本当なら隠しておきたいことも、それが難しいという場合もある。相手が大好きな人なら、なおさら。ならば、どうすれば相手に受け入れてもらえるかを必死で考えるかもしれない。そんなとき、相手の対応が想像をはるかに超える酷いものだったとしたら…。
◆ラブホでなら告白できる
重森瑞樹さん(仮名・20代後半)は、付き合って半年ちょっとの彼氏Fさんとの今後について悩んでいた。Fさんはいつも、瑞樹さんのことを「かわいい」と頭をナデナデしてくれるやさしい彼氏。好きすぎて困るほどだったからこそ、知っておいてほしいことがあった。
「本当だったら、ずっと隠しておきたいこと。でも、そんなことできるはずもなく、どのタイミングでカミングアウトするべきか、常に悩んでいました。職場の同僚に相談すると、毎回彼氏ができるたび、ラブホでカミングアウトすると言うのです」
どうしてラブホテルなのか尋ねてみると、「ラブホは普通のホテルと違って、窓に木の板が嵌め込んであるところが多いから」との回答。「なるほど!」と思った瑞樹さんは、さっそく彼氏とラブホテルへ行く計画を立て、作戦を実行した。
「いつもは、彼Fの家に遊びに行った流れで行為をするという感じでした。でもFも、たまには気分転換にラブホへ行きたいと思っていたらしいのです。イイ感じで話がまとまり、休日前のゆっくりできる日にオシャレなラブホへ行きました」
◆「ごめん…誰?」彼からのあり得ない質問
そして、いつもどおりラブラブのひとときを過ごした2人。けれどそのあとは、Fさんが翌朝どのような反応するかを想像し、ドキドキと不安で朝方まで眠れなかった。そして次の瞬間、瑞樹さんは、「ひやっ!」という驚きの声とともに、布団が剥がれる感覚で目が覚める。
「どうやら私、いつの間にか寝落ちてしまっていたようです。そのあとすぐ、彼氏が驚いて飛び起きたことに気づきました。それと同じぐらいのタイミングで、『ごめん…誰…?』と、彼氏からのあり得ない質問が飛んできたのです」
戸惑いのため一瞬は思考が停止した瑞樹さんだったが、すぐに昨晩のことを思い出す。そう、ラブホテルでラブラブの時間を過ごしたあと、瑞樹さんは彼氏が眠ったのを見計らい、化粧を落としてベッドに入ったのだった。
「この先もずっと、すっぴん”を見せないわけにもいかないと悩んだ末のこと。決死の覚悟でした。カミングアウトする場所をラブホにしたのも、『木枠が嵌め込んであり、照明も暗いため、朝になっても薄暗いところが多い』と職場の同僚が教えてくれたからです」
◆自分の“素顔”を見せられると思って
普段お泊りをする彼の家は、常にレースカーテンのみ。向こう側からは見えにくい仕様になっているが、朝陽などは眩しいぐらいに差し込んでくる。そのため、お泊りをしたときにもメイクをしたまま就寝。朝は彼氏よりも早く起きて化粧を完璧に直していたのだ。
「でも、同棲や結婚をしたら、そういうわけにもいかない。これからも彼氏との関係を続けていきたいと思ったからこそ、少しずつ自分の“すっぴん”に慣れてもらいたいと思ったのです。そんな私の気持ちも考えず、彼氏は『えっ…、まさか瑞樹…?』と狼狽えるばかり」
瑞樹さんは、「化粧しているときの自分は“すっぴん”とそれほどまでに違うのか」とショックを受けるとともに、「それにしても、態度があからさますぎ!」という気持ちが込み上げてきたという。そして、「は?マジで失礼なんだけど!」と彼氏に枕を投げつけた。
◆「他人なわけないだろ」怒りちらす彼女
「そのあと、『いっしょにホテルに来て泊まっているのに、他人なわけないだろ!』と怒りをぶちまけましたが、このときはまだ、『化粧したときと“すっぴん”では全然違うって自分でもわかってるし、彼氏が驚くのも無理はないよね』という気持ちもありました」
ところが彼氏は、「だって、あまりにもいつもと違うから」「本当に別人かと思って…ごめん!」「ごめん、ごめんなんだけど、まずはいつも通りの顔になって」など、焦りからなのか何なのか、失礼な言葉の数々が飛び出すばかり。
「これには、心の底から怒りが込み上げてきました。彼氏を怒鳴り散らし、ラブホの料金を精算させて帰宅。即刻、別れのメッセージを送っています。“すっぴん”を受け入れるかどうかは相手次第なので私が怒ることではないですが、さすがにあの態度は酷すぎました」
男性もメイクをする時代。性別に関係なく、パートナーにどのタイミングで“すっぴん”を見せるかは悩みの種であり、相当な勇気が必要だという人も少なくない。メイク姿とのギャップに驚くこともあるかもしれないが、相手の気持ちも配慮した対応を心がけたいものだ。<TEXT/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
