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過去2大会の最終予選初戦は…サッカー日本代表「9月の試合は調子が悪い」説を検証

日刊SPA! 2024年9月5日 15時49分

 FIFAワールドカップでの優勝を目指すと公言するサッカー日本代表は、9月よりその道程の山場を迎える。2026年6月11日に開幕する北中米で開催されるFIFAワールドカップ2026の出場を懸けたアジア最終予選(3次予選)が始まるのだ。
 6チーム1組の3グループに分かれて行われる最終予選は、ホーム&アウェイで全10試合を行うリーグ戦で上位2チームに入れば本大会の出場権を得られる。また、グループ3位と4位はプレーオフに回る。

 7月18日付のFIFAランキング18位でアジアトップの座を保守する日本はオーストラリア(試合日:10/15[H]、6/5[A])、サウジアラビア(10/10[A]、3/25[H])、バーレーン(9/10[A]、3/20[H])、中国(9/5[H]、11/19[A])、インドネシア(11/15[A]、6/10[H])と同組になった。今月は5日にホームの埼玉スタジアム2002で中国と対戦し、10日(日本時間11日午前1:00)にバーレーンと対戦する。

◆「9月の試合は調子が悪い」説を検証

 アジアの出場枠が4.5から8.5に増枠されたこともあり、予選突破を楽観視する人も多いだろう。それに本大会での優勝が目標と公言しているだけに、予選では他を圧倒して勝ち上がってほしい。だが、今年1月に開催されたアジアカップでは、圧倒的に優勝候補であったにもかかわらず準々決勝で敗退。この最終予選でも上位2位に入る可能性は高いが、何があるかわからない。

 実は、日本代表は「9月の試合は調子が悪い」といわれている。海外クラブに所属する選手が年々増えて、ヨーロッパのサッカーシーズンが始まった直後である9月はコンディション不良に陥りがちだ。実際に今回も冨安健洋や伊藤洋輝といった主力選手が、負傷を理由に招集を見送られている。

 ただ、南アフリカ・ワールドカップ前2008年まで約16年間の戦績を振り返ると、9月の戦績はいい。インターナショナルマッチウィークに指定される3月、6月、9月、10月、11月のAマッチ戦績を比較してみた。

3月:16勝6敗3分(勝率64.0%、敗率24.0%)
6月:30勝9敗11分(勝率60.0%、敗率18.0%)
9月:21勝5敗2分(勝率75.0%、敗率17.9%)
10月:19勝5敗7分(勝率61.3%、敗率16.1%)
11月:19勝5敗4分(勝率67.9%、敗率17.9%)

※インターナショナルマッチウィークは前後に月にずれた試合結果も含む
※ワールドカップなど国際トーナメントの試合結果は除く

◆「アジア最終予選」に限った場合は、確かに…

 親善試合やホーム&アウェーの開催地などの詳細は省いているが、9月だけ特別に悪いというわけではない。むしろ、勝つ確率でいうと他の月よりも高い。ただし、アジア最終予選のみの戦績となると以下のとおりとなる。

3月:4勝1敗1分(勝率66.7%、敗率16.7%)
6月:4勝2敗3分(勝率44.4%、敗率22.2%)
9月:5勝3敗0分(勝率62.5%、敗率37.5%)
10月:2勝1敗2分(勝率40.0%、敗率20.0%)
11月:5勝0敗0分(勝率100%、敗率0%)

◆過去2大会の最終予選初戦は…

 もちろんサンプルが少ないので断定的にはいえないが、最終予選という条件下では9月に負ける確率が高い。過去4大会の最終予選で負けた4割強が9月となっている。

 特に、過去2大会の最終予選初戦のイメージが強い。3年前、2021年9月2日にはオマーンに0-1で敗れ、その前には2016年9月1日に1-2でUAEに敗れている。いずれもホーム開催となった最終予選の初戦だった。

 その敗因には先述したとおりコンディション不良などが挙げられたが、そこには慢心もあったことは否めないだろう。自分たちが理想とするサッカーを展開できれば勝てるということを突き詰め、研究・対策してくる相手のことを加味せずにゲームに臨んだ結果といえる。

◆「伊東純也の復帰」は大きい
 
 それでも日本が負けることは考えにくい。冨安健洋や伊藤洋輝が負傷で招集できなかったり、サイドバックやセンターフォワードの人材発掘中で定まっていないなどネガティブな要素はあるが、伊東純也や三笘薫が久々に復帰するといった朗報もある。

 特に、伊東純也の復帰は今の日本代表にとっては大きい。森保一監督は以前から「人が変われば戦術も変わる」と主張し続けているが、戦術的にピタリとハマっているのは伊東純也だけで、その他の選手起用時に主張するような先述の変化はあまり見せられていない。

 最終予選は試用期間ではない。できていないことを試すよりは、できていたことの質を向上させながら挑むほうが勝つ確率は高くなる。そういった意味で伊東純也復帰の影響は大きい。

 ただ、日本代表がこれまでにやってきたこと、できていたことは、当たり前に対戦相手は研究してきている。そういったことを踏まえて、そういう対戦相手にどう勝つのかを考えることを忘れてはいけない。これまでのように慢心が敗因とならないようにするためにも、戦術以前の戦略をはっきりさせなければならない。これまでのように戦略がボケていると、最終予選は楽には勝てないだろう。

<TEXT/川原宏樹 撮影/松岡健三郎>

【川原宏樹】
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる

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