最近SNSでも話題になりがちな“あおり運転”。あなたは実際に運転中に煽られた経験はあるだろうか。車好きのサラリーマン、伊東亮さん(仮名・42歳)は忘れられない出来事があるという。
「憧れのスポーツカーをようやく手に入れたばかりの頃の出来事です。車で遠出して遊びに行くのが休日の楽しみになっていました。その日も家族で出かけていて、帰り道だったんです。峠の曲がりくねった道を走っていると、後ろから強めのライトが当たっていることにふと気づきました」
◆ふと気づくと、黒い車に煽られていた
背後から眩しく照らされるハイビームに伊東さんは違和感を感じたそうだ。
「バックミラーをみると、黒色のスポーツカーがピッタリとすぐ後ろについていました。異様に車間距離が近く、いわゆるあおり運転でした。僕は普通のスピードで走っていたのですが、買いたての車は真っ赤なイタリア製のスポーツカーで正直目立っていたんです。目障りに思ったのか、勝負を挑まれたのかは分かりませんが、左右に横揺れされたりと明らかに挑発されました。その峠は走り屋たちが集まって腕を競い合う場として有名でした。
実は、僕はもともと走り屋で若い頃は随分と車を乗り回していました。恥ずかしいですが、昔はスピード狂でキップを渡されることも。売られた勝負には乗るタイプの性分なので、『そっちがその気ならこっちだって……!』と、その時もスピードを出して振り切ってしまおうかと一瞬血が騒ぎました。しかし助手席には妻が、後部座席には小学生の娘が乗っていたんです。だから『ここは我慢!』と歯を食いしばって耐えることにしました」
◆夜道の峠をどこまでもついてくる恐怖
繰り返されるあおり運転。相手からの挑発に伊東さんはいらだちを隠せなかったと語る。
「途中、道を譲ろうとしたのですが、相手は頑として追い越して行きませんでした。僕が走り出すのをじっと待っているんです。その時初めて得体のしれない相手に恐怖を抱きました。夜道の峠で周りも暗く、余計に怪しさが漂っていましたね。それにしても、何がきっかけだったのか、なぜ煽られたのか今でも全く身に覚えがありません」
◆あおってきた相手は「ヤンチャな感じは全然しなかった」
勇敢なタイプの伊東さんもこれには流石に恐怖を感じたという。しかし、どんなに煽られても安全運転で峠を越えたそうだ。
「驚くことに、その車は街中に入っても後をつけてきたんです。妻も子供も怖がっていました。『まだついてくるよ〜(泣)』と何度も後ろをみて完全にビビりモードに。15分〜20分くらいは追いかけられたのではと思います。体感としてはもっと長かったですが……。追行はいよいよ近所の住宅街まで差し掛かりました。
さすがにそのまま自分の家の車庫に入れるわけにはいかず、家から少し離れた場所をぐるぐると何周もしてなんとか撒くことができたのです。諦めの悪いやつでした。ちらりと運転手がどんな人なのか見てみると、ヤンチャな感じは全然しない30代くらいの短髪の男でした。装いこそ普通でしたが、何を考えているかわからない感じで気味が悪かったです」
近距離でハイビームに照らされ続けたり、近所の住宅街までついてこられたりと散々な目に。危険が伴う夜のドライブとなったようだ。
「あの時、スピードは出しませんでしたが、家がバレたり事故することなく相手を撒くことができました。だから僕は勝負には勝ったと思います。あおり運転にはどうぞゆっくりとしたご対応を」
元スピード狂の伊東さんが相手の挑発に乗る事なく冷静に運転ができたのは、家族という存在がいたからこそなのだろう。
<TEXT/おせりさん>
【おせりさん】
下北沢に住む32歳。趣味はポーカーとサウナ、ホラー映画鑑賞。広告代理店・制作会社を経てフリーランスのブロガー兼ライターに。婚活ブログ『アラサー女の婚活談義』と生きることをテーマにした『IKIRU.』を運営中。体験談の執筆を得意としている。X(旧Twitter):@IKIRUwithfun
