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悠仁さまの「東大進学反対署名」に東大生が反応。「受験生に忖度するような情けない大学じゃない」

日刊SPA! 2024年9月8日 15時54分

―[貧困東大生・布施川天馬]―

 大学受験を控えた悠仁さまについて「東大進学反対」を請う書名が行われました。署名者数は12,000人を超えたそうです。
 彼らの言い分は、「分不相応な実力で推薦入試を受験し、忖度によって突破するのはずるい」。どれだけ立派な大義名分を掲げても、突き詰めればここに至ります。

 どうして悠仁さまが「分不相応な実力しかない」と言い切れるのか。そして、東京大学の教授陣が忖度すると決めつけているのか。署名を立ち上げた「赤門ネットワーク」は、東大卒の研究者からなるといわれていますが、もし本当ならば、自らの古巣をもう少し信用してほしいもの。

 今回の騒動について東大生はどうとらえているのでしょうか。現役東大生である私なりに考察した上で、学生30人にも賛否を聞いてみました。

◆「推薦=楽ちん入試」は全くの幻想

 私が、今回の騒動を見て一番に感じたことは、「この署名を立ち上げた人は、東大の推薦入試のレベルを理解していないな」でした。「推薦=楽ちん入試」と考えているのかもしれませんが、それは全くの幻想。東大の推薦を勝ち抜くためには、綿密な準備と十分な実績が必要です。

「○○オリンピック本選出場」程度の実績は当たり前。下手なコンクールでは「一位入賞」でも霞むレベルです。多くの推薦生を見てきましたが、みな一般入試組を凌ぐ優秀な人ばかりでした。圧倒的な知識と実行力を兼ね備えています。

 東大で「推薦で受かった」というと、「じゃあ優秀なんだね」と返ってきます。それほど、「推薦組=優秀」の図式は浸透している。

 東大推薦入試は毎年100人程度をとると表明しますが、未だに定員いっぱいまで合格者が出たことはありません。もし悠仁さまが十分な実力を兼ね備えていなければ、不合格になるでしょう。それほどまでに狭き門だからです。

 もちろん、「東大上層部が忖度して合格させる」とする心配もわかります。ですが、その場合でも問題はありません。なぜならば、東京大学は入学後こそ、実力が問われる大学だからです。

◆「日本の大学は入れば簡単」は嘘

「日本の大学は入れば簡単」と言われているようですが、少なくとも東大については当てはまりません。授業速度が並大抵でないからです。他大学では第二外国語の授業に2年以上かけるところを、東大は1年間で終わらせます。授業速度は他大の2倍以上です。

 もちろん、それ以外も早い。私が大学一年生の時に受けた数学の授業は、初回の1時間で教科書30ページ分の内容を終わらせていました。

 速度が速いだけではなく、内容が濃密であることも特徴です。例えば、英語に限れば、「論文の読解」「小論文の執筆」「15分以上のプレゼン」など多くの課題が課されます。もちろんすべて必修で、落とせば3年生以上へ進学できません。

 要求されるハードルも高く、私がプレゼンを行った時には「あなたのプレゼンは時間の無駄でした」と面と向かって言われたことを覚えています。

 一般入試を勝ち抜いた東大生ですら手こずる授業ラインナップに、裏口入学程度の実力では耐えられません。

 本当に東大卒であれば、「東大は入試よりも在学中がキツイ」とご存じかと思いますが、昔は楽だったのでしょうか?

◆現役東大生30人の意見は?

 今回、話を聞いた東大生の大半は「悠仁さまがご自分で決められた進路をゆけばよろしいのでは」としていました。「忖度」についても、その存在を疑う声ばかりで、「忖度で入ってくるだろうから反対」とする東大生は一人もいませんでした。

「忖度で受験生をえり好みする情けない大学に入った覚えはない」と言ってくれた女性もいました。

 そもそも、推薦入試の目的は、一般入試とは異なる観点から学生を吟味し、より多様性のある大学を目指すこと。より多くの属性が入り混じった大学になることは、東京大学側の悲願でもあり、少なくとも「首都圏出身・ミドルアッパー・お受験組」ばかりの現状よりは望ましいものといえるはず。

 また、推薦入試で入学したある男性は「同じ推薦生として、もし悠仁さまがご入学されたら、交友を深めたい」と前向きです。

◆「東大進学反対」は多数派の意見ではない

 国中を巻き込んだ進路問題。お立場上、「自分の意志で自由にキャリアを作る」のは難しいかもしれませんが、本来はそうあるべきでしょう。というより、他人のキャリア形成について周囲を巻き込んで大騒ぎする残念な大人たちについて、残念だと思わされた一件でした。

「赤門ネットワーク」の方々が、現在の東大と入試制度について何も知らないことは明らか。結果的に無知をさらけだしました。それどころか「自分が東大で審査に関わるなら、間違いなく忖度する」と自白しているようなものです。

 もし彼らが大学教員であるなら、入試現場には一切かかわらないでほしい。

 確かに、署名は12,000人を超えました。ですが、これは日本の総人口の0.01%にすぎません。「東大進学反対」は、少なくとも多数派の意見ではなさそうです。

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

―[貧困東大生・布施川天馬]―

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