節約が好きな人にとって、努力が数字として表れたときやポイントをためてサービス特典を受けたときなどは、格別な嬉しさを感じることも少なくないようだ。本来なら何ら問題のない微笑ましい状況だが、今回はそんな些細な楽しみが凶器となったケースを紹介したい。
◆ポイ活趣味はラブホでも
喜田基樹さん(仮名・36歳)は、節約したりポイントを集めたりするのが大好き。ドラッグストアやスーパー、オンラインショップなどの買い物はもちろん、施設やサービスを利用するときにもしっかりとポイントをため、キャンペーンやクーポンも駆使して特典を楽しむ。
「お金に困っているというわけではなく、あくまでも趣味。ポイントがたまって商品と交換する瞬間や割引を受けられたときのあの達成感が快感なんです。いまは会社経営者ですが、昔は母ひとり子ひとりで切り詰めた生活だったというのも影響しているかもしれません」
紆余曲折を経て従業員5人の会社経営者にまでのぼり詰めた喜田さんは、忙しいながらも充実した毎日を送っていた。そんな日々をさらに彩ってくれるのが、節約。そして、ポイントに応じた特典の還元だ。
「各ラブホテルでも率先し、ポイントカード作成やアプリ会員への登録をしてポイ活に励んでいました。ポイントに応じて休憩や宿泊が割引されたり無料になったりするほか、アクセサリーや家具、家電など景品が豊富なラブホテルも結構あります」
◆10代の頃から苦楽を共にしてきた妻
喜田さんいわく、「なかには、『男のクセに細かいね』『ケチ臭い』などと嫌味を言うパートナーもいましたが、そういう人とは長続きしない。価値観が合わないのだと、きっぱりサヨナラしています」とアッサリ。
「ポイントカードの作成なんて、ちょっとした手間。しかも、ポイントを付けるなんて一瞬のことです。それで割引や特典が受けられるのだから、細かいもケチもないでしょう。そういうことをやらず、細かいだのケチだの言っているほうが馬鹿だと思っていたのです」
いくら経営している会社の調子が良いとはいえ、散財するわけにはいかない。使えるお金だって、ある程度は決まっている。そのようななか、ポイントをためて特典で部屋をグレードアップしたり特典でちょっとしたプレゼントをしたりすると、喜んでくれる相手も多い。
「そういった事情もあり、部屋がキレイで利用料金がリーズナブルなことに加え、会員特典が魅力的なホテルを探して利用するのも楽しみのひとつになっていました。それはまるで、宝探しのよう。大袈裟かもしれませんが、生きがいのようにもなっていました」
そんな喜田さん、実は既婚者。10代の頃から苦楽をともにしてきたN子という妻がいながら、不倫や一夜限りの遊びを繰り返していた。そして驚くことに、不倫相手たちと同じラブホテルを妻N子さんとも利用。ポイントが分散するのを防いでいたのだ。
「バレないと思っていたのには理由があって、妻は散財や浪費はしないが、節約やポイントカードなどにはまったく興味なし。そのため、『絶対にバレるはずがない』と高を括っていたのです。そして妻の前でも、平気でポイントをためたり使ったりしていました」
◆背後から妻の低い声が…
ところがそんなある日、ラブホテル料金を清算していると背後から、「この前も、割引特典を使ってたわよね?」と妻の低い声が。そして、「前から怪しいと思っていて、いままで、ずっと計算してたのよ!」と、ホテル内に設置してあるタブレットを突きつけてきたのだ。
「そこに表示されていたのは、いつも妻が眠ったあとにニヤニヤしながら僕が眺めているページ。ポイントがどのようにたまっていくのかに加え、受けられる特典などが掲載されているページでした。咄嗟のことに言い訳も思いつかず、観念するしかなかったのです」
◆不倫の慰謝料は300万円
不倫の事実を白状させられた喜田さんは、妻N子さんの代理人弁護士を通じて離婚。不倫の慰謝料として300万円も支払うことになり、「これまでためてきたポイントや特典のお得分はすべて失ったのではないか」と後悔する。
「それに、妻は10代の頃から僕を支え続けてくれた人。ポイントをためることや割引・キャンペーン利用に興味はなかったけれど、無駄遣いせず、『自営業は、いつどうなるかわからない』と、かなり貯金してくれていたことも離婚時にわかりました。後悔しかありません」
ラブホテルでのお得分はもちろん、それ以上の金銭や大切な伴侶までも失うハメになった喜田さん。節約やポイ活がお得につながっていると信じて行動していたようだが、妻を大切にするなど、もっと率先すべきことがあったかもしれない。<TEXT/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
