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大谷翔平、前人未到の大記録「50-50」は可能?骨折から復帰のベッツが“キーマンとなるワケ”

日刊SPA! 2024年8月14日 8時50分

 ついにスランプから脱出なるか——。ドジャース大谷翔平のバットが3試合ぶりに火を噴いた。
 現地12日(日本時間13日)のブリュワーズ戦に1番指名打者(DH)で先発出場した大谷は、3打席目に3試合ぶりとなるツーランを左中間に運び、リードを広げると、4打席目に四球で出塁。すかさず6試合ぶりとなる盗塁に成功し、続くムーキー・ベッツのタイムリーで生還。勝利を決定づけるチーム5点目のホームを踏んだ。

 今季の前半戦を打率.316、29本塁打、OPS1.035で終えた大谷だったが、7月17日のオールスター後は、打率.221、7本塁打、OPS.885(12日現在)と決して打撃は本調子とはいえない状態である。

◆盗塁数はオールスター後からペースアップ

 実際に7月下旬から8月上旬にかけて、三振の数が一気に膨らむなどスランプ状態に陥っていた。ただそんな中でもコンスタントに本塁打は出ており、打率もまだ.298をキープ。首位打者のルイス・アラエス(パドレス)と僅か5厘差のリーグ3位につけている。打点に関しても、1位マルセル・オズナ(ブレーブス)とは5差で、いつ逆転してもおかしくない好位を維持したままだ。ナ・リーグでは87年ぶりとなる三冠王も視界に入っている。

 また、“足にはスランプがない”という野球界の格言通り、シーズンを通じて盗塁はコンスタントに決めている。むしろオールスター後にそのペースを上げており、すでに自己ベストを上回る33盗塁を記録。

◆前人未到の「50-50」の可能性は?

 そこで大谷に期待したくなるのが、「40-40」をも上回る前人未到の大記録である。

「40-40」とは、同一シーズンに40本塁打と40盗塁を記録すること。長いメジャーリーグの歴史において、この偉業を達成したことがある選手は5人しかいない。1988年ホセ・カンセコ、1996年バリー・ボンズ、1998年アレックス・ロドリゲス、2006年アルフォンソ・ソリアーノ、2023年ロナルド・アクーニャ・ジュニア……。メジャーファンならだれもが知る名プレーヤーだが、誰も「40-40」を複数回成し遂げたことはない。

 今季43試合を残す大谷は、4本塁打&7盗塁で「40-40」に到達してしまう。今月中のスピード達成も十分に可能な数字だ。そうなると前人未到の「50-50」の声も聞こえてくるだろう。

 改めて大谷の現在の本塁打数と盗塁数を記しておくと、12日の試合を終えた時点で36本塁打&33盗塁。このペースでいけば、シーズン49本塁打&44盗塁に達する計算だ。

 一見すると、盗塁数の方がネックとなりそうだが、先述したように“足にはスランプがない”。7月下旬に4試合連続盗塁や、8月3日に1試合3盗塁など、固め打ちならぬ“固め走り”も可能な大谷だけに、本人の意思次第で50盗塁は十分に実現可能だろう。

◆“50本塁打の壁”が高すぎる理由

 一方で、本塁打数の方が難易度は高いかもしれない。
 メジャー移籍後の大谷は決まって夏の終わりから秋にかけて調子を落とす傾向にある。通算の月間長打率を見ても、6月の.756をピークに、7月は.550、8月は.513、そして9月以降は.491と息切れをおこしている。半年間で162試合を戦うタフなメジャーでは、必然とも考えられるだろう。

 ただ今季の大谷は打者に専念しているため、二刀流だったこれまでと比べると疲労の度合いは幾分マシかもしれない。むしろ酷暑を乗り越えた9月以降にその打棒が上昇気流を描いてもおかしくない。

◆現地アメリカでも「50-50」への期待の声

 また大谷に対して、現地アメリカでも「50-50」を意識するコメントが徐々に出始めている。

 スポーツアナリストのベン・バーランダー氏は、アストロズの剛腕ジャスティン・バーランダーの弟であり、“大谷マニア”として日本でもよく知られている存在だ。

 そんなバーランダー氏は今月6日、自身のXに「打者に専念する今季は開幕前から40-40を達成するだろうと予想していた。(中略)今季32個目の盗塁を成功させ、現在48本塁打&45盗塁ペースだ(※6日時点) 50-50?」とポストし、40-40はもはや通過点で、50-50への期待をかけている。

◆ベッツの復帰が偉業達成への後押しに

 バーランダー氏のポストから1週間。現在は49本塁打&44盗塁ペースとほぼ横ばい。50-50を達成するためには、ペースアップが必要不可欠だが、骨折から約2か月ぶりに実戦復帰を果たしたチームメートのベッツが後押ししてくれるかもしれない。

 12日の復帰戦では、負傷前の1番ではなく2番に座ったベッツ。2打席目に自ら快気祝いとなるツーラン、4打席目にタイムリーを放つなどその存在感を示した。このまま1番大谷、2番ベッツで残りのシーズンを戦うとなれば、これ以上ない心強い援軍となってくれるはずだ。

 相手投手とすれば、塁上に走者がいる状況でベッツとの対戦は避けたいところ。つまり、これまで以上に大谷を簡単に歩かせるという選択肢は取りづらくなるだろう。結果的に大谷の本塁打増につながる可能性が高い。

 また、12日の試合と同様、大谷が一塁にいる状況で打者ベッツと対峙する投手はベッツに集中せざるを得ない。走者大谷に対するマークが弱まり、次の塁を陥れやすくなるはずだ。

 盟友ベッツの存在が前人未到の「50-50」を後押ししてくれるのではないだろうか。

文/八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

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