◆ラブホでなら告白できる
重森瑞樹さん(仮名・20代後半)は、付き合って半年ちょっとの彼氏Fさんとの今後について悩んでいた。Fさんはいつも、瑞樹さんのことを「かわいい」と頭をナデナデしてくれるやさしい彼氏。好きすぎて困るほどだったからこそ、知っておいてほしいことがあった。
「本当だったら、ずっと隠しておきたいこと。でも、そんなことできるはずもなく、どのタイミングでカミングアウトするべきか、常に悩んでいました。職場の同僚に相談すると、毎回彼氏ができるたび、ラブホでカミングアウトすると言うのです」
どうしてラブホテルなのか尋ねてみると、「ラブホは普通のホテルと違って、窓に木の板が嵌め込んであるところが多いから」との回答。「なるほど!」と思った瑞樹さんは、さっそく彼氏とラブホテルへ行く計画を立て、作戦を実行した。
「いつもは、彼Fの家に遊びに行った流れで行為をするという感じでした。でもFも、たまには気分転換にラブホへ行きたいと思っていたらしいのです。イイ感じで話がまとまり、休日前のゆっくりできる日にオシャレなラブホへ行きました」
◆「ごめん…誰?」彼からのあり得ない質問
そして、いつもどおりラブラブのひとときを過ごした2人。けれどそのあとは、Fさんが翌朝どのような反応するかを想像し、ドキドキと不安で朝方まで眠れなかった。そして次の瞬間、瑞樹さんは、「ひやっ!」という驚きの声とともに、布団が剥がれる感覚で目が覚める。
「どうやら私、いつの間にか寝落ちてしまっていたようです。そのあとすぐ、彼氏が驚いて飛び起きたことに気づきました。それと同じぐらいのタイミングで、『ごめん…誰…?』と、彼氏からのあり得ない質問が飛んできたのです」
戸惑いのため一瞬は思考が停止した瑞樹さんだったが、すぐに昨晩のことを思い出す。そう、ラブホテルでラブラブの時間を過ごしたあと、瑞樹さんは彼氏が眠ったのを見計らい、化粧を落としてベッドに入ったのだった。
「この先もずっと、すっぴん”を見せないわけにもいかないと悩んだ末のこと。決死の覚悟でした。カミングアウトする場所をラブホにしたのも、『木枠が嵌め込んであり、照明も暗いため、朝になっても薄暗いところが多い』と職場の同僚が教えてくれたからです」
◆自分の“素顔”を見せられると思って
普段お泊りをする彼の家は、常にレースカーテンのみ。向こう側からは見えにくい仕様になっているが、朝陽などは眩しいぐらいに差し込んでくる。そのため、お泊りをしたときにもメイクをしたまま就寝。朝は彼氏よりも早く起きて化粧を完璧に直していたのだ。
「でも、同棲や結婚をしたら、そういうわけにもいかない。これからも彼氏との関係を続けていきたいと思ったからこそ、少しずつ自分の“すっぴん”に慣れてもらいたいと思ったのです。そんな私の気持ちも考えず、彼氏は『えっ…、まさか瑞樹…?』と狼狽えるばかり」
瑞樹さんは、「化粧しているときの自分は“すっぴん”とそれほどまでに違うのか」とショックを受けるとともに、「それにしても、態度があからさますぎ!」という気持ちが込み上げてきたという。そして、「は?マジで失礼なんだけど!」と彼氏に枕を投げつけた。
◆「他人なわけないだろ」怒りちらす彼女
「そのあと、『いっしょにホテルに来て泊まっているのに、他人なわけないだろ!』と怒りをぶちまけましたが、このときはまだ、『化粧したときと“すっぴん”では全然違うって自分でもわかってるし、彼氏が驚くのも無理はないよね』という気持ちもありました」
ところが彼氏は、「だって、あまりにもいつもと違うから」「本当に別人かと思って…ごめん!」「ごめん、ごめんなんだけど、まずはいつも通りの顔になって」など、焦りからなのか何なのか、失礼な言葉の数々が飛び出すばかり。
「これには、心の底から怒りが込み上げてきました。彼氏を怒鳴り散らし、ラブホの料金を精算させて帰宅。即刻、別れのメッセージを送っています。“すっぴん”を受け入れるかどうかは相手次第なので私が怒ることではないですが、さすがにあの態度は酷すぎました」
男性もメイクをする時代。性別に関係なく、パートナーにどのタイミングで“すっぴん”を見せるかは悩みの種であり、相当な勇気が必要だという人も少なくない。メイク姿とのギャップに驚くこともあるかもしれないが、相手の気持ちも配慮した対応を心がけたいものだ。<TEXT/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意