元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」がお届けする連載コラム。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。女優生活2年半が経過したところで引退を決意し、現在は同人作品やセクシービデオの脚本など、あらゆる方面で活躍中。
◆セクシー業界の枕営業事情
世の中の人たちは本当に枕営業ネタが好きである。「あの芸能人は急に売れたから絶対(枕を)やっているぜ!」なんて真実を知りもしないのに騒ぐほど、この手の話題に興味津々らしい。たぶん、人気商売は裏ルート的な方法を使わないとトップになれないイメージが強いからだろう。
こんなことが、本当に令和の時代にも枕営業は存在するのだろうか? 今回は筆者の知る限りでお話していこう。ただ、「寝れば誰もが脚光を浴びられるわけではない」ことは先に伝えておく。この言葉の意味は後程説明するので、頭の片隅に置きながらぜひ読み進めていただきたい。
◆“セクシー業界”というだけで勘違いされがち
まずセクシー業界については、仕事の内容が内容なだけに、枕がバンバン横行していると思われがちだが実際は違う。「枕営業をしなくていいから、芸能系からセクシー女優に転向した」なんて女性もいるほど、みんな意外とクリーンにやっている。
メーカーや事務所面接をして、そのままなし崩しに……なんてのは完全にビデオの中だけの話。枕をしてどうにでもなるのなら、オファーが来なくて引退する人は出てこないだろう。ルックスと数字だけがモノを言うので、“寝技”が使えない結構シビアな世界だ。
あくまで私が知る限りの話のため、どこかの一部では枕営業をする事務所が存在するかもしれないが……。正直なところ、この業界で枕営業をしてもあまりメリットはないし、そもそも監督と寝たところでビッグな仕事など来やしない。
セクシー業界は大人向けコンテンツを扱うので、全部真っ黒だと勘違いされがちなのが悲しい。“セクシー”と言えど人気商売なので、まっさらなホワイトではないが、「オフホワイト」くらいには白いのである。
◆芸能界の枕営業の実態
枕営業とは「〇〇してあげるから、その代わり一晩を共にしてよね」という交換条件のもと成り立つのだが、芸能界の枕はそんなに簡単なものではない。夜職のように「高額シャンパンの代わりにホテルへゴー」とはならず、まぁまぁ複雑な事情が絡むため、私が言える範囲で実態を明かしていこう。
夜職だと枕をするもしないも完全に個人次第で店も干渉しないが、芸能となると事務所によってOK/NGが出てくる。事務所全体がこの営業方法を推奨する場合もあれば、イメージダウンを防ぐために誰にもやらせない、なんてところも。業界では枕を受け入れるor一切受けないなどの情報がすぐに出回るため、クリーンな印象を保ちたい事務所は守りの姿勢に入る。
こうすれば「A事務所は全体的に枕NGだから、それじゃB事務所にあたりましょう」と、きっちり棲み分けが完了するという仕組みだ。ちなみにこればっかりは中に入らないと分からない事情のため、タレント志望者からすると芸能界の闇を感じる瞬間かもしれない。だって、面接の時点で「ウチは枕やってますよ! 大丈夫ですか?」なんてわざわざ言うわけがありませんから……。
◆枕営業をした本人にオファーが来るわけではない!?
