こんにちは。元ラブホ従業員の和田ハジメです。およそ6年もの間、渋谷区道玄坂にあるラブホテルにて受付業務および清掃業務に従事してきました。
ラブホの従業員と聞くとなんとなく暇そうな印象を抱く方も多いことかと思われますが、筆者が働いていたのは都内でも屈指の繁華街であり、なおかつ近隣他店と比較しても相当にリーズナブルな価格帯でお部屋を提供している激安店。
多少の繁閑差こそあれど、基本的にはせわしくお客様の応対に追われる日々を過ごしてきました。そして土地柄からか、“お行儀の悪い”お客様もかなりの頻度で来店され、トラブルを引き起こすこともしばしば……。
◆清掃スタッフのほとんどが外国人だった
立地の関係上、じつに多種多様な方と触れ合ってきました。それはお客様に限らず、筆者とともに働いていた元同僚においても同じことが言えます。
とりわけ清掃業務を担当していたスタッフは、およそ9割が外国の方で構成されていました。
内訳としては、およそ4割がフィリピンの方、3割がベトナムの方、2割がネパールの方、残りの1割が日本人といったところです。
今思い返してみるとなかなかに多国籍だった筆者の元職場。そこで今回は、筆者の元同僚である外国人スタッフについて、少しだけお話をさせていただければと思います。
◆出身国が特定の国に偏っている意外なワケ
先に述べたように、外国人スタッフのほとんどがフィリピン、ベトナム、ネパールの出身であり、特定の国に偏っている傾向にありました。
それはなぜかと言いますと、もちろん上記の国から出稼ぎや、あるいは留学のために上京してくるケースが多いというのもありますが、何よりも彼ら(彼女ら)の国々に固有のコミュニティが形成されており、そこからの紹介を通して入社してくるケースが大半を占めていたことが一番の理由でした。
そのためスタッフの入れ替わりが激しかった元職場においても、清掃員が欠ける状況に陥ることなく、新たに入ってきた外国人スタッフも“祖国の仲間”がいる安心感もあってか、異国の地で変に気負うことなく、のびのびと仕事に励んでくれ(ているように見え)ました。
◆外国人の清掃スタッフの性格には傾向がある
フロントからそんな清掃スタッフの様子を観察しているうちに、あくまでも主観的なものですが、国別の基本的な性格の傾向というものがあるな、と感じるようになりました。
繰り返しますが、これは筆者であるわたくし和田ハジメの主観的な感想であり、特定の国に対する偏った見方を助長するものではありません。あくまで筆者の元職場の話です……と、言い訳がましい前置きをしたうえで、以下に国別の基本的な性格の傾向を記していきます。
◆フィリピン人スタッフの場合
在籍していた全てのスタッフが女性であり、ただ1人の例外もなく数十年前に来日し、日本人男性と結婚し、永住権を取得してそのまま働いているといった具合でした。
おしなべて明るい性格で、勤務態度も極めて良好。ただ客入りが激しい時間帯になり忙しさが増すと仕事が雑になる傾向があり、それについて言及すると、「忙しくて死んじゃう」、「もう耐えられそうにない」などのオーバーな表現を用いて、やっつけ仕事についての責任の所在を逃れようとするケースがよく見受けられました。
どのスタッフも総じてフレンドリーなため、仕事が暇なときにはよく歓談していました。また、日本語力については各々に差があり、声だけ聞いたらほぼ日本人と遜色がないレベルにまで日本語を操ることができる方もいれば、その方とほぼ同じ年数を日本で過ごしているのにもかかわらず、「てにをは」が怪しかったり、イントネーションに若干の違和感を抱くことがあったりする方もいて、語学力の差というものは、一体どのようにして生じるのだろうかと疑問を抱いたことを今でも覚えています(そして、その疑問は現在に至るまで気にかかっています)。
◆ベトナム人スタッフの場合
スタッフの全員が20〜30歳までの留学生でした。男女比は4:6あたりで、やや女性スタッフが優勢。
留学生であるため、実家の経済状況は基本的に恵まれており、ほとんどのスタッフは留学しているあいだに少しでも日本での生活を楽しもうという目的のためにアルバイトに励んでいる、といったところでした。
性格に関しては、よく喋る方もいれば大人しめの方もいて、主に明るくリーダーシップがある1人の男性スタッフが他の仲間を統率しているといった様子で、ベトナム人スタッフの全員が彼の“つて”で入社していました。
