飽食の時代、寿司・焼肉・カレー・スイーツなど、あらゆるものが好きな時に食べられる日本。そんな状況にあって、徹底的に同じものを食べる人も存在する。人気ラーメンチェーン「来来亭」に毎日通い続ける男性、ラーメン マソ氏(49歳)もその一人。
体には悪くないのか? 毎日食べ続けるほどの魅力は何なのか? 本人を直撃した。
◆「1日に3杯ずつ食べていた」時期もある
「来来亭」に毎日通い始めて16年以上というラーメン マソ氏。元々、ラーメン好きで毎週末通う店があった。しかし、その店の営業時間が変わったことで、タイミングが合わなくなり足が遠のいてしまうことに。そんな時、来来亭に入店してその味に感動したマソ氏は、昼にラーメンを食べて、夜にまた晩酌がてらの来店をすることもあるのだとか。さらに、最も足繁く通った時期について聞くと、驚きの答えが返って来た。
「2009年にポイント制度が始まったんです(※現在はアプリに移行)。1杯で1ポイントついて、80ポイント貯めると、1か月間毎日1杯無料。そのスタートダッシュキャンペーンで1杯で2ポイントになっていて、40杯で特典が受けられたんです。『日本で一番になってやろう』と決めて、2週間で達成しました」
つまり、1日に3杯ずつ食べるという驚異的な勢いで達成したことになる。
この記録は、来来亭社長の豆田敏典氏の耳にも届き、それがラーメン マソ氏のピンチを救うことになる。
◆来来亭の社長から粋な計らいが
16年食べ続けても飽きることなく、熱量たっぷりに魅力を語るラーメン マソ氏だが、一度、心が折れかけたこともあったのだという。
「ポイントを最速で貯めた後も、無料特典は使わずにポイントを貯め続けていました。12枚貯めて1年間無料にしようと思っていたんです。しかし、5枚貯めたところでカードを紛失してしまったんですよ。すでに400杯くらい食べていたので、ものすごいショックでした」
まさにライフワークになっていた来来亭のポイントが、カードの紛失という形で消滅。生きがいでもあった目標が振り出しに戻り、諦めかけたラーメン マソ氏だったが……。
「ホームグラウンドである鎌倉台店(名古屋市)の店長に紛失したことを話したら、なんと豆田社長から、特別に再発行の許可が出たんです! しかも、存在しない『年間パス』を作ってくれるということになり、さらにそれを社長直々に手渡ししてくださると!」
そうして、無事に来来亭の年間パスを手に入れるに至った。ポイント制度の驚異的な最速達成で、社長にまで名が通っていたことが、ここでラーメン マソ氏を救ったのだ。
◆なぜ毎日食べても飽きないのか
1日に何度も通ったりしながら毎日食べ続けると、シンプルに飽きるのではないかという、率直な疑問も湧いてくるのだが。
「来来亭のラーメンは、突出したクセのあるラーメンではないんです。特徴的なものであれば、最初は美味しくても飽きが来るのも早いと思いますが、来来亭さんは違います。豆田社長も以前に『90点のラーメンを提供する。あと10点はお客様でカスタムしてもらう』という話をされていましたし、お店にも『毎日でも食べられるラーメン』と、大きく書かれていました」
そこで、そんな来来亭のラーメンを誰よりも食べていると言える、ラーメン マソ氏に解説してもらった。
「私がよく食べるのはスタンダードな『醤油ラーメン』です。背脂が浮いていて、こってりに見えますが、スープを飲んでみるとすっきり感もあって美味しいんです。麺も低加水と言われるものなので、パツパツとした歯切れがあって心地いんですよ」
◆気になる健康診断の結果は…
いくら好きだとはいえ、脂質・糖質・塩分が多いイメージのあるラーメン。毎日食べると、太ることはないのだろうか。
「毎日来来亭を食べていることで、来来亭が原因では太らないということがわかります。この16年、来来亭だけに専念した日々では太ったことはありません。でも、他のチェーン店に浮気をすると太るんです。あるとき某ファストフード店で毎週新しいバーガーが展開される時期があって、その全種類を食べまくったんですよ。その時は如実に太りましたね」
見た目の上では、来来亭のラーメンだけで太ることはなくても、健康診断で悪い数値が出そうに思えるが、そちらについても医者から「問題なし」とのお墨付きをもらっているとのこと。
◆失われていた親族との縁を取り戻すことに
ラーメン マソ氏の活動が、彼自身にとって思わぬ展開を招いた事例もあるそうだ。それは、情報番組で同氏が取り上げられたことに端を発する。
「私を特集した番組を、沖縄に住むいとこが偶然に見かけて連絡をくれたんです!私は大阪生まれなんですが、私を産んだ翌月になくなった母がウチナーンチュ(沖縄人)でした。私も幼少期に沖縄に預けられていたこともありましたが、18歳の頃以降は音信不通になっていました。そこから、20年以上経っているのに、いとこは私だとわかってくれたんです! そして、生まれ故郷である沖縄との交流が再び始まりました」
今では、来来亭に通うかたわら、年に何度かは沖縄に帰るというラーメン マソ氏。来来亭は人の縁まで繋いだのだった。
星の数ほど飲食店が存在するなか、これだけひとつのチェーン店に通う人物はかなり稀なはず。健康に気を付け、末永く一途に思い続けていただきたいものだ。
<取材・文/Mr.tsubaking>