「憧れのスポーツカーをようやく手に入れたばかりの頃の出来事です。車で遠出して遊びに行くのが休日の楽しみになっていました。その日も家族で出かけていて、帰り道だったんです。峠の曲がりくねった道を走っていると、後ろから強めのライトが当たっていることにふと気づきました」
◆ふと気づくと、黒い車に煽られていた
背後から眩しく照らされるハイビームに伊東さんは違和感を感じたそうだ。
「バックミラーをみると、黒色のスポーツカーがピッタリとすぐ後ろについていました。異様に車間距離が近く、いわゆるあおり運転でした。僕は普通のスピードで走っていたのですが、買いたての車は真っ赤なイタリア製のスポーツカーで正直目立っていたんです。目障りに思ったのか、勝負を挑まれたのかは分かりませんが、左右に横揺れされたりと明らかに挑発されました。その峠は走り屋たちが集まって腕を競い合う場として有名でした。
実は、僕はもともと走り屋で若い頃は随分と車を乗り回していました。恥ずかしいですが、昔はスピード狂でキップを渡されることも。売られた勝負には乗るタイプの性分なので、『そっちがその気ならこっちだって……!』と、その時もスピードを出して振り切ってしまおうかと一瞬血が騒ぎました。しかし助手席には妻が、後部座席には小学生の娘が乗っていたんです。だから『ここは我慢!』と歯を食いしばって耐えることにしました」
◆夜道の峠をどこまでもついてくる恐怖
繰り返されるあおり運転。相手からの挑発に伊東さんはいらだちを隠せなかったと語る。
「途中、道を譲ろうとしたのですが、相手は頑として追い越して行きませんでした。僕が走り出すのをじっと待っているんです。その時初めて得体のしれない相手に恐怖を抱きました。夜道の峠で周りも暗く、余計に怪しさが漂っていましたね。それにしても、何がきっかけだったのか、なぜ煽られたのか今でも全く身に覚えがありません」
◆あおってきた相手は「ヤンチャな感じは全然しなかった」
勇敢なタイプの伊東さんもこれには流石に恐怖を感じたという。しかし、どんなに煽られても安全運転で峠を越えたそうだ。
「驚くことに、その車は街中に入っても後をつけてきたんです。妻も子供も怖がっていました。『まだついてくるよ〜(泣)』と何度も後ろをみて完全にビビりモードに。15分〜20分くらいは追いかけられたのではと思います。体感としてはもっと長かったですが……。追行はいよいよ近所の住宅街まで差し掛かりました。
さすがにそのまま自分の家の車庫に入れるわけにはいかず、家から少し離れた場所をぐるぐると何周もしてなんとか撒くことができたのです。諦めの悪いやつでした。ちらりと運転手がどんな人なのか見てみると、ヤンチャな感じは全然しない30代くらいの短髪の男でした。装いこそ普通でしたが、何を考えているかわからない感じで気味が悪かったです」
近距離でハイビームに照らされ続けたり、近所の住宅街までついてこられたりと散々な目に。危険が伴う夜のドライブとなったようだ。
「あの時、スピードは出しませんでしたが、家がバレたり事故することなく相手を撒くことができました。だから僕は勝負には勝ったと思います。あおり運転にはどうぞゆっくりとしたご対応を」
元スピード狂の伊東さんが相手の挑発に乗る事なく冷静に運転ができたのは、家族という存在がいたからこそなのだろう。
<TEXT/おせりさん>
【おせりさん】
下北沢に住む32歳。趣味はポーカーとサウナ、ホラー映画鑑賞。広告代理店・制作会社を経てフリーランスのブロガー兼ライターに。婚活ブログ『アラサー女の婚活談義』と生きることをテーマにした『IKIRU.』を運営中。体験談の執筆を得意としている。X(旧Twitter):@IKIRUwithfun