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CAたちを“騙し続けた”「悪質な商社マン」の実態を暴露。“東南アジア路線廃止”に追い込んだ男の末路

日刊SPA! 2024年9月3日 15時53分

 日系航空会社CAから六本木のクラブママを経て作家となった蒼井凜花が、実際に体験した、または見聞きしたエピソードをご紹介。今回は「悪質な商社マン」についてお届けする。
◆CAを“落とし続けた”悪質な商社マンの実態

「大手エアラインのCAを落としまくった商社マンが東南アジアいる」との噂が、航空業界を揺るがせたことがある。しかも、彼は「東南アジアの某路線を廃止にまで追い込んだ」とも言われているのだ。

 いったいどれほどのプレイボーイだろうという興味が湧いてくるが、今回、この「伝説の商社マン」の正体と口説きの手法が明らかとなった。

 取材に応じてくれたのは、彼と同じ商社に勤める先輩商社マン・京介さん(仮名・53歳)だ。

「CAたちを口説きまくっていたのは、東南アジアの某都市・Aに赴任していた後輩の隼人(仮名・39歳バツイチ)です。彼は現地に来たCAたちが泊るホテルをリサーチし、ホテルマンとの人脈を作っていたんですよ。しかも、フロント係にチップを渡し、CAの部屋番号を聞きだしていたんです」

◆イケメンではないのにモテる理由

 チップをもらって個人情報を漏らしているフロントマンの行為も、もちろん大問題。その国ではよくあることなのか、チップがあまりにも高額だったのか……。あっさりと、部屋番号を聞き出せていたそうだ。京介さんは続ける。

「CAたちの部屋番号を入手した隼人は、順番に内線電話でナンパするんです。『すみませーん、怪しい者ですが、ちょっとお話ししませんかぁ?』って、ユーモアたっぷりにね。そこで、電話口でクスっと笑ったCAのみにアプローチし、デートにこぎつけて親密になったようです。

ちなみに隼人は、正直イケメンではありません。頭頂部が薄いから、仲間内からは『ハヤトじゃなくてハゲトだな』と言われていましたね。ただ、本人はそんなルックスもネタにするほど明るい性格なんです。しかも、頭の回転が速くてトーク上手。話していると、同性の僕らでも大笑いさせてくれるほどのサービス精神も持ち合わせています。それに褒め上手だけれど、まったくイヤミがない。“天性の人たらし”という感じでしょうか。実際、仕事もできましたし、上司や後輩からの信頼も厚かった。そんな彼だから、言葉巧みにCAをデートに誘って楽しませてあげたんだと思いますよ」

◆CAの間で噂されるようになり…

 CAたちは、隼人の巧みなエスコートや話術に気分を良くし、次々と口説き落とされていったようだ。

「味を占めた隼人は、仕事が終わるとホテルに行ってフロント係にチップを渡し、内線電話でCAをナンパし続けていました。これがイケメンなら警戒されるのでしょうが、モテとは程遠い“愛嬌のあるルックス”だから、CAたちも気を許し、安心して親密になったようです。なかには日本に帰っても『来月、またステイが入るから、デートしてね』と、完全にハマったCAもいたみたいですね。隼人自身はバツイチの独身で、決して既婚者には手を出さなかった。結婚をちらつかせる女性には『僕はバツイチだから、君を傷つかせないよう慎重になりたいんだ』と、それとなく距離を置いて遊んでいたようです」

 何とも許しがたい女の敵だが、間もなく事態は急展開を迎える。CAたちの間で、隼人のことが噂されるようになったのだ。

「一年も経たずして『私のカレは東南アジア在住の商社マン』というCAが続出したようです。エアラインの客室乗務員室の上司がリサーチすると、同一人物の商社マン、つまり隼人であることが判明したそうで、『同期CAや後輩とも付き合っていたなんて許せない!』とショックを受けるCAがあとを絶たなかったそうで……」

◆会社に直接クレームが入った結果…

 その結果、エアラインの上層部から隼人が勤める商社にクレームが入ったという。

「そのことが原因かは定かではないんですが、結局、東南アジアのその路線は廃止になりました。もともと数字が取れていなかったのか、もしくはCAたちが『あの路線には二度と乗務しない』と抗議したかはわかりません。ただ、いろいろと話を聞いてみると、僕は隼人が絡んでいることは間違いないと思っています。ほどなくして隼人は日本に異動になったんですが、相変わらず憎めないキャラというか……。そこが彼のすごいところですね」

◆伝説の商社マンの「その後の人生」

 そんな「伝説の商社マン・隼人」は現在、どうしているのだろう。

「それが、びっくりなんです。帰国してから半年も経たずして文筆業関連の女性と再婚しました。まったく女心のツボを得ているというか、人たらしの為せる業というか……彼曰く『毎日、嫁さんの尻に敷かれてる』と言いながらもご機嫌で(笑)。これが女性を惹きつける要因のひとつでもあるんでしょうね」

 航空業界を揺るがせた伝説の男は、今はおとなしく過ごしているらしい。

◆CAは危機感を持つべき

 男性の「モテ」はルックスではなく、いかに女性を気遣い、楽しい気分にさせるか、よく言われるようにマメさが大事ということか。とりわけ、CAならばフライトの緊張や疲れを癒してくれる男性がモテるのかもしれない。

 それにしても、チップと引き換えに客の部屋番号を教えたホテルマンの行為は職業意識にも倫理にも欠ける。もちろん、隼人自身の愚行も許せないが、女性側も南国ムードや男の甘い言葉に酔いしれると痛い目を見るという危機感を持つべきだろう。

文/蒼井凜花

【蒼井凜花】
元CAの作家。日系CA、オスカープロモーション所属のモデル、六本木のクラブママを経て、2010年に作家デビュー。TVやラジオ、YouTubeでも活動中。

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