過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年4月27日 記事は取材時の状況) * * *
東京商工リサーチが2023年4月に行なった調査によると、「正社員不足」と回答した企業は、66.5%にも及んだという。企業は人材の確保と退職率の悪化を防ぐため、残業の削減や年間休日の増加など、福利厚生を充実させている。給与や休日が同じラインである場合、福利厚生で職場を選ぶこともあるだろう。
それと近い話になるのかどうかは判断を任せたいところだが、とある“ご褒美”のために働いている奇特な人物も存在する。都内在住の菅野綾香さん(仮名・27歳)は、特殊な条件によってモチベーションを保っている。話を掘り下げていくと、いびつな人間関係が浮かび上がってきた。
◆施工管理の仕事に従事
「私は建築会社で、施工管理の仕事をしています。予算やスケジュール、安全面の管理をする仕事です。厳密にいうとちょっと違うんですが、現場監督みたいなものですかね。今の仕事についたのは、昔から建築に興味があったからです。一応、建築学科も出ています」
菅野さんがともに仕事をするのは、主に職人たちだ。彼らとのコミュニケーションは一筋縄ではいかず、女性だと舐められることも多いそうだ。
◆“ご褒美”は「上司との…」
「職人さんとの仕事は信頼を得られるかが重要ですが、新人の頃は全然ダメでしたね。怒鳴られたこともありますし、無視されたこともありましたね。それだけじゃなくて、今って長時間労働とかにうるさいじゃないですか? なのに工期は昔とあまり変わってなくて、スケジュールに対するプレッシャーも大きいので、かなりハードな仕事なんです」
そのため、1つの現場が終わった後は、長期の休暇を取得できたり、同年代に比べて高い給与を得られているなど、福利厚生に力を入れている。だが、菅野さんが指す“ご褒美”は、求人サイトにおいて大っぴらにアピールされているような話ではない。
それは、「上司との男女関係」だからだ。
◆上司は「50歳手前の既婚者」
「上司は既婚者で、歳は50歳手前。私との年齢差は20歳近くになります。別にイケメンってわけでもないですし、むしろ全くタイプじゃないですね」
では、どうしてその上司に惹かれたのか。
「一つは抜群に仕事ができる点です。そしてもう一つは人として魅力があるっていうか。見た目弱そうなんですけど、職人さんたちからめっちゃ慕われていて、何故かこの人のために頑張りたいと思っちゃうところがあるんですよね」
◆大きな失敗に対して上司の反応は…
そんな上司と男女関係に至ったのは、菅野さんがどん底の状況にいた時だった。
「就職して2年目のころ。きつい現場が続いて、出勤時に吐いてしまうぐらい精神的に追い詰められていたことがあったんです。2年もやったし、もう辞めようとすら思っていました。そんな時にわりと大きな失敗をしてしまって……その時にフォローしてくれたのがその上司でした」
今までの上司なら、菅野さんの至らない点をあげつらい、叱責するようなところにもかかわらず予想に反した対応を見せてくれたのだとか。
「工期を伸ばすことになってしまい、クライアントから思いっきり怒られたんです。しかし、上司は『ここまで現場に向き合うのはなかなかできることじゃない』って褒めてくれたんです。私の失敗も丁寧にフォローしてくれて……仕事が認められている感じがしたのは、初めての経験ですごく嬉しかったんです」
◆助けてくれた上司を異性として意識
ある時にそんな上司と飲みにいくことになり、今まで思い悩んでいたことを打ち明けた。
「年配の職人さんにセクハラされていて、何の気なしにそのことで愚痴をこぼしたんです。そうしたら『君に対してそんな真似をするヤツは許さない。俺が何とかする』と。実際、ほどなくしてセクハラしてきた職人さんの姿がなくなりました。人づてに聞いた話ですが、何らかの力が働いたようで……」
自らを助けてくれた上司を異性として意識するまでさほど時間はかからなかった。それから何度か2人で飲みに行き、菅野さんは上司と身体の関係を持った。関係はその後長らく続いている。
「飲みに行って、仕事の話をして褒めてもらう。それからホテルに行くか、ウチに来て……っていう感じで、月に1回モチベーションを保つうえで欠かせない行事のようになっています。正直、今も仕事はつらいですが、その時のためだけにがんばっている感じはありますよ。どんな福利厚生よりも役に立っていると思っています」
充実した日々を送っているかと思いきや、目下の悩みがあるそうだ。
「前の部署にいた時に一緒だった事務の女性社員と怪しい感じがして……。今は仕事の接点はないはずなのに、ちょいちょい連絡を取っているみたいで。こればっかりは許せないんですよね……」
仕事を続ける理由は人それぞれ。あなたの同僚も意外なことをモチベーションにして、仕事に励んでいるのかもしれない。