やはり語学力に関しては各人によって大きな差があり、前述の“リーダー”は日本語でジョークが言えるくらいには精通していましたが、来日したばかりのスタッフはほとんど日本語が理解できず、こちらの指示を飲み込めず、業務に難儀するケースが多々ありました。
勤務態度に関しては極めて良好ですが、自分に都合の悪いことを指摘されると“意図的に日本語が理解できないふりをする”スタッフもいたりと、例外もありました。
(余談ですが、後日そのスタッフは備品を大量に持ち出したことによりクビになりました)
また、女性スタッフのなかには副業として通訳のアルバイトをしている方もいたのですが、彼女はどのスタッフよりも羽振りがよく、それがとても印象に残っています。
◆ネパール人スタッフの場合
ほとんどが女性スタッフで、年齢は35〜45歳あたり。性格は総じて控えめで、勤務態度も外国人スタッフのなかでは群を抜いて真面目でした。
基本的に旦那さんがインド・ネパール料理を経営しているかそのスタッフで、働くことの主たる目的は「現地にいる娘をインターナショナルスクールに通わせたい」といったものでした。
語学力に関しては総じて高く、細やかな指示に対しても過不足なく理解してくれるので、フロント側からしても一緒に働いていてとても重宝する存在でした。
しかしながら、なぜかフィリピン人のスタッフとは相性が悪く、彼女らと組んで清掃業務に従事すると、露骨に能率が落ちるといったケースも見受けられました。
また、はじめに“ほとんどが女性スタッフ”と記しましたが、過去に男性スタッフが一名在籍しており、勤務態度も比較的良好だったのですが、実は不法入国者であり、よそで何らかのトラブルを起こしたことがきっかけで“逃げるように”帰国しました。
上記のケースはとても稀ですが、個人的にとても印象に残った出来事であり、もう少しだけ彼の人となりを知ることができたらな、と今でも思っています。
<文/和田ハジメ>
【和田ハジメ】
およそ6年にわたり、渋谷区道玄坂の激安ラブホにて受付業務および清掃業務に従事。繁華街で様々な人間を見てきた経験をもとに、迷惑客の存在やスタッフの裏事情などをテーマに執筆(していく予定)。
―[和田さんのラブホよもやま話]―
ラブホの従業員と聞くとなんとなく暇そうな印象を抱く方も多いことかと思われますが、筆者が働いていたのは都内でも屈指の繁華街であり、なおかつ近隣他店と比較しても相当にリーズナブルな価格帯でお部屋を提供している激安店。
多少の繁閑差こそあれど、基本的にはせわしくお客様の応対に追われる日々を過ごしてきました。そして土地柄からか、“お行儀の悪い”お客様もかなりの頻度で来店され、トラブルを引き起こすこともしばしば……。
◆清掃スタッフのほとんどが外国人だった
立地の関係上、じつに多種多様な方と触れ合ってきました。それはお客様に限らず、筆者とともに働いていた元同僚においても同じことが言えます。
とりわけ清掃業務を担当していたスタッフは、およそ9割が外国の方で構成されていました。
内訳としては、およそ4割がフィリピンの方、3割がベトナムの方、2割がネパールの方、残りの1割が日本人といったところです。
今思い返してみるとなかなかに多国籍だった筆者の元職場。そこで今回は、筆者の元同僚である外国人スタッフについて、少しだけお話をさせていただければと思います。
◆出身国が特定の国に偏っている意外なワケ
先に述べたように、外国人スタッフのほとんどがフィリピン、ベトナム、ネパールの出身であり、特定の国に偏っている傾向にありました。
それはなぜかと言いますと、もちろん上記の国から出稼ぎや、あるいは留学のために上京してくるケースが多いというのもありますが、何よりも彼ら(彼女ら)の国々に固有のコミュニティが形成されており、そこからの紹介を通して入社してくるケースが大半を占めていたことが一番の理由でした。
そのためスタッフの入れ替わりが激しかった元職場においても、清掃員が欠ける状況に陥ることなく、新たに入ってきた外国人スタッフも“祖国の仲間”がいる安心感もあってか、異国の地で変に気負うことなく、のびのびと仕事に励んでくれ(ているように見え)ました。
◆外国人の清掃スタッフの性格には傾向がある
フロントからそんな清掃スタッフの様子を観察しているうちに、あくまでも主観的なものですが、国別の基本的な性格の傾向というものがあるな、と感じるようになりました。
