ラクしてお金を稼げたら…。とは、誰もが一度は考えたことがあるのではないだろうか。けれど、あまりにもそういう気持ちが強いと、今回話を聞かせてくれた児島由宇さん(仮名・20代)のように嫌な思いをするリスクが高まるかもしれない。
◆「ラクして稼ぎたい」でキャバ嬢に
由宇さんは、思春期を迎えたあたりから「ラクして稼ぎたい」ということばかりを考え、大学を卒業後はキャバクラでの勤務をスタートした。ところが、キャバクラの仕事は想像していたようなラクな仕事でなく、結構ハード。
「キャバクラは夜職だし、お酒を飲んで客と話していたらお金をもらえると思っていたんです。それなのに、人間関係や上下関係も結構あって正直面倒。嫌なことがあるたびにお店を変えていましたが、常に『もっとラクして稼げないかな?』と思っていました」
そして、ヒマがあればスマホでネット検索。キャバ嬢として働きはじめてから行きつけとなっていたバーでも「ラクして稼げる仕事を紹介してほしい」とねだる日々が続いていた。そんなとき、バーに20代前半の男性アルバイト店員が入店。
「いつものように『ラクして稼ぎたい』とグチっていると、何回か目に飲みに行ったときに、その男性バイトから『稼げるよ』『海外だけど、いいアルバイトがある』と耳打ちしてきたんです。まわりにお客さんも、ほかのスタッフもいないタイミングでした」
◆海外の怪しいバイトの中身
由宇さんは「詳しく聞きたい!」と前のめるが、「店内であまり詳しい話は……。それに、人気のバイトだから、空きがあるかどうか」などともったいぶる新人店員。そんな新人店員の態度に、ますます興味を持った由宇さんは連絡先を交換し、仕事の内容を聞き出した。
「バイトの内容は、海外へ行って、日本のことを知りたいお金持ちの男性たち相手に日本の文化などを話すだけというビックリするほど簡単なもの。それでお小遣いがもらえるというのです。しかも、歴史や文化などの知識は不要という信じがたい内容でした」
けれどそのあと、「相手は地位も財産もある外国人ばかりだし、目が肥えてる。“着物”が似合う日本人女性と日本で人気のあるお酒を飲み交わしながら話を聞きたいっていう希望があるらしく、誰でもいいってわけじゃない」と、もっともらしい説明をする新人社員。
「しかも、『由宇ちゃんなら着物も似合うし、1日1万円ぐらい稼げると思う。向こうは1日1万円なんて、はした金だからね。旅費や宿泊費も現地のエージェント持ちだから、海外旅行してる気分で楽しめて一石二鳥だと思う』などと、いいこと尽くしの説明でした」
◆「写真を撮りたい」と呼ばれた先は…
さらに「相手は経営者や有名人など、表立ったトラブルは避けたい既婚者ばかりのため、性的な心配もない」という説明だったとか。半信半疑ではあったが、ラクして稼げるというパワーワードを抑え込むほどの不安は芽生えなかった。
「バイトの話は弾みましたが、話が進んでいくごとに陰りがみえるようになります。最初に違和感を覚えたのは、『履歴書代わりの写真を撮りたい』とレンタルスペースのようなところに呼び出されたときのことでした」
新人店員が、「このアルバイトは競争率が高いから、セクシーさをアピールしたほうがいいかもしれない」などと、とにかく肌を露出するようしつこく提案。また、チェリーやフランクフルトなどを使い、性的な印象を与えるような指示を出してきたのだ。
◆新人バーテンダーは即刻クビに
「そんな写真をパシャパシャ撮られ、なんだかおかしいと思ったのです。そこで、その日以降、新人店員の連絡を無視することにしました。すると、『こっちには、写真があるんだぞ』『いますぐ連絡してこい』とメッセージで脅されたのです」
怖くなった由宇さんだが、「ここで言いなりになったら、ずっと脅されるかも……」と意を決し、「別に胸などを見せているわけでもないので、好きに使えばいい」とのメッセージを送信。バーのオーナーに経緯を説明したところ、新人店員は即刻クビになっている。
「ほかの客にも同じように声をかけ、困らせていたようです。実際にどんなバイトをやらせる予定だったのかは不明ですが、途中で脅してきたぐらいなので、ロクでもない内容で間違いないでしょう。右も左もわからない海外でのわけのわからないアルバイトは怖すぎます」
この一件があって以降、「ラクして稼ぎたい気持ちは変わらないが、ラクして稼ごうとすると危ない仕事が多いのかもしれない」と、キャバ譲として少し真面目に働きはじめたという由宇さん。ラクして稼ぐことばかり考え、危ない橋を渡らないよう十分気をつけてほしい。
