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髙橋ひかる、モラハラ男子に「引っかかるタイプだと思います(笑)」と話すワケ

日刊SPA! 2024年9月7日 15時52分

バラエティ番組での明るいキャラクターが印象的な髙橋ひかるだが、最近は映画『赤羽骨子のボディガード』やドラマ『世にも奇妙な物語』など、女優業にも精力的に取り組んでいる。
放送中のドラマ『顔に泥を塗る』(テレビ朝日系 毎週土曜日よる11時30分~放送)でも、モラハラ彼氏と対峙する自己肯定感の低い主人公を熱演、大きな話題を呼んでいる。同ドラマへの想いと、芸能活動10周年を迎えた現在の心境を聞いた。

◆モラハラぶりが「令和の“冬彦さん”」

――主演ドラマ『顔に泥を塗る』の放送も佳境に入ってきました。反響はいかがですか?

女性からは特に「悔しい」という感情や、私が演じている(柚原)美紅を見てモヤモヤするという声をいただきます。私自身、脚本を読んで美紅にモヤモヤしましたから(笑)。

ただ、そういうもどかしさもあるぶん、美紅が成長していく姿を見てもらえたら納得してもらえるかと思います。いまもがいている方がいたら、自分も変わりたい、強くならなきゃと感じてもらえる作品だと思います。

――モラハラ彼氏のハル(結城悠久)に赤いリップをつけていることを咎められ、美紅がクレンジングオイルを頭からかけられるなどの衝撃的なシーンも話題になっています。30年以上前に流行語にもなったドラマ『ずっとあなたが好きだった』の冬彦さんを彷彿とさせるという声もありますよね。

現場でも実際によく話していました。それ(冬彦さん)を超えないといけないよねとか、イメージを持つことは大事だけど、寄り過ぎてしまうのもよくないよね、とか。

私は最初に役をみたときにそこまでリンクしていなかったんですが、後からそのドラマをイメージしていると聞いて「なるほど」と思いました。確かに、名前も冬彦と悠久(はるひさ)でちょっと似てるんですよ(笑)

――ああいった、衝撃的なシーンは今後もあるのでしょうか?
クレンジングオイルのシーンはかなり衝撃的だったと思うんですが、心の動き方が激しい作品なので、今後も印象的なシーンはいくつもあります。ハルくんがどんどん追い打ちをかけてきますし、美紅もそれに負けず立ち向かっていくので、今後の展開も楽しみにしていてほしいです。

◆自己肯定感の低さは「過去の自分みたい」

――髙橋さんが演じた柚原美紅は、自己肯定感が低く、人の顔色を窺ってばかりいる役柄です。役柄に共感できる部分はありましたか?

私自身、学生時代は、自分の意見をうまく伝えることができないタイプだったので、本当に過去の自分をみているかのようでした。このお仕事を始めてから少しずつ変わりつつあるのですが、自分のそういうところが嫌だと思っていたので、美紅に対してもめっちゃ腹が立っていました(笑)

脚本を読んでいても、途中までは「なんでこうなっちゃうの!?」と理解できない部分が多くて、役に完全に入り込むのが苦しかったです。ただ、柚原美紅という人間を理解した上で、相手がいる状況で実際にお芝居をしてみると、「こうなりたくない」「わからない」と言っていた通りになっていったりして……それがすごく面白い体験でした。

――それは、具体的にどんなシチュエーションで?

最初にハルくんに別れを告げるシーンですね。これまでは、ある程度、相手役の方がどんなリアクションをして、自分がどういう流れで返してというのを想定しながら現場に行っていたんですけど、今回は事前に想像できないシーンがすごく多くて。

それこそ、恋愛というものを本当にしてこなかったから、お別れをするとか、修羅場的な現場というのがわからないんですよね。どこで涙を流すかもわからないし、どこで怒るかもわからないし。

――台本はあるけど、どうなるかがぜんぜん読めないと。

そうですね。ただ、「実際にどうなるか」という新鮮な感情をすごく大事にしてくれる監督だったので、「それは出たとこ勝負だよ」と役者に任せてくださる部分が多かったのはありがたかったです。

もちろんロジックを持っておくことが前提ですが、準備段階でしっかりとコミュニケーションをとって、お互いに安心した状況でお芝居ができました。

◆モラハラ男子に引っかかるタイプ

――ちなみに、髙橋さん自身が、ハルくんのようなモラハラ男子に引っかかってしまう可能性はなさそうですか?