繰り返しますが、これは筆者であるわたくし和田ハジメの主観的な感想であり、特定の国に対する偏った見方を助長するものではありません。あくまで筆者の元職場の話です……と、言い訳がましい前置きをしたうえで、以下に国別の基本的な性格の傾向を記していきます。
◆フィリピン人スタッフの場合
在籍していた全てのスタッフが女性であり、ただ1人の例外もなく数十年前に来日し、日本人男性と結婚し、永住権を取得してそのまま働いているといった具合でした。
おしなべて明るい性格で、勤務態度も極めて良好。ただ客入りが激しい時間帯になり忙しさが増すと仕事が雑になる傾向があり、それについて言及すると、「忙しくて死んじゃう」、「もう耐えられそうにない」などのオーバーな表現を用いて、やっつけ仕事についての責任の所在を逃れようとするケースがよく見受けられました。
どのスタッフも総じてフレンドリーなため、仕事が暇なときにはよく歓談していました。また、日本語力については各々に差があり、声だけ聞いたらほぼ日本人と遜色がないレベルにまで日本語を操ることができる方もいれば、その方とほぼ同じ年数を日本で過ごしているのにもかかわらず、「てにをは」が怪しかったり、イントネーションに若干の違和感を抱くことがあったりする方もいて、語学力の差というものは、一体どのようにして生じるのだろうかと疑問を抱いたことを今でも覚えています(そして、その疑問は現在に至るまで気にかかっています)。
◆ベトナム人スタッフの場合
スタッフの全員が20〜30歳までの留学生でした。男女比は4:6あたりで、やや女性スタッフが優勢。
留学生であるため、実家の経済状況は基本的に恵まれており、ほとんどのスタッフは留学しているあいだに少しでも日本での生活を楽しもうという目的のためにアルバイトに励んでいる、といったところでした。
性格に関しては、よく喋る方もいれば大人しめの方もいて、主に明るくリーダーシップがある1人の男性スタッフが他の仲間を統率しているといった様子で、ベトナム人スタッフの全員が彼の“つて”で入社していました。
やはり語学力に関しては各人によって大きな差があり、前述の“リーダー”は日本語でジョークが言えるくらいには精通していましたが、来日したばかりのスタッフはほとんど日本語が理解できず、こちらの指示を飲み込めず、業務に難儀するケースが多々ありました。
勤務態度に関しては極めて良好ですが、自分に都合の悪いことを指摘されると“意図的に日本語が理解できないふりをする”スタッフもいたりと、例外もありました。
(余談ですが、後日そのスタッフは備品を大量に持ち出したことによりクビになりました)
また、女性スタッフのなかには副業として通訳のアルバイトをしている方もいたのですが、彼女はどのスタッフよりも羽振りがよく、それがとても印象に残っています。
◆ネパール人スタッフの場合
ほとんどが女性スタッフで、年齢は35〜45歳あたり。性格は総じて控えめで、勤務態度も外国人スタッフのなかでは群を抜いて真面目でした。
基本的に旦那さんがインド・ネパール料理を経営しているかそのスタッフで、働くことの主たる目的は「現地にいる娘をインターナショナルスクールに通わせたい」といったものでした。
語学力に関しては総じて高く、細やかな指示に対しても過不足なく理解してくれるので、フロント側からしても一緒に働いていてとても重宝する存在でした。
しかしながら、なぜかフィリピン人のスタッフとは相性が悪く、彼女らと組んで清掃業務に従事すると、露骨に能率が落ちるといったケースも見受けられました。
また、はじめに“ほとんどが女性スタッフ”と記しましたが、過去に男性スタッフが一名在籍しており、勤務態度も比較的良好だったのですが、実は不法入国者であり、よそで何らかのトラブルを起こしたことがきっかけで“逃げるように”帰国しました。
上記のケースはとても稀ですが、個人的にとても印象に残った出来事であり、もう少しだけ彼の人となりを知ることができたらな、と今でも思っています。
<文/和田ハジメ>
【和田ハジメ】
およそ6年にわたり、渋谷区道玄坂の激安ラブホにて受付業務および清掃業務に従事。繁華街で様々な人間を見てきた経験をもとに、迷惑客の存在やスタッフの裏事情などをテーマに執筆(していく予定)。
―[和田さんのラブホよもやま話]―