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とんかつチェーン「かつや」で一人飲み。ヒレカツ、メンチカツ、海老フライ&ビールが“驚きの金額”で

日刊SPA! 2024年9月3日 15時51分

 ちょっとだけ飲んでから帰りたいけど、わざわざ居酒屋に行くほどではない――。そんなときに重宝するのが「ちょい飲み」のお店だ。吉野家の「吉呑み」を筆頭に、最近ではファミレスやファストフード、大衆中華チェーンなどでもちょい飲みセットを提供するところが広がっている。
 日常的に酒場へ通い、酒にまつわる連載や本を多数執筆している酒場ライター・パリッコさん(@paricco)。普段は地元に密着していて、単独ではちょっと入りづらいような個人店を取り上げている彼に、ベタなチェーン店で飲んでもらう連載「パリッコのチェーン店ひとり酒」。

 第6回に取り上げるのは、揚げ物がガッツリ食べたい時に助かる、とんかつ・カツ丼専門の外食チェーン「かつや」。果たしてパリッコさんはどう立ち振る舞うのでしょうか?

◆かつやで飲んでみたい

 とんかつ定食やカツ丼、その他の揚げもの料理がリーズナブルに食べられる「かつや」。日本全国はもちろん、海外にまで多数の店舗を持つ人気チェーン店です。

 ところがちょうど僕の生活圏内になく、今まであまり訪れたことがなかったんです。それがしばらく前、出かけた先で、なんだか無性にかつ丼が食べたくなって入ってみたら、「カツ丼(梅)」が税込み616円で食べられるというリーズナブルさはもちろん、純粋にその美味しさにちょっとびっくりしてしまいまして。さすが人気のチェーン店と、妙に納得して帰ったのでした。

 それ以来、思ってたんですよね。かつやの揚げものたちをつまみにしながら、お酒を飲んでみたいなと。というわけで今回は「かつや飲み」!

◆飲むなら狙い目は定食類

 メニュー構成は、「ソースカツ丼」などのバリエーションも豊富なかつ丼類に、とんかつ定食に、カツカレー。とんかつにはひれとロースの2種があり、他に、チキンカツ、メンチカツ、海老フライ、からあげなどいろいろ。それぞれを組み合わせると、かなりの選択肢があります。

 そんななか、僕が酒のつまみ的にベストなのでは?と目をつけたのが、各種盛り合わせ定食のページ。

 特に「海老・ロースカツ」「海老・ヒレカツ」「海老・ヒレ・メンチカツ」の3種類は非常に魅力的ですね。

 まず、2本の海老フライがいい。海老フライって、あまり食べる機会は多くないけど、それだけに特別なごちそう感がありません? なので、海老はマストで考えよう。

 続いて、どの組み合わせを選ぶか。個人的に好きなのは、やっぱりロースカツなんですよ。すべての肉のなかで、脂身多めの豚肉がいちばん好きな人間なので。ただ、すると自動的に海老&ロースカツを選ぶことになり、揚げものは2種類しか食べられない。3種盛りに入ったメンチカツ。これまた大好物なんだよな〜。よし、今日はロースは捨てよう。むしろ、メンチの脂っこさとヒレのさっぱり感でバランスがいいかもしれない(というか、そういうことを考えてメニュー作りがされているんでしょうね)。

◆かつやでその行為は図太すぎ!?

 はい決まり! 「海老・ヒレ・メンチカツ定食」(979円)でお願いします! ごはんは半分で。それからもちろんお酒。あるのは缶ビールのみのようなので、「アサヒスーパードライ」(352円)もお願いします。

 すぐにビールがやってきました。わざわざお盆にのって、よく冷えたグラスまで添えてもらえているのが嬉しいです。自分でトクトクトクッと注ぐと、おー、美しい割合!

 料理が届く前にちょっと失礼して、ごくごくごく……あ〜、うめぇ。

 ちなみに卓上には、単品で追加注文できる揚げものメニューが数種類。

 あら、「ポテトコロッケ」「カニクリームコロッケ」「アジフライ」「イカフライ」と、さっきのメニュー表にはなかった品々があるじゃないですか。これまたいいな〜。というか、ごはんものを頼まずとも、ここから2、3品頼むだけでじゅうぶん飲めるな。けど、かつやでその行為はさすがに図太すぎますかね。

◆サクサクジューシーメンチカツ

 そしてそして。いよいよ海老・ヒレ・メンチカツ定食が到着!