周りからは「騙されそう」ってすごく言われているので、引っかかるタイプだと思います(笑)。私はあまり人を疑うことなく生きてきたので、なにか違和感を覚えたとしても、いい方に勝手に汲み取っちゃうんですよね。ハルくんにはハルくんなりの事情があってこういう言動をしているんだろうなって、勝手に組み立ててしまうというか。

だから、美紅を「昔の自分を見ているようだ」と言いながらも、人間の軸として変わらない部分があるなということは、今回の作品ですごく感じました。同じ関係に陥ってしまったら、私も美紅みたいな行動をとっちゃうだろうなというのはありましたね。

――ちょっと心配になってきました(笑)

だからこそ、(高倉)イヴくんのように、正してくれたり、見守ってくれる人が身近にいることはすごく大事だなと思いました。

――実際、髙橋さんの周りにもそういった存在はいますか?

影山優佳ちゃんですね! すごく頭が良くて、周りのこともよく見ているけど、ちゃんと温かいハートを持っていて……本当にリスペクトしている頼れる友達です。前に友人関係でちょっと悩んでいたときに、影ちゃんに相談したこともあるくらいなので、それこそ、実際にハルくんとの関係性があったとしたら、私はずっと影ちゃんに相談してると思います(笑)

――影山さんの助言があったら、思い直せそうですか?

最初は絶対にできないと思います(笑)。でも、美紅もだんだんと違和感が募っていって気づけたので、「ひかるがそう思うならそれでいいと思うけど、自分はこう思うよ」って、負けずに正していってくれる人がいたら気づくことができるんじゃないかなと思います。そう言ってくれる存在は、すごく貴重だと思いますね。

――影山さんは、はっきり言ってくれそうですもんね。

そうですね。この業界は特に自分をしっかりと持っている人が多いですし、周りにちゃんと意見をいってくれる人いることがすごくありがたいなと思いますね。私は割とクルクル変わってしまう方なので(笑)。そういう意味でも、今回のドラマは私にとっても学びがたくさんありました。ぜひ多くの方に見ていただきたいです。

◆芸能生活10周年「変わったけど変わってない」

――そして、髙橋さんは今年、芸能生活10周年を迎えました。美紅の話にも関連するかもしれませんが、ご自身はこの10年間で変わったと思いますか?

良くも悪くも、変わってないなという部分もありますけど……変わりましたね。変わってないなというところは、なんだかんだ、周りからどう見られるか気にしてしまうところ。ただ人に見られるお仕事なので、そこはうまく付き合っていけているなという感じはしています。

一方で変わったと思うのは、バラエティにたくさん出させていただいて、明るく発言をしているところ……というか、そう見られたりするようになったところですかね。

ただ、それも「これが求められてるだろうな」とか、「ここで笑ったら場面がちょっとでも明るくなるかな」とか意図を持ってやってることであって、結局のところ根幹では変わってないと思う部分の方が多いです(笑)。

それは、最近バラエティの出演を減らしたことで、改めて感じたんですが、「結局、人間って変われない」と思っている部分はあります。私は表舞台に出る環境に身を置いたことで変わった部分があるけど、その環境がなくなったらたぶんまた戻ると思います。だから、変わったけど変わってないんじゃないかなって。

◆肩書は「髙橋ひかるという人間」

――バラエティを抑えているとおっしゃっていましたが、女優業に力を入れたいという考えがあったのでしょうか?

私はキャパが本当に狭くって。バラエティやラジオももちろん大好きだし、やりたいことなんですけど、私はすべてに事前準備が必要なタイプなので、ドラマや映画の撮影と重なると余裕がなくなってしまうんです。

バラエティに出させていただくときも、事前にしっかりどんな番組で、どういう人が出ているかを把握してやってきて、それでお仕事がどんどん広がっていったところがあるのですが、ありがたいことにお仕事をたくさんいただく環境になって、その余裕がなくなってしまって。

お仕事をいただけることは嬉しかったんですが、このままだと自分の身を滅ぼすことにもなるだろうなと感じていたので、いまお芝居に集中させていているのは、これからお仕事を長く続けていく上で、大事な選択だったかなと思っています。

――昨年、『あちこちオードリー』(テレビ東京系)に出演されたときも「仕事が広く浅くなっている気がする」というお悩みを話されていましたよね。

見ていただいて、ありがとうございます(笑)。いまも、自分が「何者か」と問われると悩むんですよ。もちろん、その人を説明する上で肩書きは必要だと思うんですけど、肩書きを得ることによって、こういう立ち位置だからこういう発言をしなきゃと自分は考えてしまうので、いまは自分の中では「髙橋ひかるという人間です」というふうに思っています。

◆年齢を問わずフラットなコミュニケーションで

――ここから15年目、20年目に向けて準備していきたいことはありますか?