【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
体には悪くないのか? 毎日食べ続けるほどの魅力は何なのか? 本人を直撃した。
◆「1日に3杯ずつ食べていた」時期もある
「来来亭」に毎日通い始めて16年以上というラーメン マソ氏。元々、ラーメン好きで毎週末通う店があった。しかし、その店の営業時間が変わったことで、タイミングが合わなくなり足が遠のいてしまうことに。そんな時、来来亭に入店してその味に感動したマソ氏は、昼にラーメンを食べて、夜にまた晩酌がてらの来店をすることもあるのだとか。さらに、最も足繁く通った時期について聞くと、驚きの答えが返って来た。
「2009年にポイント制度が始まったんです(※現在はアプリに移行)。1杯で1ポイントついて、80ポイント貯めると、1か月間毎日1杯無料。そのスタートダッシュキャンペーンで1杯で2ポイントになっていて、40杯で特典が受けられたんです。『日本で一番になってやろう』と決めて、2週間で達成しました」
つまり、1日に3杯ずつ食べるという驚異的な勢いで達成したことになる。
この記録は、来来亭社長の豆田敏典氏の耳にも届き、それがラーメン マソ氏のピンチを救うことになる。
◆来来亭の社長から粋な計らいが
16年食べ続けても飽きることなく、熱量たっぷりに魅力を語るラーメン マソ氏だが、一度、心が折れかけたこともあったのだという。
「ポイントを最速で貯めた後も、無料特典は使わずにポイントを貯め続けていました。12枚貯めて1年間無料にしようと思っていたんです。しかし、5枚貯めたところでカードを紛失してしまったんですよ。すでに400杯くらい食べていたので、ものすごいショックでした」
まさにライフワークになっていた来来亭のポイントが、カードの紛失という形で消滅。生きがいでもあった目標が振り出しに戻り、諦めかけたラーメン マソ氏だったが……。
「ホームグラウンドである鎌倉台店(名古屋市)の店長に紛失したことを話したら、なんと豆田社長から、特別に再発行の許可が出たんです! しかも、存在しない『年間パス』を作ってくれるということになり、さらにそれを社長直々に手渡ししてくださると!」
そうして、無事に来来亭の年間パスを手に入れるに至った。ポイント制度の驚異的な最速達成で、社長にまで名が通っていたことが、ここでラーメン マソ氏を救ったのだ。
◆なぜ毎日食べても飽きないのか
1日に何度も通ったりしながら毎日食べ続けると、シンプルに飽きるのではないかという、率直な疑問も湧いてくるのだが。
「来来亭のラーメンは、突出したクセのあるラーメンではないんです。特徴的なものであれば、最初は美味しくても飽きが来るのも早いと思いますが、来来亭さんは違います。豆田社長も以前に『90点のラーメンを提供する。あと10点はお客様でカスタムしてもらう』という話をされていましたし、お店にも『毎日でも食べられるラーメン』と、大きく書かれていました」
そこで、そんな来来亭のラーメンを誰よりも食べていると言える、ラーメン マソ氏に解説してもらった。
「私がよく食べるのはスタンダードな『醤油ラーメン』です。背脂が浮いていて、こってりに見えますが、スープを飲んでみるとすっきり感もあって美味しいんです。麺も低加水と言われるものなので、パツパツとした歯切れがあって心地いんですよ」
◆気になる健康診断の結果は…
いくら好きだとはいえ、脂質・糖質・塩分が多いイメージのあるラーメン。毎日食べると、太ることはないのだろうか。
「毎日来来亭を食べていることで、来来亭が原因では太らないということがわかります。この16年、来来亭だけに専念した日々では太ったことはありません。でも、他のチェーン店に浮気をすると太るんです。あるとき某ファストフード店で毎週新しいバーガーが展開される時期があって、その全種類を食べまくったんですよ。その時は如実に太りましたね」
見た目の上では、来来亭のラーメンだけで太ることはなくても、健康診断で悪い数値が出そうに思えるが、そちらについても医者から「問題なし」とのお墨付きをもらっているとのこと。
◆失われていた親族との縁を取り戻すことに
ラーメン マソ氏の活動が、彼自身にとって思わぬ展開を招いた事例もあるそうだ。それは、情報番組で同氏が取り上げられたことに端を発する。
「私を特集した番組を、沖縄に住むいとこが偶然に見かけて連絡をくれたんです!私は大阪生まれなんですが、私を産んだ翌月になくなった母がウチナーンチュ(沖縄人)でした。私も幼少期に沖縄に預けられていたこともありましたが、18歳の頃以降は音信不通になっていました。そこから、20年以上経っているのに、いとこは私だとわかってくれたんです! そして、生まれ故郷である沖縄との交流が再び始まりました」
今では、来来亭に通うかたわら、年に何度かは沖縄に帰るというラーメン マソ氏。来来亭は人の縁まで繋いだのだった。
星の数ほど飲食店が存在するなか、これだけひとつのチェーン店に通う人物はかなり稀なはず。健康に気を付け、末永く一途に思い続けていただきたいものだ。
<取材・文/Mr.tsubaking>
【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。