トップタレント=枕営業をしまくった猛者の集まりと言われがちだが、寝たからって絶対に物事が良い方向に転ぶとは限らないのが怖いところ。それに絶賛爆売れ中のタレント張本人はねんごろを回避し、事務所の下っ端たちが身代わりとなっているケースも大いに有り得るだろう。
流れを解説すると以下のようになる。
① お偉いさんが事務所に「誰か枕できる子おいる?」と聞く。
② 事務所が下っ端のタレントをお偉いさんに投げ込む。
③ 事務所に大きい仕事が舞い込んでくる。
④ 大きい仕事のメインを張るのはトップタレント(肝心の枕をした子にはチョイ役とか)。
このように、寝た子が必ず日の目を浴びるとは限らない。注目株の顔を立たせるために暗躍し、後ほど自分がビッグになる順番待ちをするか、はたまた後述する「ソッチ要員」になってしまうことも少なくはないのだ。
◆接待要員を用意する業界のクロさ
接待要員の頭数を揃えるために、人材を増やす事務所も珍しくはない。彼女たちに即戦力はないけれど、会社全体が枕を推奨するならコンパニオン的なメンバーも必要不可欠だからだ。ちなみに、いろいろな意味での“選抜メンバー”は枕だけでなく、飲み会のお酌要員などにも呼ばれやすい。
この手のタレントは売れるために割り切るか、もともとパパ活や水商売を生業とし、タレント活動が副業のような状態になっているかの二択。前者は売れないと段々イヤになって芸能界を去るし、後者はハナから有名になる気がないので「タク代いくらもらえるかな」とか「この中からパパ探そう」くらいにしか考えていないため、非常にたくましい精神を持つ。
一般人からすると「なんてクロいシステム」とドン引きするかもしれないけど、ぶっちゃけ今でも行われている風潮の一つ。トコトン突き詰めてまで上に行きたいか、それとも芸能人の肩書だけがほしいために、率先して“ソッチ要員”としての務めを果たすか、あるいはすべてを諦めるか……。こればかりは大きく個人差が出る部分といえようか。
◆枕営業の根絶は難しい
どの業界も、以前ほど枕営業が横行しているわけではなくなった。ただ、一般常識が通用しない人気商売の世界においては、昔ながらのやり方が消えることはないだろう。コンプライアンスがああだの、こうだの言われる時代でも、寝技という営業方法は存在し続けるので、これを根絶するのは不可能に近い。
よく白鳥が水面下で必死に足をバタバタさせながら泳いでいるというけれど、タレントたちは正にそれ。どんなに煌びやかに見えても、その下では禍々しい“ナニか”が必ず潜むのだ。
文/たかなし亜妖
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
―[元セクシー女優のよもやま話]―
◆セクシー業界の枕営業事情
世の中の人たちは本当に枕営業ネタが好きである。「あの芸能人は急に売れたから絶対(枕を)やっているぜ!」なんて真実を知りもしないのに騒ぐほど、この手の話題に興味津々らしい。たぶん、人気商売は裏ルート的な方法を使わないとトップになれないイメージが強いからだろう。
こんなことが、本当に令和の時代にも枕営業は存在するのだろうか? 今回は筆者の知る限りでお話していこう。ただ、「寝れば誰もが脚光を浴びられるわけではない」ことは先に伝えておく。この言葉の意味は後程説明するので、頭の片隅に置きながらぜひ読み進めていただきたい。
◆“セクシー業界”というだけで勘違いされがち
まずセクシー業界については、仕事の内容が内容なだけに、枕がバンバン横行していると思われがちだが実際は違う。「枕営業をしなくていいから、芸能系からセクシー女優に転向した」なんて女性もいるほど、みんな意外とクリーンにやっている。
メーカーや事務所面接をして、そのままなし崩しに……なんてのは完全にビデオの中だけの話。枕をしてどうにでもなるのなら、オファーが来なくて引退する人は出てこないだろう。ルックスと数字だけがモノを言うので、“寝技”が使えない結構シビアな世界だ。
あくまで私が知る限りの話のため、どこかの一部では枕営業をする事務所が存在するかもしれないが……。正直なところ、この業界で枕営業をしてもあまりメリットはないし、そもそも監督と寝たところでビッグな仕事など来やしない。