 いや〜、これは壮観。まず、中央の揚げもの三銃士たちが頼もしすぎる。それからあんまり意識してなかったんですが、そうか、定食にはとん汁もついてくるのか。これはラッキー。さらに、たっぷりの千切りキャベツとごはん。ごはんは半分にしてもらったんですが、それでも僕がふだん家で食べている1膳ぶん以上の量があるな。あらためて値段から考えるに、ものすごいお得感だ。

 しかもですね、揚げものたちのひとつひとつが、想像を超えて巨大なんですよね。特にメンチカツの重量感は驚きのレベル。

 さて、ではまずそのメンチカツからいってみましょう。箸でさくっと半分に割ると、断面から立ち上る蒸気とともに、じゅわーっとあふれる肉汁。あぁ、これは間違いないやつだ。

 思いきってかぶりつくと、荒めながらさくさくと軽快な衣に包まれたジューシーな豚肉の旨味が、口いっぱいに広がります。適度な塩気と軽快な油感で、見た目よりもしつこさは感じません。さすが専門店。めちゃくちゃハイクオリティなメンチカツだ。ぐびりと追いかけるビールがもう!

 そうしたら当然、ソースドボドボバージョンも味わっていきましょう。

 こうなってくると、がぶりとメンチをほおばった次は、いったん白メシ不可避でしょう。甘酸っぱいソースをまとったメンチカツとごはんの相性に昇天しかけた後、ビールで正気に戻る。しばらくはそのくり返しを堪能します。

◆とん汁はマストかも!?

 また、忘れてならないのが脇を固めるメンバーたちの頼もしさ。たっぷりの千切りキャベツは、濃厚なごまドレッシングとソースの2色に染めて。フリーの卓上大根漬も、ぽりぽりと軽快な食感がたまりません。

 それからとん汁! これがすごい。そういえば前回かつ丼を食べた時にはついてこなかったんですが、他のお客さんたちがやたらとうまそうにとん汁をすすっているな〜と思ってたんだよな。

 いや、意表を突かれましたね。このとん汁、ちょっと普通じゃないですよ。というのも、大量の豚肉を扱うお店だからでしょう。端肉などの 材料には事欠かないと想像され、とにかく薄切りの豚肉が、もう“限界ギリギリ”って感じに入っている。ゆえに、汁の表面に豚の脂が、まるで満天の星空のように輝いている。

 影の主役ですよね。かつやの。もう、うますぎる。普通にランチを食べにくるだけならば、もはや「とん汁(大)」と「ご飯」のセットで事足りるんじゃないの?ってくらい(ちなみにその2品だと合計396円)。ゆえに、酒のつまみとしても超優秀。

◆夢のような時間を満喫

 感激のあまり思わずとん汁について語りすぎてしまいましたが、メインの揚げものたちの美味しさも、当然間違いなさすぎました。

 ぷりぷりで、ほおばるたびに脳内に幸せホルモンが噴出する海老フライ。これまたビッグサイズで、驚くほど柔らかく、上品な旨味のヒレカツ。どれもこれも、目隠しをして食べさせられ、値段当てクイズでもさせられようもんなら、本気で2〜3倍の値段を言ってしまってもおかしくない美味しさです。そんでまた、揚げものとビールってなんでこんなに合うんでしょうかね……。

 強いて言えば、あまりに夢中になりすぎて、序盤で全体にソースをかけてしまったんですが、「おろしポン酢」(154円)や「タルタルソース小袋」(16円)などを頼んで味変要素を加えたら、さらに充実した飲みが楽しめたかもしれない。次回はそうしてみよう。

 同業種のなかでもとりわけお手頃なとんかつチェーンでありながら、あまりにも妥協のない美味しさに圧倒された、人生初のかつや飲み。海老フライ、メンチカツ、ヒレカツという、子供のころからの夢が具現化されたようなつまみで飲めるのも楽しく、大大大満足でした。

 そしてこれ、チェーン店あるあるのひとつだと思うんですが、お会計時に次回使えるクーポン券がもらえまして。その内容は、店内テイクアウト共通で100円割引。つまり、今日の飲み食いの合計が1331円と、すでにどう考えても破格すぎたのですが、次回このクーポンを使うと、1231円になるということ? いやいや、かつやさん、いくらなんでもやりすぎですって……。

<TEXT/パリッコ>

【パリッコ】
1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。X(旧ツイッター):@paricco

―[チェーン店ひとり酒]―

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