2024年8月に、ジェットコースター並みの乱高下を見せた日経平均株価。新NISAを始めるタイミングを見計らっていた人の多くは、「投資をやらなくてよかった」とホッと胸をなでおろしたことだろう。しかし、資産運用の専門家である鳥海翔氏は「それでも新NISAはやるべき」と断言する。
◆暴落したときは心構えが大事
鳥海氏はYouTubeチャンネル「鳥海翔の騙されない金融学」で、資産運用や保険、社会保障制度など、お金に関する解説を行っている金融学のプロ。ほかにも家計改善・資産運用のコンサルティングも手掛けている。
「積立投資は株価が高値だろうと安値だろうと、長期運用することによってリスクを分散できるのがメリットです。判断が難しい一括投資と比べて、積立投資は何も考えなくていいのも初心者向きと言えます。昨今の物価高や、老後2000万円のニュースなどで将来に不安を感じている人は、少しでも早く新NISAを始めたほうがいい」
とはいえ、8月頭の大暴落を目にすると、投資に躊躇してしまう気持ちもわかるが……。
「今回のように、株価が暴落したときの心構えをしておくことは重要です。そもそも資産運用で失敗する要因は知識量、運、勘などではなく、迷い、不安、焦りから冷静な判断ができなくなるから。事前にシミュレーションをしておくことで、これらを軽減できるはずです」
◆新NISAを始めるときのポイント
では、これから新NISAを始めるにあたって、積立金額はいくらに設定すべきなのか。鳥海氏は「積立金額は、生活に無理のない範囲で多いに多いに越したことはない」と前置きしたうえで、こう続けた。
「資産運用は入金できる金額と、そのお金を何年間運用させることができるのか。この勝負になる。わかりやすいように、年利5%で100万円、300万円、500万円、1000万円を10年間、30年間運用したときにいくらになるかを計算してみました」
年利5%で運用したときの試算
運用資金 10年後 30年後
100万円 162万8895円 432万1942円
300万円 488万6684円 1296万5827円
500万円 814万4473円 2160万9712円
1000万円 1628万8946円 4321万9424円
当然ながら、運用資金が多ければ多いほど、運用期間が長ければ長いほど、得られるリターンは多くなる。100万円と300万でも差は大きく、200万円多く運用することができれば、その差額は30年で「864万3885万」にもなる。
「でも、資産運用をしない人の100万円は、何十年経とうが100万円のまま。100万円を30年間運用した人と比べても、『332万1942円』もの差ができてしまいます。繰り返しになりますが、新NISAは始めるべきですし、資産運用を行うならできるだけ多くの金額を長期間運用したほうがいい」
◆運用する金額の算出方法
実際にいくら運用できるのか。そして何年運用できるのかは、人それぞれ異なる。具体的にいくら運用するのがいいのか。鳥海氏は「2つの考え方がある」と教えてくれた。
「1つ目はゴールから逆算する方法。例えば、老後までに2000万円を貯めるには、今からいくら運用する必要があるのかを逆算する。長期間運用できる若い方なら運用資金は少なくても大丈夫ですが、年配の方は運用できる期間が短くなるぶん、運用資金を増やす必要があります」
2つ目は収入や貯金から算出する方法だ。
「少なくとも収入の20%は運用に回してみるのがいいのではないでしょうか。その金額を自分が運用できる期間に投資するといくらになるのか逆算して、足りなければ運用資金を増やせばいいし、足りるのであれば減らせばいいと思います。
また、定額預金のような形でお金を貯めている方や、貯金に余裕がある方も新NISAに回して外国株で運用したほうがいい。いざというときに必要なお金は、200万円ほどあれば十分ではないでしょうか」
◆新NISAを始める際の注意点は?