セクシー業界は大人向けコンテンツを扱うので、全部真っ黒だと勘違いされがちなのが悲しい。“セクシー”と言えど人気商売なので、まっさらなホワイトではないが、「オフホワイト」くらいには白いのである。
◆芸能界の枕営業の実態
枕営業とは「〇〇してあげるから、その代わり一晩を共にしてよね」という交換条件のもと成り立つのだが、芸能界の枕はそんなに簡単なものではない。夜職のように「高額シャンパンの代わりにホテルへゴー」とはならず、まぁまぁ複雑な事情が絡むため、私が言える範囲で実態を明かしていこう。
夜職だと枕をするもしないも完全に個人次第で店も干渉しないが、芸能となると事務所によってOK/NGが出てくる。事務所全体がこの営業方法を推奨する場合もあれば、イメージダウンを防ぐために誰にもやらせない、なんてところも。業界では枕を受け入れるor一切受けないなどの情報がすぐに出回るため、クリーンな印象を保ちたい事務所は守りの姿勢に入る。
こうすれば「A事務所は全体的に枕NGだから、それじゃB事務所にあたりましょう」と、きっちり棲み分けが完了するという仕組みだ。ちなみにこればっかりは中に入らないと分からない事情のため、タレント志望者からすると芸能界の闇を感じる瞬間かもしれない。だって、面接の時点で「ウチは枕やってますよ! 大丈夫ですか?」なんてわざわざ言うわけがありませんから……。
◆枕営業をした本人にオファーが来るわけではない!?
トップタレント=枕営業をしまくった猛者の集まりと言われがちだが、寝たからって絶対に物事が良い方向に転ぶとは限らないのが怖いところ。それに絶賛爆売れ中のタレント張本人はねんごろを回避し、事務所の下っ端たちが身代わりとなっているケースも大いに有り得るだろう。
流れを解説すると以下のようになる。
① お偉いさんが事務所に「誰か枕できる子おいる?」と聞く。
② 事務所が下っ端のタレントをお偉いさんに投げ込む。
③ 事務所に大きい仕事が舞い込んでくる。
④ 大きい仕事のメインを張るのはトップタレント(肝心の枕をした子にはチョイ役とか)。
このように、寝た子が必ず日の目を浴びるとは限らない。注目株の顔を立たせるために暗躍し、後ほど自分がビッグになる順番待ちをするか、はたまた後述する「ソッチ要員」になってしまうことも少なくはないのだ。
◆接待要員を用意する業界のクロさ
接待要員の頭数を揃えるために、人材を増やす事務所も珍しくはない。彼女たちに即戦力はないけれど、会社全体が枕を推奨するならコンパニオン的なメンバーも必要不可欠だからだ。ちなみに、いろいろな意味での“選抜メンバー”は枕だけでなく、飲み会のお酌要員などにも呼ばれやすい。
この手のタレントは売れるために割り切るか、もともとパパ活や水商売を生業とし、タレント活動が副業のような状態になっているかの二択。前者は売れないと段々イヤになって芸能界を去るし、後者はハナから有名になる気がないので「タク代いくらもらえるかな」とか「この中からパパ探そう」くらいにしか考えていないため、非常にたくましい精神を持つ。
一般人からすると「なんてクロいシステム」とドン引きするかもしれないけど、ぶっちゃけ今でも行われている風潮の一つ。トコトン突き詰めてまで上に行きたいか、それとも芸能人の肩書だけがほしいために、率先して“ソッチ要員”としての務めを果たすか、あるいはすべてを諦めるか……。こればかりは大きく個人差が出る部分といえようか。
◆枕営業の根絶は難しい
どの業界も、以前ほど枕営業が横行しているわけではなくなった。ただ、一般常識が通用しない人気商売の世界においては、昔ながらのやり方が消えることはないだろう。コンプライアンスがああだの、こうだの言われる時代でも、寝技という営業方法は存在し続けるので、これを根絶するのは不可能に近い。
よく白鳥が水面下で必死に足をバタバタさせながら泳いでいるというけれど、タレントたちは正にそれ。どんなに煌びやかに見えても、その下では禍々しい“ナニか”が必ず潜むのだ。
文/たかなし亜妖
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
―[元セクシー女優のよもやま話]―