<TEXT/和泉太郎>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
東京商工リサーチが2023年4月に行なった調査によると、「正社員不足」と回答した企業は、66.5%にも及んだという。企業は人材の確保と退職率の悪化を防ぐため、残業の削減や年間休日の増加など、福利厚生を充実させている。給与や休日が同じラインである場合、福利厚生で職場を選ぶこともあるだろう。
それと近い話になるのかどうかは判断を任せたいところだが、とある“ご褒美”のために働いている奇特な人物も存在する。都内在住の菅野綾香さん(仮名・27歳)は、特殊な条件によってモチベーションを保っている。話を掘り下げていくと、いびつな人間関係が浮かび上がってきた。
◆施工管理の仕事に従事
「私は建築会社で、施工管理の仕事をしています。予算やスケジュール、安全面の管理をする仕事です。厳密にいうとちょっと違うんですが、現場監督みたいなものですかね。今の仕事についたのは、昔から建築に興味があったからです。一応、建築学科も出ています」
菅野さんがともに仕事をするのは、主に職人たちだ。彼らとのコミュニケーションは一筋縄ではいかず、女性だと舐められることも多いそうだ。
◆“ご褒美”は「上司との…」
「職人さんとの仕事は信頼を得られるかが重要ですが、新人の頃は全然ダメでしたね。怒鳴られたこともありますし、無視されたこともありましたね。それだけじゃなくて、今って長時間労働とかにうるさいじゃないですか? なのに工期は昔とあまり変わってなくて、スケジュールに対するプレッシャーも大きいので、かなりハードな仕事なんです」
そのため、1つの現場が終わった後は、長期の休暇を取得できたり、同年代に比べて高い給与を得られているなど、福利厚生に力を入れている。だが、菅野さんが指す“ご褒美”は、求人サイトにおいて大っぴらにアピールされているような話ではない。
それは、「上司との男女関係」だからだ。
◆上司は「50歳手前の既婚者」
「上司は既婚者で、歳は50歳手前。私との年齢差は20歳近くになります。別にイケメンってわけでもないですし、むしろ全くタイプじゃないですね」
では、どうしてその上司に惹かれたのか。
「一つは抜群に仕事ができる点です。そしてもう一つは人として魅力があるっていうか。見た目弱そうなんですけど、職人さんたちからめっちゃ慕われていて、何故かこの人のために頑張りたいと思っちゃうところがあるんですよね」
◆大きな失敗に対して上司の反応は…
そんな上司と男女関係に至ったのは、菅野さんがどん底の状況にいた時だった。
「就職して2年目のころ。きつい現場が続いて、出勤時に吐いてしまうぐらい精神的に追い詰められていたことがあったんです。2年もやったし、もう辞めようとすら思っていました。そんな時にわりと大きな失敗をしてしまって……その時にフォローしてくれたのがその上司でした」
今までの上司なら、菅野さんの至らない点をあげつらい、叱責するようなところにもかかわらず予想に反した対応を見せてくれたのだとか。
「工期を伸ばすことになってしまい、クライアントから思いっきり怒られたんです。しかし、上司は『ここまで現場に向き合うのはなかなかできることじゃない』って褒めてくれたんです。私の失敗も丁寧にフォローしてくれて……仕事が認められている感じがしたのは、初めての経験ですごく嬉しかったんです」
◆助けてくれた上司を異性として意識
ある時にそんな上司と飲みにいくことになり、今まで思い悩んでいたことを打ち明けた。
「年配の職人さんにセクハラされていて、何の気なしにそのことで愚痴をこぼしたんです。そうしたら『君に対してそんな真似をするヤツは許さない。俺が何とかする』と。実際、ほどなくしてセクハラしてきた職人さんの姿がなくなりました。人づてに聞いた話ですが、何らかの力が働いたようで……」
自らを助けてくれた上司を異性として意識するまでさほど時間はかからなかった。それから何度か2人で飲みに行き、菅野さんは上司と身体の関係を持った。関係はその後長らく続いている。
「飲みに行って、仕事の話をして褒めてもらう。それからホテルに行くか、ウチに来て……っていう感じで、月に1回モチベーションを保つうえで欠かせない行事のようになっています。正直、今も仕事はつらいですが、その時のためだけにがんばっている感じはありますよ。どんな福利厚生よりも役に立っていると思っています」
充実した日々を送っているかと思いきや、目下の悩みがあるそうだ。
「前の部署にいた時に一緒だった事務の女性社員と怪しい感じがして……。今は仕事の接点はないはずなのに、ちょいちょい連絡を取っているみたいで。こればっかりは許せないんですよね……」
仕事を続ける理由は人それぞれ。あなたの同僚も意外なことをモチベーションにして、仕事に励んでいるのかもしれない。
<TEXT/和泉太郎>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め