過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年11月19日 記事は取材時の状況) * * *
女子会を開催するフリースペースとして、あるいは喫茶店代わりにリモートワークを行う……。近年、ラブホテルの利用シーンが多様化していることはご存じのとおりだろう。そのため、かつての淫猥な印象は薄れつつあるものの、当然ながら男女の情念が渦巻く場所。時には想像の斜め上を行く出来事も起こるようだ。宮瀬翔さん(仮名・39歳)の地元には「何かが起こる」と噂されるラブホテルがあった。
◆「霊感が強い女性」とラブホに
「地元のあるラブホテルが軒を連ねる一角に、やたら安いところがあって。いかにも『事故物件』って感じの場所でした」
今から15年ほど前のこと、合コンで出会った女性と仲を深め、そのホテルに行くことになった。
「自己紹介の時点で霊感が強いと主張しており、若干地雷臭がする人でした。それでもまあ良い雰囲気になったんで、しっぽりしけこむことにしたんです。ただ、持ち合わせがあんまりなくて、やむなく選んだのが例のホテルでした」
つつがなくチェックインを済ませ、部屋に入った際に女性から気になることを言われる。
「『ここはあんまり良くない場所かも』って。何とかなだめつつ、飲み直すつもりで冷蔵庫の中の缶ビールを開けたくらいのタイミングで、明らかに様子がおかしくなったんですよね。急に子供みたいに泣き出して。『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』ってずっと謝り続けて……。それも天井に向かって。はてと見上げてみたんですけど、天井にはシミがあるだけで、何かがあるわけじゃない。なのに、ずっと天井に謝ってる。いくら声をかけてもこっちの言葉には全然反応しないんです」
◆身の危険を感じて「四つん這いで部屋から逃げ出した」
宮瀬さんが唖然としていると、さらに異様な事態になったという。
「女が頭を抱えてうなり始めたんです。えずいた感じで『う~』と……。やべえなと思っていると、身体がだんだんと痺れてくるような感じがしてきたんです。足が痺れた時みたいな感覚が全身にジワジワ広がって……。手足の感覚が無くなり、その場にへたり込みそうになったんで、俺はパニックになりながら四つん這いで部屋から逃げ出したんです」
それから3日間、高熱が出て寝込むことになってしまう。
「ひたすら寝て過ごしたんですが、『天井から知らない女の首が生えてくる夢』を何度も見ました。そのたびに汗をびっしょりかいて起きるんです。熱はなかなか下がらないし、このまま死ぬんじゃないかと思いましたよ。女性を置いて逃げてしまったことは後悔しています。その後、どうなったのか気になりましたが、連絡が来ることはありませんでしたし、こちらからかけても繋がらなくて……」
◆入浴中に気絶してしまった友人も
そのホテルで異様な体験をしたのは、宮瀬さんだけではない。友人の藤原さん(仮名)も怪異に遭遇したという。
「藤原が彼女とそのホテルに行った時の話です。藤原は1人で風呂に入っていたらしいんですけど、気づくと風呂場で倒れていたんだとか。彼女に泣きながら身体を揺さぶられて目を覚ましたそうです」
藤原さんが覚えているのは、身体を洗っているところまでだった。
「なぜ自分は倒れているのか聞いてみると、藤原の後を追って彼女が風呂場に入ると、藤原が白眼をむいて倒れていた。それに首がおかしなことになっていたらしくて。鏡を見てみたら、首を一周するように、ミミズ腫れのような痕が無数に浮き出ていて……」
なぜこんなことになっているのか。よくよく思い返してみると、あることを思い出した。
「誰かが背後にいる気配がしたらしいんです。気づかないうちに彼女が入ってきたのだろうと思い、そちらを向こうと振り返ったところまでは覚えているものの、そこからの記憶がない。彼女が風呂場に入った時には、すでに藤原は倒れていたので、『決して自分ではない』と……」
そのホテルでは女性の首吊り自○があったと噂が流れていた。それから何年か経って、ホテルは潰れたそうだが、建て替えなどはされず、そのまま廃墟になったという。