―[ラブホの珍エピソード]―
◆ポイ活趣味はラブホでも
喜田基樹さん(仮名・36歳)は、節約したりポイントを集めたりするのが大好き。ドラッグストアやスーパー、オンラインショップなどの買い物はもちろん、施設やサービスを利用するときにもしっかりとポイントをため、キャンペーンやクーポンも駆使して特典を楽しむ。
「お金に困っているというわけではなく、あくまでも趣味。ポイントがたまって商品と交換する瞬間や割引を受けられたときのあの達成感が快感なんです。いまは会社経営者ですが、昔は母ひとり子ひとりで切り詰めた生活だったというのも影響しているかもしれません」
紆余曲折を経て従業員5人の会社経営者にまでのぼり詰めた喜田さんは、忙しいながらも充実した毎日を送っていた。そんな日々をさらに彩ってくれるのが、節約。そして、ポイントに応じた特典の還元だ。
「各ラブホテルでも率先し、ポイントカード作成やアプリ会員への登録をしてポイ活に励んでいました。ポイントに応じて休憩や宿泊が割引されたり無料になったりするほか、アクセサリーや家具、家電など景品が豊富なラブホテルも結構あります」
◆10代の頃から苦楽を共にしてきた妻
喜田さんいわく、「なかには、『男のクセに細かいね』『ケチ臭い』などと嫌味を言うパートナーもいましたが、そういう人とは長続きしない。価値観が合わないのだと、きっぱりサヨナラしています」とアッサリ。
「ポイントカードの作成なんて、ちょっとした手間。しかも、ポイントを付けるなんて一瞬のことです。それで割引や特典が受けられるのだから、細かいもケチもないでしょう。そういうことをやらず、細かいだのケチだの言っているほうが馬鹿だと思っていたのです」
いくら経営している会社の調子が良いとはいえ、散財するわけにはいかない。使えるお金だって、ある程度は決まっている。そのようななか、ポイントをためて特典で部屋をグレードアップしたり特典でちょっとしたプレゼントをしたりすると、喜んでくれる相手も多い。
「そういった事情もあり、部屋がキレイで利用料金がリーズナブルなことに加え、会員特典が魅力的なホテルを探して利用するのも楽しみのひとつになっていました。それはまるで、宝探しのよう。大袈裟かもしれませんが、生きがいのようにもなっていました」
そんな喜田さん、実は既婚者。10代の頃から苦楽をともにしてきたN子という妻がいながら、不倫や一夜限りの遊びを繰り返していた。そして驚くことに、不倫相手たちと同じラブホテルを妻N子さんとも利用。ポイントが分散するのを防いでいたのだ。
「バレないと思っていたのには理由があって、妻は散財や浪費はしないが、節約やポイントカードなどにはまったく興味なし。そのため、『絶対にバレるはずがない』と高を括っていたのです。そして妻の前でも、平気でポイントをためたり使ったりしていました」
◆背後から妻の低い声が…
ところがそんなある日、ラブホテル料金を清算していると背後から、「この前も、割引特典を使ってたわよね?」と妻の低い声が。そして、「前から怪しいと思っていて、いままで、ずっと計算してたのよ!」と、ホテル内に設置してあるタブレットを突きつけてきたのだ。
「そこに表示されていたのは、いつも妻が眠ったあとにニヤニヤしながら僕が眺めているページ。ポイントがどのようにたまっていくのかに加え、受けられる特典などが掲載されているページでした。咄嗟のことに言い訳も思いつかず、観念するしかなかったのです」
◆不倫の慰謝料は300万円
不倫の事実を白状させられた喜田さんは、妻N子さんの代理人弁護士を通じて離婚。不倫の慰謝料として300万円も支払うことになり、「これまでためてきたポイントや特典のお得分はすべて失ったのではないか」と後悔する。
「それに、妻は10代の頃から僕を支え続けてくれた人。ポイントをためることや割引・キャンペーン利用に興味はなかったけれど、無駄遣いせず、『自営業は、いつどうなるかわからない』と、かなり貯金してくれていたことも離婚時にわかりました。後悔しかありません」
ラブホテルでのお得分はもちろん、それ以上の金銭や大切な伴侶までも失うハメになった喜田さん。節約やポイ活がお得につながっていると信じて行動していたようだが、妻を大切にするなど、もっと率先すべきことがあったかもしれない。<TEXT/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
―[ラブホの珍エピソード]―