自分の収入や貯金など、現在の状況を見直すことは、新NISAを始めるにあたって非常に重要だという。
「投資で成功するためには、今の状況をきちんと把握したうえで、『最終的にどうなりたいのか』という明確なビジョンを持つことが大切です。自分の状況を正しく理解できている人は、あまり多くありません。新NISAをきっかけに家計の収入と支出を見直して、不要な出費を投資に回すといいでしょう。
投資を勉強する際は、SNSで話題の情報に飛びついてはダメ。本で情報を仕入れるときも、今話題の本ではなく、何十年も読み続けられているベストセラーを読んだほうがいい。時代やトレンドが代わっても通じる王道の考え方が身につけたうえで、新NISAを始めるのがいいと思います」
【新NISAを始めるときの3か条】
・株価が暴落したときの心構えをしておく
・目標にあった運用資金や運用期間を考える
・この機会に自分や家計の状況を見直す
◆暴落したときは心構えが大事
鳥海氏はYouTubeチャンネル「鳥海翔の騙されない金融学」で、資産運用や保険、社会保障制度など、お金に関する解説を行っている金融学のプロ。ほかにも家計改善・資産運用のコンサルティングも手掛けている。
「積立投資は株価が高値だろうと安値だろうと、長期運用することによってリスクを分散できるのがメリットです。判断が難しい一括投資と比べて、積立投資は何も考えなくていいのも初心者向きと言えます。昨今の物価高や、老後2000万円のニュースなどで将来に不安を感じている人は、少しでも早く新NISAを始めたほうがいい」
とはいえ、8月頭の大暴落を目にすると、投資に躊躇してしまう気持ちもわかるが……。
「今回のように、株価が暴落したときの心構えをしておくことは重要です。そもそも資産運用で失敗する要因は知識量、運、勘などではなく、迷い、不安、焦りから冷静な判断ができなくなるから。事前にシミュレーションをしておくことで、これらを軽減できるはずです」
◆新NISAを始めるときのポイント
では、これから新NISAを始めるにあたって、積立金額はいくらに設定すべきなのか。鳥海氏は「積立金額は、生活に無理のない範囲で多いに多いに越したことはない」と前置きしたうえで、こう続けた。
「資産運用は入金できる金額と、そのお金を何年間運用させることができるのか。この勝負になる。わかりやすいように、年利5%で100万円、300万円、500万円、1000万円を10年間、30年間運用したときにいくらになるかを計算してみました」
年利5%で運用したときの試算
運用資金 10年後 30年後
100万円 162万8895円 432万1942円
300万円 488万6684円 1296万5827円
500万円 814万4473円 2160万9712円
1000万円 1628万8946円 4321万9424円
当然ながら、運用資金が多ければ多いほど、運用期間が長ければ長いほど、得られるリターンは多くなる。100万円と300万でも差は大きく、200万円多く運用することができれば、その差額は30年で「864万3885万」にもなる。
「でも、資産運用をしない人の100万円は、何十年経とうが100万円のまま。100万円を30年間運用した人と比べても、『332万1942円』もの差ができてしまいます。繰り返しになりますが、新NISAは始めるべきですし、資産運用を行うならできるだけ多くの金額を長期間運用したほうがいい」
◆運用する金額の算出方法
実際にいくら運用できるのか。そして何年運用できるのかは、人それぞれ異なる。具体的にいくら運用するのがいいのか。鳥海氏は「2つの考え方がある」と教えてくれた。
「1つ目はゴールから逆算する方法。例えば、老後までに2000万円を貯めるには、今からいくら運用する必要があるのかを逆算する。長期間運用できる若い方なら運用資金は少なくても大丈夫ですが、年配の方は運用できる期間が短くなるぶん、運用資金を増やす必要があります」
2つ目は収入や貯金から算出する方法だ。
「少なくとも収入の20%は運用に回してみるのがいいのではないでしょうか。その金額を自分が運用できる期間に投資するといくらになるのか逆算して、足りなければ運用資金を増やせばいいし、足りるのであれば減らせばいいと思います。
また、定額預金のような形でお金を貯めている方や、貯金に余裕がある方も新NISAに回して外国株で運用したほうがいい。いざというときに必要なお金は、200万円ほどあれば十分ではないでしょうか」
◆新NISAを始める際の注意点は?
自分の収入や貯金など、現在の状況を見直すことは、新NISAを始めるにあたって非常に重要だという。
「投資で成功するためには、今の状況をきちんと把握したうえで、『最終的にどうなりたいのか』という明確なビジョンを持つことが大切です。自分の状況を正しく理解できている人は、あまり多くありません。新NISAをきっかけに家計の収入と支出を見直して、不要な出費を投資に回すといいでしょう。
投資を勉強する際は、SNSで話題の情報に飛びついてはダメ。本で情報を仕入れるときも、今話題の本ではなく、何十年も読み続けられているベストセラーを読んだほうがいい。時代やトレンドが代わっても通じる王道の考え方が身につけたうえで、新NISAを始めるのがいいと思います」
【新NISAを始めるときの3か条】
・株価が暴落したときの心構えをしておく
・目標にあった運用資金や運用期間を考える
・この機会に自分や家計の状況を見直す