<TEXT/和泉太郎>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
女子会を開催するフリースペースとして、あるいは喫茶店代わりにリモートワークを行う……。近年、ラブホテルの利用シーンが多様化していることはご存じのとおりだろう。そのため、かつての淫猥な印象は薄れつつあるものの、当然ながら男女の情念が渦巻く場所。時には想像の斜め上を行く出来事も起こるようだ。宮瀬翔さん(仮名・39歳)の地元には「何かが起こる」と噂されるラブホテルがあった。
◆「霊感が強い女性」とラブホに
「地元のあるラブホテルが軒を連ねる一角に、やたら安いところがあって。いかにも『事故物件』って感じの場所でした」
今から15年ほど前のこと、合コンで出会った女性と仲を深め、そのホテルに行くことになった。
「自己紹介の時点で霊感が強いと主張しており、若干地雷臭がする人でした。それでもまあ良い雰囲気になったんで、しっぽりしけこむことにしたんです。ただ、持ち合わせがあんまりなくて、やむなく選んだのが例のホテルでした」
つつがなくチェックインを済ませ、部屋に入った際に女性から気になることを言われる。
「『ここはあんまり良くない場所かも』って。何とかなだめつつ、飲み直すつもりで冷蔵庫の中の缶ビールを開けたくらいのタイミングで、明らかに様子がおかしくなったんですよね。急に子供みたいに泣き出して。『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』ってずっと謝り続けて……。それも天井に向かって。はてと見上げてみたんですけど、天井にはシミがあるだけで、何かがあるわけじゃない。なのに、ずっと天井に謝ってる。いくら声をかけてもこっちの言葉には全然反応しないんです」
◆身の危険を感じて「四つん這いで部屋から逃げ出した」
宮瀬さんが唖然としていると、さらに異様な事態になったという。
「女が頭を抱えてうなり始めたんです。えずいた感じで『う~』と……。やべえなと思っていると、身体がだんだんと痺れてくるような感じがしてきたんです。足が痺れた時みたいな感覚が全身にジワジワ広がって……。手足の感覚が無くなり、その場にへたり込みそうになったんで、俺はパニックになりながら四つん這いで部屋から逃げ出したんです」
それから3日間、高熱が出て寝込むことになってしまう。
「ひたすら寝て過ごしたんですが、『天井から知らない女の首が生えてくる夢』を何度も見ました。そのたびに汗をびっしょりかいて起きるんです。熱はなかなか下がらないし、このまま死ぬんじゃないかと思いましたよ。女性を置いて逃げてしまったことは後悔しています。その後、どうなったのか気になりましたが、連絡が来ることはありませんでしたし、こちらからかけても繋がらなくて……」
◆入浴中に気絶してしまった友人も
そのホテルで異様な体験をしたのは、宮瀬さんだけではない。友人の藤原さん(仮名)も怪異に遭遇したという。
「藤原が彼女とそのホテルに行った時の話です。藤原は1人で風呂に入っていたらしいんですけど、気づくと風呂場で倒れていたんだとか。彼女に泣きながら身体を揺さぶられて目を覚ましたそうです」
藤原さんが覚えているのは、身体を洗っているところまでだった。
「なぜ自分は倒れているのか聞いてみると、藤原の後を追って彼女が風呂場に入ると、藤原が白眼をむいて倒れていた。それに首がおかしなことになっていたらしくて。鏡を見てみたら、首を一周するように、ミミズ腫れのような痕が無数に浮き出ていて……」
なぜこんなことになっているのか。よくよく思い返してみると、あることを思い出した。
「誰かが背後にいる気配がしたらしいんです。気づかないうちに彼女が入ってきたのだろうと思い、そちらを向こうと振り返ったところまでは覚えているものの、そこからの記憶がない。彼女が風呂場に入った時には、すでに藤原は倒れていたので、『決して自分ではない』と……」
そのホテルでは女性の首吊り自○があったと噂が流れていた。それから何年か経って、ホテルは潰れたそうだが、建て替えなどはされず、そのまま廃墟になったという。
<TEXT/和泉太郎>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め