<TEXT/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
◆「ラクして稼ぎたい」でキャバ嬢に
由宇さんは、思春期を迎えたあたりから「ラクして稼ぎたい」ということばかりを考え、大学を卒業後はキャバクラでの勤務をスタートした。ところが、キャバクラの仕事は想像していたようなラクな仕事でなく、結構ハード。
「キャバクラは夜職だし、お酒を飲んで客と話していたらお金をもらえると思っていたんです。それなのに、人間関係や上下関係も結構あって正直面倒。嫌なことがあるたびにお店を変えていましたが、常に『もっとラクして稼げないかな?』と思っていました」
そして、ヒマがあればスマホでネット検索。キャバ嬢として働きはじめてから行きつけとなっていたバーでも「ラクして稼げる仕事を紹介してほしい」とねだる日々が続いていた。そんなとき、バーに20代前半の男性アルバイト店員が入店。
「いつものように『ラクして稼ぎたい』とグチっていると、何回か目に飲みに行ったときに、その男性バイトから『稼げるよ』『海外だけど、いいアルバイトがある』と耳打ちしてきたんです。まわりにお客さんも、ほかのスタッフもいないタイミングでした」
◆海外の怪しいバイトの中身
由宇さんは「詳しく聞きたい!」と前のめるが、「店内であまり詳しい話は……。それに、人気のバイトだから、空きがあるかどうか」などともったいぶる新人店員。そんな新人店員の態度に、ますます興味を持った由宇さんは連絡先を交換し、仕事の内容を聞き出した。
「バイトの内容は、海外へ行って、日本のことを知りたいお金持ちの男性たち相手に日本の文化などを話すだけというビックリするほど簡単なもの。それでお小遣いがもらえるというのです。しかも、歴史や文化などの知識は不要という信じがたい内容でした」
けれどそのあと、「相手は地位も財産もある外国人ばかりだし、目が肥えてる。“着物”が似合う日本人女性と日本で人気のあるお酒を飲み交わしながら話を聞きたいっていう希望があるらしく、誰でもいいってわけじゃない」と、もっともらしい説明をする新人社員。
「しかも、『由宇ちゃんなら着物も似合うし、1日1万円ぐらい稼げると思う。向こうは1日1万円なんて、はした金だからね。旅費や宿泊費も現地のエージェント持ちだから、海外旅行してる気分で楽しめて一石二鳥だと思う』などと、いいこと尽くしの説明でした」
◆「写真を撮りたい」と呼ばれた先は…
さらに「相手は経営者や有名人など、表立ったトラブルは避けたい既婚者ばかりのため、性的な心配もない」という説明だったとか。半信半疑ではあったが、ラクして稼げるというパワーワードを抑え込むほどの不安は芽生えなかった。
「バイトの話は弾みましたが、話が進んでいくごとに陰りがみえるようになります。最初に違和感を覚えたのは、『履歴書代わりの写真を撮りたい』とレンタルスペースのようなところに呼び出されたときのことでした」
新人店員が、「このアルバイトは競争率が高いから、セクシーさをアピールしたほうがいいかもしれない」などと、とにかく肌を露出するようしつこく提案。また、チェリーやフランクフルトなどを使い、性的な印象を与えるような指示を出してきたのだ。
◆新人バーテンダーは即刻クビに
「そんな写真をパシャパシャ撮られ、なんだかおかしいと思ったのです。そこで、その日以降、新人店員の連絡を無視することにしました。すると、『こっちには、写真があるんだぞ』『いますぐ連絡してこい』とメッセージで脅されたのです」
怖くなった由宇さんだが、「ここで言いなりになったら、ずっと脅されるかも……」と意を決し、「別に胸などを見せているわけでもないので、好きに使えばいい」とのメッセージを送信。バーのオーナーに経緯を説明したところ、新人店員は即刻クビになっている。
「ほかの客にも同じように声をかけ、困らせていたようです。実際にどんなバイトをやらせる予定だったのかは不明ですが、途中で脅してきたぐらいなので、ロクでもない内容で間違いないでしょう。右も左もわからない海外でのわけのわからないアルバイトは怖すぎます」
この一件があって以降、「ラクして稼ぎたい気持ちは変わらないが、ラクして稼ごうとすると危ない仕事が多いのかもしれない」と、キャバ譲として少し真面目に働きはじめたという由宇さん。ラクして稼ぐことばかり考え、危ない橋を渡らないよう十分気をつけてほしい。
<TEXT/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意