分がインモラルな行為におよんでしまっては視聴者が納得しないだろう。

◆韓国での路上喫煙問題も

 今年3月にも宮根氏は路上喫煙問題を起こした。ドジャース・大谷翔平選手(29)が出場したMLB開幕戦「ドジャース-パドレス」を取材するために入国した韓国で、喫煙禁止区域内で電子たばこを吸った。

 その姿を誰かが撮影し、X(旧ツイッター)に投稿。猛批判を浴びることになった。やはりインモラル行為だった。これでは宮根氏の基本的な道徳観に疑問を持たれても仕方がない。起用者である『ミヤネ屋』側の姿勢すら訝しく思われてしまう。

 宮根氏は2004年まで在職した大阪・朝日放送の局アナ時代から豪放な人として知られた。だから「ナニワのみのもんた」とも呼ばれた。当時、時代が型破りなMCを求めていた。

 しかし、世はコンプライアンス最優先に変わった。宮根氏に限らず、モラルを二の次にするMCは時代遅れに違いない。今、婚外子の問題が発覚したら、おそらくスポンサーが許さない。

 一部で宮根氏が番組からの卒業を希望していると伝えられたが、基幹ネット局の中心である日テレ社員に真偽を確認したところ、そのような事実は一切ない。そもそもMCは体調面の問題や家庭の事情などがない限り、自ら降板を申し出るものではない。自分の存在の否定になってしまうし、所属事務所の経営を左右してしまうからだ。

『ミヤネ屋』は視聴率が落ちたとはいえ、まだ『ゴゴスマ』に食らいついている。ほかの誰かにMCを交代すれば、視聴率が急伸するという保障もない。宮根氏の選択肢は続投しかないのである。

◆若く醜聞のないライバル番組のMCたち

 今後の宮根氏は格下のはずだった『ゴゴスマ』の後塵を拝しながら、『ミヤネ屋』のMCを続けることになるだろう。自分に落ち度があるとはいえ、愉快ではないはずだ。

『ミヤネ屋』の視聴率は今後、さらに落ちるという見方がある。『ゴゴスマ』は名古屋のCBCの制作だが、フジテレビが大阪・関西テレビの制作する関西ローカルの情報番組『旬感LIVE とれたてっ!』(同午後1時50分~同2時45分 以下、とれたてっ!)を放送する可能性があるからだ。

『とれたてっ!』の東京での放送が実現すると『ミヤネ屋』と『ゴゴスマ』とのマッチレースは三つ巴の争いになる。『とれたてっ!』のMCは元日テレアナの青木源太氏(41)。61歳で過去にゴシップのある宮根氏に対し、40代の石井氏と青木氏には醜聞がない。宮根氏にとって楽な戦いになるとは考えにくい。

 3番組のカラーはかなり異なる。『ミヤネ屋』は宮根氏を中心に攻めの姿勢。コメンテーターも梅沢富美男(73)、アンミカ(52)らファイタータイプが目立ち、番組のオピニオンがはっきりしている。

『ゴゴスマ』の石井氏はソフト。コメンテーターもますだおかだの岡田圭右(55)や元A.B.C-Zの河合郁人(36)ら穏健派ぞろい。石井氏とコメンテーター、視聴者が社会問題を一緒に考えるスタイルだ。

『とれたてっ!』の青木氏もソフト。昭和後期に流行した物や音楽を紹介する「青春昭和遺産」など企画色の強いコーナーが多い。

◆BPO申し立ての行方は?

 一方、『ミヤネ屋』は7月、お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志(60)の代理人弁護士から抗議された。松本が『週刊文春』の報道をめぐって同誌と民事訴訟で争っている件について、番組内容が松本氏の名誉権の侵害を助長したという。

 松本側は主に『ミヤネ屋』のコメンテーター2人の発言を問題視している。この番組に限らず、コメンテーターの発言はコントロールが効かず、深慮に欠けることもあるので、難しい。攻めの姿勢を売り物とする番組は特にそうだ。

 松本側はBPO(放送倫理・番組向上機構)への申し立ても検討しているという。一方、読売テレビ・松田陽三社長は定例会見で「事実関係で誤解があると思う」と語り、謝罪や訂正をする用意はないとしている。

 万一、BPOが申し立てについて審議入りし、番組内容が人権侵害などに当たると判断された場合、『ミヤネ屋』は岐路に立たされる。BPOが問題視した番組は謝罪や番組内容の修正程度で済む場合もあるが、終了を余儀なくされる場合もある。スポンサーの離脱などが原因だ。

 そうでなくてもBPOが問題視すると、イメージがガタ落ちとなってしまい、多くのケースで視聴率が下がってしまう。『ミヤネ屋』についてはBPO問題からも目が離せない。

<文/高堀冬彦>

【高堀冬彦】
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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