私は10代からお仕事を始めているので、バイトの経験もないんですよね。でも、今後いろんな役を経験することになると思うので、この浮世離れした価値観だけでなく、地に足のついた人間として生活していろんな価値観を得たいなと思っていて。だから、まずは職業を問わずいろんな方と出会って、友達になったり、お話しをしてみたいなと思っています。

――実際に、髙橋さんの学年は今年から新社会人の世代ですよね。

そうなんです。お友達の中には、このお仕事が合わずに辞めた人もいれば、いまもがんばっている人もいて、そういう友達とのコミュニケーションがすごく新鮮に感じています。自分は職場を変えずに10年間この仕事を続けたことになるので、そこはちゃんと誇りに思っていいところでもあると思いますし、同世代の友達たちからも、いろんな価値観を勉強させてもらっています。

――ちなみに髙橋さんのデビューのきっかけになった「国民的美少女コンテスト」はここ数年開催されていませんが、現場では後輩付き合いをすることも増えてきましたか?

芸歴に関わらず、自分より若い方と共演する機会は増えてきましたね。それこそ映画『赤羽骨子のボディーガード』は主演のラウールさんが21歳、奥平大兼さんが20歳と、自分よりも年下です。でも芸歴でいったらバラバラなんですよ。そこがこの職業の面白いところでもあって、いろんな方がいるからこそ、年齢を問わずフラットなコミュニケーション取れているのかなって。

年下だからこうしないと、後輩だからこうしないと、みたいな感覚があまりなくいられるのが、私的にはすごく楽です。逆に先輩でも威圧感をすごく出してこられる方は、いまはそんなにいないですし(笑)

――時代が変わったというか。

はい、みなさんフランクに話しかけてくださいます。だから、それこそ今後「美少女コンテスト」でまた後輩ができたとしても、自分のスタンスは変わらないと思います。

◆早く家に帰ったら「ぼーっとしてます(笑)」

――ちなみに『赤羽骨子のボディーガード』の公開初日舞台挨拶でラウールさんから、髙橋さんの帰宅スピードの速さが明かされていましたが、そんなに早く家に帰って何をしているんですか?

ぼーっとしてます(笑)。私、ずっとそうなんですよ。メイクも家でお風呂に入りながら落とすのが一番早いじゃないすか。もちろん、現場で落として肌を休ませたいとか、メイクを塗ってる感覚が嫌な方もいるので、すごくわかるんですけど、私は何でも最短がよくて。過程を省いていきたいんです。

――性格的な問題なんですかね。

そうかもしれないです。『赤羽骨子のボディーガード』は役でウィッグをつけていたので、撮影のあとは、歩きながらウィッグを外して、ネクタイ外して、脱げるところギリギリまで脱いで楽屋に戻るんですよ。着替えのパーテーションの数も限られているから、待たせるのも嫌だし、待つのも嫌だしっていうのもありますね。みんながちょっとでも早く帰れたら「ハッピー!」みたいな感覚です。

――特に、家でやりたいことがあるというわけでもなく?

家では、愛犬と戯れて、親と喋って、ぼーっとしてるだけですね。特に何をしたいというわけでもなく、むしろちょっとでも何もしない時間を作りたいというか。仮に予定があったとしても、なかったとしても、早く帰りたいというのは変わらないです(笑)

【髙橋ひかるプロフィール】
‘01年、滋賀県生まれ。’14年、「第14回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリを受賞し、芸能界入り。’16年公開の映画『人生の約束』で俳優デビュー。’17年にはNHK 大河ドラマ『おんな城主 直虎』にでテレビドラマ初出演。主な出演作に『村井の恋』(TBS)、『青野くんに触りたいから死にたい』(WOWOW)、『ハレーションラブ』(EX)、『リビングの松永さん』(KTV/CX)、映画『おそ松さん』ほか。テレビ朝日系で放送中の土曜ナイトドラマ『顔に泥を塗る』では、自分に自信がないが、メイクの力で変わっていく主人公の美紅役を熱演。西垣匠が演じる彼氏・悠久のモラハラぶりが「令和の『冬彦さん』」と話題に。この夏公開の映画『赤羽骨子のボディガード』ではヒロイン・骨子の親友で空手家の棘屋寧を演じている。

<撮影/中村和孝 取材・文/森野広明 ヘアメイク/imutan スタイリング/YAMAMOTO TAKASHI(style³) 衣装協力/MIKAGE SHIN>

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